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【クリエイターの居場所】佐賀のラッパー『FLAGG(フラッグ)』前編。

こんにちは。佐賀で活動している作曲家・ビートメイカーのCoga Atsushiです。

ひとつの作品を生み出すクリエイターという人は非常に敏感で。落ち着ける場所も、面白いと思う場所もクリエイターによって違うし、暮らし方をこだわるヒトが多いです。

そういった"場所"や"スタイル"気になりませんか?

ここでは、佐賀出身や佐賀在住クリエイターの現在に至る経緯や生活スタイル、創作活動にスポットライトを当て、どのように日々の制作を行っているのか、佐賀のどのような場所に通って発想の根を広げているのか、気になる彼らに密着して佐賀の魅力的なスポットやクリエイターを紹介していきます。

今回は地元佐賀のみならず、各地のストリート・ヘッズからプロップス(支持)のあるMC『FLAGG(フラッグ)』を前編後編に分けて紹介します。

まずは私とFLAGGの共作『夜の居場所』のMVで彼の人物像が見えてくると思います。

【VERSE1】生い立ちからのきっかけ

Coga

早速ですが、これまでの生い立ちをお聞きしたいです。

FLAGG

生まれたところは熊本の天草で、周りを海で囲まれたほんと自然以外何もないようなところで育ち、釣りとサッカーばっかりしている少年でした。

Coga

天草、いいところですよね、才能ある人は自然の中で感覚を培っている人が多い気がしますね~。

FLAGG

田舎で育った人間しかわからない価値観とかあるっすもんね。

育った環境の近くに自然があったから、それが歌詞に反映されている部分もあると自分でも思っていますね。

Coga

確かにそうですよね。その人の育ってきた環境とかがダイレクトに作品に反映される気がしますね~。

そんな釣り少年のFLAGGさんが、なぜラッパーになろうと思ったのですか?

FLAGG

キッカケは鳥栖駅裏での出会いですね。

家自体、転勤族で家族そろって色々なところを転々として、最終的に鳥栖に落ち着いたんです。その当時、鳥栖駅の裏でスケボーしていた人達がいて、その時『ばりカッコいいやん!』と思って、スケートボードをはじめたんす。

そのスケボーの先輩達がラジカセを持ってきていて。その時にはじめてJapaneseヒップホップを聴いて、衝撃をうけて、当時スケボーをしていた友達と「やろうぜ!」ってなったことが1番のキッカケですかね。なんかやりたくてしょうがなかったし、地元の先輩達がカッコよくて、影響を受けました。

Coga

スケートボードから繋がってマイクを握るようになったんですね。

初ステージはどこだったんですか?

FLAGG

はじめてのステージは高校の時の文化祭です。

友達皆んなで初めて体育館にターンテーブルとミキサーを持ち込んでライブしました。青春っすね。

Coga

楽しそう! そういうのはずーっと思い出として残りますね。

オリジナル曲を作ってライブされたんですか?

FLAGG

そうですね。だいたいヒップホップのレコードにインスト (歌詞が入ってないビートだけの状態) だけのビートが入っていて、それを流しながら下手くそなラップを載せてましたね(笑)。

Coga

(笑)。いい思い出ですね。

初めてってなると正直かなり緊張したんじゃないですか?

FLAGG

しましたね(笑)。 

人前で歌うってことが初めてだったし、俺自身も口下手な方だったからなおさら(笑)。

Coga

すごい!それでもやろうと思った原動力って何ですか?

FLAGG

やっぱり最初にヒップホップ聴いて衝撃を受けた時の感覚というか、マイク一本で自分の喋る言葉が音楽になるっていうのが「かっけー」って思っていたし、恥ずかしさを飛び越えて、自分自身が影響を受けたヒップホップをやりたかったからっすね。

Coga

その文化祭で初めて歌い終わった後はほっとした気持ちでしたか?

どんな気持ちになったのか知りたいです。

FLAGG

自分がラップして見に来ている人たちが楽しそうに手を挙げてくれていたりしていて嬉しくなったっす。また、そうやって人がアガってる姿を見て、もっとうまくなりたいと思ったっすね。

Coga

自分が好きでやっていることで共感・賛同してくれたらほんとにうれしいですし。クリエイター冥利に尽きますよね。

やってきて良かったって思えるし、だからこそやめられないのかも......(笑)。

【VERSE2】制作にあたっての大事な要素

Coga

誰しもが、"何か"を創り出すときに大事なことってあると思うんですよね。

物理的なものでも内面的なものでも良いのですが、そういったものについてお聞かせください。

FLAGG

大事な要素というか俺の中心には家族があって、その考えのもとで制作しています。

やらせてもらっているとも言えるんかな?カミさんには感謝しています(笑)。

子供達に教えてもらう事もたくさんありますよ。「なんて純粋なんだ」って、良くも悪くも思うし、制作の手がかりとして違う視点を子供達から貰っていますね。

また、制作にあたって、人に気付かせてもらう事が多いです。寂しい時は誰かに会って話したり、意外とそういう時に悩んでいた事とかがスッと抜けてリリックとして「ブワーッ」とかけたりとか。

本やニュースも大事と思うけど、やっぱり人に、刺激をうけることが多くて、会って話したり、新しくいろいろな人と繋がったり、俺にとってはこのコロナ禍でもすごく大事な事で、一番自分を知れるし、制作において大事な要素ですね。

Coga

クリエイターあるあるだと思うのですが、どうしても制作がうまく進まないこととかありますよね?

