佐賀県が近年「サウナの聖地」として注目されているのをご存じですか?
その中心地・武雄市で、世界でも評価されているシェフが佐賀の食材を活かした"サウナ飯"を提供するという、なんとも贅沢なイベントが開催されました。
一体どんな絶品メニューが誕生したのか? 今回は佐賀県が進める新たな観光の形である「ガストロノミーツーリズム」とともに、当日の模様をお届けします!
サウナと食の融合!佐賀県が進める新たな観光の形
武雄といえば、サウナシュランで3年連続日本一を獲得した御船山楽園ホテルをはじめ、個性あふれるサウナ施設が点在する人気エリア。全国から"ととのい"を求めて多くの人が足を運びます。
そんなサウナの聖地を舞台に、2025年9月6日(土)〜7日(日)の2日間"サウナと食"を掛け合わせたイベントが開催されました。
イベント会場のOND CAFEとGohのキッチンカー
イベントが行われたのは、2023年にオープンした複合施設「OND PARK」。フレンチの名店「Goh」の福山剛シェフと、OND HOTELの宮﨑修士シェフがタッグを組み、地元の食材を使った特別な「サウナ飯」を提供しました。
実はこのイベント、佐賀県が進める新しい観光スタイル「ガストロノミーツーリズム」の一環として企画されたもの。
「ガストロノミーツーリズム」とは...
その土地の気候や風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食を楽しみ、食文化に触れることを目的としたツーリズムのこと。
つまり今回のイベントでは、武雄を中心とする地域の食材とサウナ文化を組み合わせることで、ただ食べるだけでなく"武雄そのもの"を感じられるということ。まさにこれまでになかった佐賀の新たな観光の形なんです。
世界一のサウナ施設×世界的シェフ、夢のコラボが実現!
今回のイベントが開かれた「OND PARK」は、森の中に五行(木・火・土・金・水)をテーマにした5つのアウトドア型サウナと展開予定。(木・火・金はオープン済み)
2025年6月には世界最大規模の建築賞でなんと一位に輝くなど、今大注目のサウナです。さらに敷地内には、キャンプ場やカフェ、フィットネス施設まで揃う、"心と体をととのえるパーク"として人気を集めています。
世界一の建築賞を受賞した「木のサウナ」
コラボしたのは、アジアのベストレストラン50に8度も選出され、ミシュラン一つ星を獲得するなど、世界で活躍するフレンチシェフ・福山剛さんと、その福山シェフのもとで腕を磨いた、OND HOTEL宮﨑修士シェフ。
左:宮﨑修士シェフ 右:福山剛シェフ
世界レベルのコラボが佐賀で実現するなんて...!贅沢すぎるイベントにどんな料理が登場するのか、期待が高まります。
なぜ今回の福山シェフとのイベントが実現したのか、イベントを主催した佐賀県の安冨さんにお話を伺いました。
安冨さん -
佐賀県には素晴らしい食材や器の歴史・文化があり、それらを地域ごとの特性としてしっかり磨き上げていくことで、外からわざわざ足を運んでもらえるような佐賀ならではのコンテンツを作っていきたいと考えています。そのためには、外からの視点で佐賀がどう見えるのかも大事な要素で、今回は国内外で活躍し、佐賀にもゆかりのある福山シェフにオファーしました。
福山シェフは、佐賀のことをよくご存じで、プライベートでも佐賀に何度も遊びに来てくださっていて、ご自身のレストランでは佐賀の食材をはじめ、有田焼や伊万里焼、日本酒などを使っていただいており、今回のイベントも快く引き受けてくださいました。
熱った身体に沁みる!絶品サウナ飯3選
福山シェフと宮﨑シェフが考案した絶品のサウナ飯は全7品。どれも嗜好を凝らしたメニューばかりで、とにかく美味しそうで困っちゃいますが、その中からおすすめの3品を紹介します。
若楠ポークのキーマカレー
スパイス香るキーマカレーに、ジューシーな若楠ポークを合わせた特製カレー。
辛すぎず食べやすいのに、しっかりスパイス感があり、あと一口、もう一口とクセになる味わいです。
武雄・江口農園のフレッシュなパクチーが香りをやさしく添えていて、全体のバランスが良く、「さすが福山シェフ!」とうなってしまう逸品。お客さんの多くが注文していた人気メニューです。
バターナッツカボチャの冷製スープ
嬉野産バターナッツカボチャを使ったさっぱりとした甘さが特徴のスープ。
中には細かく切られた生カボチャも入っていて、シャキッとした食感とみずみずしさ、そしてスープとはまた違ったカボチャそのものの甘みが楽しめます。
さらに、佐賀の伝統食「ごどうふ」も入っていて、スープと合わせると豆乳の風味が広がりまた違った味わいに。サウナで火照った体に染み渡る爽やかさです!
