佐賀県の歴史、文化、伝統、特色ある食、豊かな自然といった地域資源の魅力を多くの方に伝えるために、佐賀県が2018年から制作している『佐賀日めくりカレンダー』。
365日全てのページに佐賀にまつわる情報をつめこんだこのカレンダーは、県内全ての中学校・高校の教室で利用されています。
県内の中高生の中ではおなじみであり、EDITORS SAGAでも昨年・一昨年とその制作レポートを掲載してきた「佐賀日めくりカレンダー」ですが、現在制作中の2023年版では、デザインや内容のリニューアルが行われているとのこと。
今年の制作レポートの第1弾では、なぜリニューアルをすることにしたのか?
その想いを聞くために佐賀県庁を訪問。県職員の中村美和さん・本村彩さん(さが創生推進課)に、企画・編集を担当した編集者の篠原繭さん(TISSUE Inc.)が質問する形式で、その理由をお話いただきました。
もっと興味を持ってもらえる日めくりカレンダーに
篠原さん -
「佐賀日めくりカレンダー」がスタートした2018年のみ現在とは違う仕様のカレンダーでしたが、翌年の2019年以降現在まで、同じ構成・デザインで制作を続けてきました。
弊社はスタート時から制作を担当しているのですが、昨年末にリニューアルの相談を佐賀県庁さんからいただきました。改めて、どのような経緯でリニューアルの必要性を感じたのかを教えていただけますか?
中村さん -
「佐賀日めくりカレンダー」は県内の中高生に佐賀のことを知ってもらい、好きになってもらうことを目的として制作を始めました。
2019年から2022年までの4年間で使用者の声も聞こえてくるようになり、その声がきっかけでリニューアルのご相談をしました。
篠原さん -
その「声」というのは、具体的にどなたかに聞いたのでしょうか?
中村さん -
県庁でのさまざまな取り組みの中で出会う高校生に聞くこともありましたし、ヒアリングも行いました。
今、佐賀県の中の課題として、若い世代が佐賀の魅力を知らないということがあがっており、その改善活動の一環として、2021年度末からは週一回程度、私たちが直接県内の高校へ出向いて高校生へのヒアリングを行っており、その時に「佐賀日めくりカレンダー」についても高校生に直接質問をしています。
その際、高校生から「教室に掲示されているのは知っているが、何が書いてあるかは覚えていない」という声が多くありました。
篠原さん -
存在は認知されているものの、内容をしっかり読み込んでもらえてはいない、ということですよね。
「佐賀にはなんもなかもんね」と謙遜してしまいがちな県民の方に、「こんなにたくさんのもの・ことがある」ということを伝えたいという想いから、制作の方針としても2022年までのカレンダーには、なるべく多くの情報をつめこむようにしていたんです。
中村さん -
読めば読むほど佐賀のことを知ることができて、たくさんの情報が入っているのは良い点でしたが、情報量も多いため、各教室に1つの掲示では全ての内容を伝えることが難しかったのではないか。もっと中学生・高校生の興味を引きつけるカレンダーにできないかと考えました。
そして企画・編集チームにご提案いただいたのが、 多くの情報の中から掲載すべき内容を厳選し、キーワードを大きくレイアウトした新しいデザインでした。
篠原さん -
2022年までは「佐賀の情報をつめこんだ」カレンダーでしたが、2023年からは「1日1つ、佐賀のトピックを知れる」カレンダーとして構成を考え直しました。具体的にどこがどのように変わったかは次回の記事で詳しく解説させていただきますが、一目見ただけで何の紹介なのかがわかりやすいような工夫を加えています。
中村さん -
新デザインは、1ページずつ読み込まなくても、目に留まったときに興味を持ちやすかったり、記憶に残りやすいところがポイントです。
日々の中で、佐賀について知ってもらえる、身近に感じてもらえるきっかけになれば嬉しいです。
話題が生まれ、行動につながるカレンダーに
篠原さん -
少しお話は戻るのですが、県庁の方が週一回、実際に高校生にヒアリングをしに行っていると聞いて驚きました。高校生が県庁の方に、直接自分の住む地域について話せる機会もないと思います。
高校生は佐賀について、どんな印象を持っているのでしょうか?
本村さん -
先ほどのお話にも出たように、深く意識せずに「何もないよね」と答える子が多いです。でも深く話を聞いていくと佐賀のことは大好きで、お気に入りの場所や過ごし方を話してくれるんです。
佐賀のことは好きで、おすすめのものもあるのに、「何もない」と答えてしまう。そうではなく、自分の言葉で佐賀の魅力を話せるようになって欲しいと感じました。
中村さん -
ひとつヒアリングの中でわかってきたのは、高校生は自力での移動手段が限られるうえ、勉強や部活動などの学生生活が忙しい。さらにコロナ禍で遠出することも少なくなってしまったことも重なり、県内の有名な場所でも実際に行ったことはないという声が多くありました。
だからこそ、「佐賀日めくりカレンダー2023」ではそんな学生たちに佐賀にまつわる情報をもっと伝えたいと考えています。家族で出かける機会があれば、「こんなスポットが載ってたから行ってみようよ!」と中高生から提案してもらえる、そんなきっかけになれば嬉しいですね。
本村さん -
そんな想いもあり2023年版からは、時期にあわせたお祭りや、おすすめのスポットを紹介する新コーナーも加えています。
興味を持ったらぜひ足を運んでみてほしいですし、実際に行けなくても、読んで佐賀の特色を一つ知ってもらえたらと思っています。
中村さん -
紹介するトピックは、佐賀の10市10町の情報をバランスよく掲載するように意識しています。ですので、同じ地域の学生たちが集まる中学校では、自分たちの暮らす地域について話題にしてもらえたらと思いますし、さまざまな地区からの学生が集まる高校では、自分が暮らす地区について互いに話すきっかけになれば嬉しいです。
制作レポート第2弾では2023年版の中身を詳しく紹介!
リニューアルへの想いをお聞きしたことで、ますます完成が楽しみになった「佐賀日めくりカレンダー2023」。
次回の制作レポート第2弾ではリニューアルしたカレンダーの中身を紹介。どこがどうアップデートされているのか?デザインから新コーナーまで徹底解説します!
どうぞお楽しみに!