先程も少し触れていらっしゃいましたが、そんなときはどうやって乗り越えるというか、制作と向き合っていますか?

FLAGG

アイデアとか制作がうまく進まなくなったときは一端離れるかな。

スケボー滑りに行くっす(笑)。んで、汗かいてスッキリして。結局、俺しか書けないリズムで音を捉えて俺自身のラップできればいいやっていい意味で吹っ切れさせます。

Coga

なるほど、たしかに。僕も制作の壁にぶつかったら、一度作業の手を休めますね。

案外そっちの方が再度取り組む時に、新たなアイデアが生まれたり、制作意欲が湧いてきたりしますよね。

FLAGG

そうっすね。意外とふとした時にフックのメロディやワードが浮かんだりするから、その後の勢いがすごい。

Coga

作詞から実際にラップを載せるまでの期間は1曲あたりどのくらいの期間で出来るものなんですか?

FLAGG

その時の気分や、ビートの感じにもよるし、ほんとバラバラ(笑)。

以前L.U.Gってユニットをビートメイカーのmochieと組んでいて、その時の『Woo Child』って曲は2時間で出来たし、ある曲は4か月かかったときもあったし(笑)。

でも、最近はアイデア浮かばなくても自分で"ノルマ決め"じゃないけど、1週間でここまでやるって決めてやったりもしてる。特に誰かと共同でやったりする時は相手にも迷惑かけるし楽しみにしてくれているっていうのもあって、気合い入れて作ってますね。

うまくいかない時もあるけどね (笑)!

【VERSE3】"あの感覚"を追い求め続ける

Coga

制作するにあたって、いま言っていたように苦悩したりするわけじゃないですか。

ぶっちゃけた話、なぜFLAGGさんは制作を続けようと思うんですか?

FLAGG

俺は、喜怒哀楽の全部をリリックにしてビートに載っけたいと思っていて、生きた証として。大袈裟だけど(笑)。

21歳ぐらいかな、どうしようもないぐらい気分が落ちてた時期があって「もう、いなくなってもいいかな」ってくらい。

その時の心の拠り所がリリックを書き殴る事だったんですよ。救われてたんじゃないですかね。自分の気持ちを何かにぶつける事が出来て。

そんな気持ちでラップしていたある日、俺のラップとビートが一体になったような瞬間があって。

「あぁ、これだ、この感覚を一生味わいたい」って思ったんですよ。その日から今日までずっと追い求めてます(笑)。わかるかな、この感覚(笑)。 そんな時があるんすよ。

Coga

僕との曲の『夜の居場所』で言ってますよね。「あの時気付いたんだ俺は~」って。

そういう事だったのか、と今「ハッ!」とさせられました(笑)。

FLAGG

やっぱり初ステージの時や自分がヒップホップに影響を受けた時と一緒で、自分のラップと声がその曲の一部になって、聴いている人が気持ちよくなれるのを目指してますね。

Coga

素晴らしく自分の感じたことや思ったことを貫いていらっしゃって、初志貫徹という4文字熟語をクリスマスプレゼントで送りたいくらいです(笑)。

【BRIDGE】後編へ続く

今回、アーティストと親密な関係である私でもなかなか聞けないような貴重な話や、とても興味深い話を聞けました。こういった考え方を共有してもらう事で世の中の、悩んでいるクリエイターや、何かの創作を志す人への一つのきっかけになれば幸いです。

後編ではさらにFLAGGが思う『佐賀』についての話や、お気に入りの場所の紹介などをしていきます。

お楽しみに。

紹介したクリエイター

FLAGG

天草生まれ、佐賀県在住。16歳の時、鳥栖駅の裏でスケートボードに出会い、同時に先輩達が持っていたラジカセから流れるHIPHOP、JAPANESE HIPHOPにやられ、後にRAPPERを志す。

現在3児のパパでありながらも夜な夜な様々な場所でSHOUTを繰り返す。数々の有名アーティストのフロントアクトやDJのサイドMC等でスキルを磨き、今日までHIPHOPへの愛のみでステージに立ち続ける。

数々の客演、MIXCDへの収録等、動向は多岐にわたる。現在ではソロでの活動をメインに行動中。

Instagram:flagg_Y16

取材協力場所

店舗名 MOBILE SPOT
住所 〒840-0804 佐賀県佐賀市神野東4丁目12−12 1F
公式サイト https://mobilespot.stores.jp/
公式SNS Instagram:@mobilespot_sg
詳細

【OPEN】12:00~19:00

【CLOSE】木曜日

【駐車場】有(店舗に隣接)

地図

Sound producer/Beatmaker

Coga Atsushi

地元佐賀にて異彩を放つビートメイカー。2013年ころまでミニマルテクノ~テックハウスなどのDJをプレイし、タイのパンガン島や香港な...

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