長くこの地域に住んでいるのにたまにある 「あんな広場って前からあったっけ?」という瞬間。
昔からあっても、なかなか気づいてもらえていないだけの場所や、新しく整備された場所。 どちらもしっかりと考えられた上で地域に存在しています。 しかし、まちの風景に溶け込んでしまっているだけに活用されていない場所があるのも事実です。
一方で、積極的に"集う場所"として使われている場所もたくさん存在します。
そんなまちの陰と陽を知ることで、これまでとは違ったまちの姿が見えてきます。
日課の散歩の目的地が変わったり、これまで使われていなかった場所で、人々の賑わいを生むイベントが開催されたり、ちょっとした気づきの先に佐賀の可能性は無限大に広がっています!
佐賀らしさの中にある"佐賀の新たな価値"。
まちなかでは歴史やまちの魅力を感じながら、人々が思わず立ち止まりたくなるような素敵なイベントが日々たくさん行われています。その"場所"にフォーカスすると、公共空間が普段と違うかたちで使われていたり、民有地が日常的に人々が集う公共的な空間になっていたりと、公共と民間が上手く溶け込んだ魅力的な風景が、時に私たちを驚かせることもあります。
そんな素敵なイベントが佐賀のまちに溶け、日常となり賑わう様子がこれからの佐賀の姿になる。まちがにぎわいを持ち、人々が立ち止まり、立ち寄る場所になる為には、まずは知ることが大切。ちょっとした気づきはそこから生まれるのです。
今回は、佐賀市の歴史や文化を感じることができ、人々が憩う空間を大きく『中央大通り』『呉服元町』『佐賀城内』の3つのエリアに分けて紹介していきます。
毎年賑わいを見せる『佐賀市の中央大通り』
若者からお年寄りまで老若男女が行き交う『中央大通り』。仕事の行き帰りや、お出かけなどで利用する方も多いのでは?
日常的に使う人が多いからこそ伝えたい"佐賀らしさ"。普段真っ直ぐ帰っている通りが今日は何だかにぎわっている。少し覗くと"佐賀のいいもの"がたくさん並んでいる......。
佐賀市の冬の風物詩『サガ・ライトファンタジー』では、商工団体や地元学生のみなさんが制作したイルミネーションが、きらめく夜の中央大通りを照らします。開催期間中は多くの人が、優しい明りに包まれ、普段とは違った姿を見せる中央大通りの夜の散策を楽しんでいます。
【公共空間×市民ボランティア】唐人町東線広場
『サガ・ライトファンタジー』のイルミネーションの中で、中央大通りのほぼ真ん中にある『唐人町東線広場』は、佐賀商工会議所青年部や地元の学生を中心とした市民ボランティアの皆さんが担当する場所。光のトンネル『アンブレラスカイ』をはじめとして、毎年様々な工夫が凝らされたサガ・ライトファンタジーの人気スポットです。
普段は何気ない広場でも、ライトアップをすると人々がカメラ片手に集う場所になります。
いつもは素通りするけれど、今日はふと立ち止まった。そんなイベントが増えていくと更に多くの人へ佐賀の魅力が伝わっていきそうです!
歴史や文化と新たな"佐賀らしさ"を感じる呉服元町
『656広場』や『わいわい‼コンテナ2』の他、昭和の佇まいを残す『中央マーケット』がある『呉服元町』。昔は多くの人が行き交うアーケード街だったこの場所。『銀天夜市』の4文字にワクワクする人も少なくないでしょう。近年新たにおしゃれなカフェやアパレルショップ、ベーグル専門店が仲間入り。また、月に1度、通りや広場を使ったストリートマーケットが開催されるなど、賑わいが生まれる魅力的な場所になっています。
どうしても同じ年代、同じ地域の人たちだけで集まってしまいがちですが、ここは色んな人々が分け隔てなく自然と集まるとても素敵な場所です。
【公共空間×個人・団体】656広場
昔ながらの商店街が立ち並ぶ一角にある『656広場』。
某アニメの聖地の1つとしても知られる『656広場』は屋根があり、ベンチも併設されていることで、座ってくつろぐ人や井戸端会議をするお母さん、ダンスの練習をしたり、勉強をする(!?)学生をよく見かけます。音響設備も借りることができるので音楽イベントなども開催できます。
音楽ライブやマルシェ、イベントが定期・不定期で行われています。
656広場のステージを使ったアカペラライブ ※2019年に撮影されたものです。
【民有地×個人・団体】わいわい‼コンテナ2
メインのコンテナは雑誌や本がたくさんあることに加えて、スタッフの方がとてもアットホームなこともあり、ついつい長居したくなる空間『わいわい‼コンテナ2』。
様々なテーマが設けられたコンテナの中には、ポップアップストアやチャレンジショップなど、アイデアと工夫で様々な使い方ができる『チャレンジコンテナ』が備えられています。
実は民有地である『わいわい‼コンテナ2』。まちなかで『集う』『出会う』『発見する』をコンセプトに運営されていて、誰もが自由に楽しむことができます。芝生で遊んだり、くつろぐ人たちも。
公共と民間が混ざり合い、場所に賑わいを持たせることで、まちの風景に"色"を与えます。
チャレンジコンテナを活用した、大学生によるチャレンジショップの1日駄菓子屋さん「駄菓子屋あいちゃん」
歴史や文化を残しながらも、若い人たちの出店が増え、賑わいを見せる呉服元町。その中には「新しい挑戦をこれから始めよう!」という人を後押ししてくれる場所があります!
芸術・文化があふれ出す広場。
今までは芸術に触れる場所としてのイメージが強かった『県立美術館・博物館』。施設の魅力はそのままに、県立美術館・博物館の前に広がる広場を活用して、『佐賀さいこうフェス』や『SAGAN COFFEE FESTA』をはじめ、人々が集まる様々な大型イベントが開催されています。
以前は広場の園路と芝生の間に植え込みがあったり、段差があったりして利用できる範囲が限られていましたが、4年前にリニューアルを行い、広場全体がフラットな、とても使いやすい場所になりました。
美術館・博物館と広場が連携したイベントが開催されることで、更にこの場所の魅力が際立ち、人々の賑わいが生まれそうです。
サガテレビ主催の『春フェス』の様子
これからは施設の中だけでなく、広場も含めたこの場所全体が、佐賀が誇る芸術・文化を"見て、"食べて、楽しみ、素敵な時間を共有する場所"になっていくでしょう。
まずは探してみよう!
今回は『中央大通り』『呉服元町』『佐賀城内』の3つのエリアから、佐賀らしい素敵な空間の活用事例をご紹介しました。
日々の通勤や通学で使われる大通りが、思わず立ち止まる魅力的な場所に......。
広場の一角が、個人の小さなチャレンジを応援してくれる場所に......。
歴史を感じる城内が、新たな賑わいの拠点に......。
公共空間と企業や団体、そして個人。たくさんの素敵な人々と公共空間とが掛け合わさり、結びつくことで、佐賀がさらに魅力的なまちになるかもしれません。
どんな場所があるかを知り、歴史や地域を知り、佐賀を知る。些細なことですが、普段とは少しだけ見る角度を変えてみることが"佐賀の魅力""佐賀らしさ"を育む大きな一歩になっていきます。
「この場所でこんなことしたら面白そう!」「こんな使い方をしたらもっと賑わうかも?」
想像力は無限大。人それぞれのユニークな視点を持ってまちを見渡してみたら、何気ないベンチも何か面白い、魅力的な場所に見えてくるかも......?
文章・写真:ノギ 児玉、江頭
編集:EDITORS SAGA編集部 相馬
※写真、一部提供