【環境芸術の森】佐賀県内紅葉No.1の本数！リフレクションが美しいと噂の場所は厳木だった！！

編集部

2017.11.14

ここは京都の瑠璃光院？いえいえ、ここは佐賀県唐津市厳木町。
「そんなばかな？！」そう思われるのも無理もない。
「知る人ぞ知る『環境芸術の森』」このタイトルで出そうと思っていた。しかし、取材に行ってみると、平日にも関わらずたくさんのお客さんで賑わっている。すでに「知る人ぞ知る」では無くなっているのかと正直へこんだ。
＃環境芸術の森で検索すると素敵な写真がたくさんアップされている。
しかし、少しずつ寒くなってきた11月中旬、見ごろを迎えている「環境芸術の森」の魅力はインスタグラムの素敵な写真だけじゃない別の場所にあった。

佐賀県No.1の本数を誇る紅葉

「ここは、もみじの数、佐賀県ナンバー１を誇る場所。紅葉が美しいと有名な御船山は400本、九年庵は130本。ここ、環境芸術の森はなんと1万本を超えているんです」そう案内してくださったのは職員の大串直さん（70）もみじ1万本を超えている場所は全国的にも珍しいのだそう。
標高８８７ｍの作礼山（さくれいざん）の斜面を利用して造られ、広さは１３万平方メートル。東京ドーム約2.7個分の広さだ。

足を運んでみると、そこは北山杉や赤く染まったもみじで埋め尽くされ、まさに自然が作りだした芸術品。澄み切った小川の音や小鳥のさえずりまでもが「ようこそ」と来る人を歓迎してくれているようだ。

環境芸術の森の見どころ

入り口を入ると、休憩所がありゆっくり座って紅葉を眺めることができる。もちろん館内からみる景色は美しいが、そこを出て登って行くと紅葉のアーチがありそれがまた綺麗。

紅葉の絨毯が美しい遊歩道。ひらひらと散る紅葉にどこか寂しさも感じながら通りぬける様は、なんとも風情がある。
樹齢600年や1000年の紅葉の木もあるのがここのみどころ。案内してくれた大串さんの話によると紅葉は大きくするのが難しく、樹齢1000年のものは大変貴重なんだとか。

樹齢600年の木は（2017/11/13現在）まだ紅葉していなかったので、これから見ごろを迎えてくれそうな予感だ。
森をぐるっと回っていると、どの場所でも写真を撮らずにはいられないほど「綺麗」その一言に尽きるのだが、そもそもこんなに美しく広大で清らかさを感じられる場所を誰が作ったのだろう？

自然を蘇らせ、紅葉の森造りに一生をかけた当主の想い

この美しい環境芸術の森をはじめられたのは造園士の鶴田正明さん（82）。今から、38年前に奥さんと共に植樹をされたのがきっかけなのだが、その始まりは意外な事実だった。
正明さんには3人の息子さんがいたが、次男が高校生の頃突然病に倒れてしまう。謎の高熱に見舞われ、正明さんは、たくさんの医者を回ったがベストな治療法は見つからなかった。
それからほどなくして息子さんは亡くなってしまうのだ。
息子さんの病を治そうと、いい環境やいい水がないかと様々な所を回っていた時に見つけたのが今の環境芸術の森。息子さんが亡くなってからほどなく、奥さんと森つくりをはじめ、38年をかけて少しずつ形にされていったという。

息子さんへの想いを胸に植樹を続け、今では1万本の紅葉が来る人を優しく包み込んでくれている。

「昔の森を取り戻す　昔の川を取り戻す　昔の海を取り戻す
　この思いを胸に、風のふる里、厳木は作礼山中腹をキャンバスとして、環境芸術の森が生まれました。
　人が生きるために、自然の偉大さを感じながら四世紀かけて、壊してしまった自然を蘇らせ、紅葉の森つくりに努めて参りました。
　大自然から見れば、生まれたばかりの小さな小さな森かもしれません。
　この森の中へ、ゆっくりと足を踏み入れてみてください。自然と調和し、まるで自分が自然の中の一部であるように、優しい気持ちになれるでしょう」（環境芸術の森パンフレットより鶴田さんの言葉）

まとめ

今は、SNSのおかげで自分の探し求めるものや、人気なスポットの情報などを一早く知ることができるようになった。今回紹介した「環境芸術の森」もインスタグラムの影響で見に来るお客さんがかなり増えたという。佐賀の魅力を発信している私たちも、佐賀の新たなスポットが話題にのぼるのはとてもうれしく感じている。若者も含む多数の観光客をみて「なんでこんなに増えたのかは正直よくわからない」と鶴田さんはつぶやかれていたが、同時に「新しい風が吹いてきた」ともおっしゃっていた。なくした息子さんと同じかそれくらいの若者を見て、重ね合わせるかのように優しいまなざしを向けられている姿が印象的だった。
見に来た方が「何かを感じ心の豊かさを感じてもらえば」という想いで、環境芸術の森を営まれている鶴田さん。
訪れた際は自分の心に少しだけ問いかけてみるのもいいかもしれない。

【追記2018.12.5】

2018年4月29日より、春の一般公開も行っている。

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