こんにちは、編集部の牛島です。秋が深まり、寒暖差に身体の不調を感じる方も多いかと思います。そんな時におすすめしたいのが、身体を温めてくれる「食べる漢方・スパイスカレー」。
今回は、「三瀬スパイス研究所 旅するクーネル」のカレーをご紹介します。これまではキッチンカーで営業されていましたが、なんと2023年9月に富士町に店舗をオープンされました!ランチ利用できるようになったお店を早速見てみましょう。
「旅するクーネル」が店舗をオープン!場所は?
イベント出店すると長蛇の列ができるほど人気の「旅するクーネル」。私も何度かその列に並んだことがありますが、次はどこで出会えるのかなぁと思っていたので、店舗オープンのニュースは嬉しい限りです。
場所は佐賀市富士町麻那古エリア。古湯温泉地から車で15分ほど山手へ北上したところにあります。
お店は大光寺の入口から細い坂を登った先です。
営業日はこのピンク色の看板が出ていますので目印にしてください。
坂を登った先の右側に見えてくる大きな古民家が「旅するクーネル」です。店内は昔懐かしい土間があり、小上がりになったお座敷が広がっています。
いざ実食!スパイスチャンプルカリー
メニューはスパイスチャンプルカリーのみ。ひとつのプレートの上にカレー2種とごはん、副菜たちが盛り盛りです!
この日のカレーは「オールドデリーチキンカリー」と「唐津ボラのマラバールカレー」でした。(カレーの種類は日によって変更あり)
混ぜながらいろんな味の組み合わせが楽しめるのがスパイスチャンプルカリー。スプーンで一口ずつカレーを運ぶごとに、予想しなかった風味や、不思議な食感と遭遇し、たくさんの変化が味わえます。
どの組み合わせも美味しくて、食べ終わるころには手足の指先がじんわり温まっていました。
最後には温かい「ちょいチャイ」が。このサイズ感、お腹いっぱいになったところにちょうど良くて嬉しい...!甘くてスパイシーな味わいにほっと一息つきました。
「旅するクーネル」のこれまでの旅路。
キッチンでカレーを盛り付けるよしおさんと、テキパキと運ぶあやさん。お店はご夫婦二人で営業されています。「生(せい)」というものに深く向き合うよしおさんの人生観と、自由で時にはスリリングな?旅の話を聞かせてもらいました。
かつては福岡市大名で「食堂クーネル」という洋食店を開いていたよしおさん。カウンター席のみの小さな空間ながらも、お客さんのリクエストを聞いて即席で調理したりと、ライブ感のあるパフォーマンスで人気を呼んでいました。あやさんとの出会いもこの頃。100日連続でカレーを食べ続けるほどカレー好きなあやさんに影響され、よしおさんもカレーに興味が湧いてきたのだとか。福岡の有名店「spice road」の極意書を参考にしながらカレーを作り始めました。
「食堂クーネル」は常連客に支持されるお店となりましたが、よしおさんが師匠と仰ぐ登山家の先輩が亡くなったことをきっかけに、人生を見つめ直す時間が訪れます。そして10年続けた店を閉め、2人で世界一周という新たな人生の旅に出ることにしたのです。
アジアやヨーロッパ、南米まで巡る旅の中、いくつもの絶景を眺め、現地の人たちの暮らしを体験した2人。時には盗難に遭うなど危険な事もありましたが、自由で刺激に満ちた一年を送ります。
旅の途中、スパイスを料理に使う国の人たちは比較的「健康的」であるように感じたよしおさんは、特にアジア圏のスパイス料理に魅了されたそうです。この経験がのちのカレー店の開業につながります。
カレー店「旅するクーネル」開業へ
旅から帰国した後、友人の紹介で佐賀市三瀬に移住したよしおさんとあやさん。自然に優しい半自給的生活を求め、農業学校に通いながら野菜づくりを始めました。学校で野菜の重要性を再認識し、旅の中で得た健康と環境への関心から、スパイスカレーの店を開業することを決意。中古の軽自動車を改造したキッチンカーで「旅するクーネル」をスタートしました。
国道沿いの焼鳥店の駐車場で販売を始め、徐々にイベント出店の声がかかるようになるとよしおさんのカレーは評判に。イベント出店時には長蛇の列ができ、さらに「シティ情報FUKUOKA」の表紙を飾ったことで知名度は急上昇。週末はイベント出店で忙しく過ごす日々となりました。
ーよしおさん
「たまたま運がよかっただけなんですけどね。"頼まれごとは試されごと"という言葉を大事にして、どんな誘いも断らずに一つひとつ拾って行ったら、なんとか軌道に乗ったという感じですよ。」
そうよしおさんは振り返ります。
コロナ禍で再び旅へ。家族が辿り着いた場所
「売る場所があればどこでもやっていける」。そう思っていた矢先、コロナ禍でイベントのスケジュールが白紙状態に。出店を見据えてコロナ禍前から借りていた富士町の古民家に引っ越すも、何も進まず月日が流れていきました。
気持ちを再起するため、2022年に日本一周の旅に出ることにしたよしおさん一家。しかし、北海道まで巡ったところで車が壊れてしまい、やむを得ず旅は中断することになってしまいます。
帰ってきたあとも、本当にこの場所で店をやっていくのか、いっそ海外で暮らす道もあるのではないか...気持ちが定まらず悶々とする時間が続きます。
ーよしおさん
「息子が小学校に入るタイミングだったので、彼は一体どう思っているのか聞いてみたんです。そしたら、保育園の友達と一緒に地元の小学校へ行きたいと答えが返ってきて。彼がここに居たいと言うならそうする他ないな、と。それでこの場所に腰を据えてやってみようと決意しました。」
そうして2023年9月に「旅するクーネル」を開店。世界を旅してまわり、色んな場所を移ろってきたよしおさんたちの新たな挑戦が始まったのです。
「旅するクーネル」のこれから
和やかな雰囲気で語ってくれたよしおさんですが、食べ物を簡単に捨てたり無駄にする現代の風潮に大きな憤りを感じていると言います。そうした思いから、料理には規格外の野菜や、捨てられる部分も工夫して取り入れられているのだそうです。
そんなよしおさんが思う「カレーの魅力」とは?
ーよしおさん
「煮込み料理にカレー粉を加えると、一気に「カレー味」に変わりますよね。鍋の中が平和に統一されるみたいな。そのカレーの寛容さが好きなんですよ。カレーのように、世の中がもっと寛容になればいいなと思います。」
オープン以来、近所の年配の方や、遠方からも噂を聞きつけてやってくるお客さんも増えた「旅するクーネル」。常連になるお客さんも多いそうですが、よしおさんとあやさんの飾らない人柄に惹かれて、また会いに行きたくなる気持ちがよく分かります。最後にこれからのプランを伺いました。
ーよしおさん
「今は奥のキッチンで盛り付けしてるので、もっとお客さんと関われるような「ライブ感」が出せたらいいなと考えています。まだ設備など整えている段階ですが、キッチンカーやイベント出店よりやれることは増えたので、思いっきりやってみようと思います。」
時には苦しみながらも、信念に従い、自然に優しく、型にはまらないよしおさんの味わい深いカレー。手間暇かけて作り上げられた、色鮮やかなワンプレートをぜひ体験してみてください。
店舗名 | 三瀬スパイス研究所 旅するクーネル |
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住所 | 佐賀県佐賀市富士町大字麻那古1099 |
営業日 | 不定期のため、Instagramで確認ください |
営業時間 | 11:00〜15:00 |
SNS | Instagram https://www.instagram.com/coonel1111/ |
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