ココナッツのブラン・マンジェとシャインマスカット
ミルキーで優しいココナッツの香りのブラン・マンジェに、みずみずしい佐賀県産シャインマスカットを添えた爽やかなデザート。
バジル入りのジュレがアクセントになり、甘すぎずサウナ後でもさっぱり味わえる、ひと口ごとに発見があるひんやりスイーツです!
その他の特別メニューはこちら!
全てのメニューに佐賀県で育った野菜や卵、お肉などが使われています。
(左上から時計回りに)
- 若楠ポークと白石れんこんとハーブのハンバーガー
- ありたどりラーメン
- 白石れんこんのパコラ&フライドチキン・フライドポテト
- 桐岡ナスといとう養鶏場の半熟卵のピペラード
コース料理に出てくるような本格的な一品が、全て550〜880円という価格で手軽に楽しめるのも嬉しいポイント。どのメニューも食材そのものの良さを活かしながら、サウナ飯として美味しく味わえるよう工夫が凝らされています。
今回のサウナ飯を通して、佐賀の食材が持つポテンシャルの高さに改めて驚かされました!
シェフもお客さんも笑顔に。サウナと食でつながる輪
会場となったOND CAFEは、シェフの名を聞きつけて駆けつけた方や地元の人、観光客まで幅広い人たちで大賑わい。オープンと同時に列ができるほどの人気ぶりで、小さな子ども連れから年配の方まで、サウナを利用していない人たちも料理を楽しむ姿が印象的でした。
今回のイベントに向けて、「サウナ後にどんな料理を食べたいか」「この食材をどうやって活かすか」など、互いに意見交換をしながら今回のメニューを考案したというシェフのお二人。イベント当日も一つのキッチンでコミュニケーションを取りながら、笑顔でお客さんに料理を提供する様子が見られました。
オープンと同時に次々に訪れるお客さんたち
今回のイベントについて、シェフのお二人にお話しを伺いました。
宮﨑シェフ -
サウナ飯らしくハーブやスパイスでさっぱり感やアクセントを出しました。普段はコース料理中心ですが、カフェスペースでオープンに提供することで、多くの方に楽しんでもらえて嬉しかったです。
福山シェフ -
佐賀には本当にいい食材が多い。観光も温泉もサウナも揃っているのに、まだ『佐賀といえばこれ!』という決定的なものが少ない印象があります。今回のイベントをきっかけに、佐賀に来たら"このご飯"といえるものを作っていきたいです!
佐賀の食と文化を"旅する"ガストロノミーの可能性
今回のイベントを通してあらためて感じたのは、佐賀の食材が持つ豊かさと可能性です。生産者の想いと土地の恵みが重なって生まれた食材は、シェフの手によってさらに魅力が引き出され、観光客はもちろん地元の人たちの笑顔を生み出していました。
佐賀県が推進するガストロノミーツーリズムは、まさに「土地の食文化に触れる旅」。サウナという新しい切り口で、佐賀の食材とシェフの技術をかけ合わせた今回のイベントは、県内外から訪れたお客さんに佐賀の食の豊かさを体感してもらう機会となっていました。
これから佐賀県がどのようにガストロノミーツーリズムを広げていくのか――その展開がますます楽しみです!
施設名 | OND PARK |
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住所 | 佐賀県武雄市武雄町大字永島18202-1 |
電話番号 | 0954-27-8169 (総合受付) |
公式サイト | https://www.ondpark.jp/ |
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