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【bowl(ボウル)】「形のないものを受け止める"器"」のようなセレクトショップ|有田

4/1佐賀県有田町の、株式会社有田まちづくり公社が、新たな町の観光・周遊拠点づくりの一環として、セレクトショップbowl(ボウル) をオープンした。「やきもの」のイメージが強い有田だが、いったいどんなセレクトショップだったのか......

こだわりの店内

伝統的建造物が立ち並ぶ有田皿山通りを抜け、有田駅に向かっていく道沿いに「有田まちづくり公社」があり、「bowl」はその1Fに店を構えている。
店舗はまるで明治時代にタイムスリップしたような白壁の外観。築約100 年の陶磁器商家の建造物を改装したものだという。

現代に合った上質でラフな雰囲気の店内。立派な梁を活かしたリノベーションがかっこいい、古いものと新しいものがマッチした落ち着く空間だった。

什器配置を変えられるようにすべて可動式にしている。季節感やカラーバランスの統一など随所にセンスのいいこだわりが散りばめられていた。

お店のコンセプトは?

「テーマは『有田焼』ですが、有田焼を売っているというわけではありません

そう語るのは、各地で地域のお店作りをされてきたディレクターでバイヤーの高塚裕子さん。

「有田焼は古くからめでたい『吉祥紋様』を柄に取り入れるハレの日の器であることが産地の特徴です。400年日本の食器が土色一色だった時代に彩りを与えたのが有田だったのではないでしょうか?
物を売る店ではありますが、形のないもの見えないものに祈りを込めるそんな日本らしい文化を大切にしたいと考えています」

「近年、比較されることの多い波佐見焼は『カジュアル』で、有田焼を『ドレス』と捉えました。カジュアルが流行の主軸にある現在、『ドレスダウン』をテーマに『高級ではなく贅沢』な、これからの人生に必要なものごとをお客様に提供できるよう運営していきたいです」

と高塚さんは語る。

その場所らしさを生かすという事が個性につながる」という言葉が印象的だったが、ここ有田は世界に一つ。だからこそテーマは「有田焼」これこそがbowlのコンセプトなのだ。

有田らしさをバイヤーの視点から提案していこうとする高塚さんの精神は有田を変えるというよりも、町に馴染むという感覚に近いと感じた。

どんなものが買える?

国内に限らず、海外から来た方にも楽しんでいただけるようセレクトしているという商品はどんなものがあるのか、その一部を紹介したい。

遊【吹き上げる鯨花火(福岡県みやま市)】

食【うれしの産 ほうじ茶】

食【アメリカ産 メイプルシロップ】

食【海外や日本各地の基本調味料やスパイスやお茶】

器【食器類 有田焼だけでなく他地域のものもあり、グラスやプラスチック製品もある】

遊【暮らしを豊かにする本や音楽】

遊【職人技術が際立つ食品サンプル】

衣【普段着るものも少しだけ贅沢に。気分をあげてくれる衣服類】

衣食住すべてにおいて暮らしを豊かにする魅力的な商品が揃っていた。
使い方や用途、作家さんや生産者さんの情報も丁寧に教えていただけるので、ぜひ、高塚さんに聞いて欲しい。

Bowlの名前の由来に込められた想い

「有田のやきものをつくっている方たちは湯呑のことをコップといい、鉢状の器のことを"ボール"と言うんです。これだなと思いました。気軽に呼んだり、覚えてもらったりするのに耳なじみがよい言葉がいいと思っていたので、ばっちりですよね」と高塚さん。

もちろん名前の理由はそれだけではない。
「原始にさかのぼると、人は最初に何かを突き刺すや束ねるためのロープを作ったと同時に、水を飲むために手ですくってを作っていました。器とロープでバックができたり、槍と槍でフォークができたり、色々な道具って実はこの3つでできているんです。ワイングラスも傘も "うける"という意味では同じボールですよね。
3つの原始的な道具の一つが器(ボール)ということと、『有田はやきもの発祥の町』という部分に重なるものもありました
"発祥"というキーワードからもインスピレーションを受けたという高塚さん。

今後、bowlで作家が発表したり、ワークショップしたりそんなことも構想にあると話されていたが、「受け止められるような器みたいになりたい」というのがbowlの店名に込められた根本的な想いだ。

まとめ

有田=やきものというイメージが強いが、ここはやきものではなく、別の角度で有田焼をアピールする場だった。
物の新旧問わず身の回りの生活用品や服飾品、佐賀県内の甘いものをはじめ、各地の工芸品や安心安全な食品などを幅広くセレクトしているbowl(ボール)。

海外や他県から来た方がやきものに触れた後に寄れる場所。地元の人が、日々の暮らしをもっとよくする心地い日用品を買える場所。
そんな有田の新ランドマークとしてボール(器)のように人々が集まる場所になりそうだ。


EDITORS SAGA編集部 中村美由希

EDITORS SAGA 編集部

編集部

今までなかなか紹介されていないような佐賀の隠れた魅力や新しい情報をお届けするべく日々、奮闘中!...

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