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農家を救う狩猟ビジネス、捕まえているのは人の心。『太田製作所』太田政信さん|嬉野市【SAGAローカリスト6】 PR

私たちが暮らす地域。その魅力は、文化や歴史、産業だけでなく、そこでの暮らしを楽しむ人々の想いによって作り出されています。佐賀県には、自分の"やりたい"ことを追い求め、人々を巻き込みながら、地域の魅力を高めている人達がいることを知っていますか?

そのような地域で暮らす人々を「ローカリスト」と呼び、皆さんにお知らせする連載。

第6回目は、「太田製作所」で代表を務める太田政信さんの活動をお届けします。

自分のまちを、自分の手で守ってみせる。

164億円。これは、全国で調査した野生鳥獣による農作物の被害額です(平成29年度)イノシシだけでも50億円近い額になると言います。その被害の深刻さは、佐賀県でも例外ではありません。

太田さんは、嬉野のお茶農家に生まれました。農家として、父親と同じ道を歩み始めますが、心を込めてつくった農産物が、イノシシなどに食べられてしまう獣害に悩みます。「本当に悔しくて、イノシシが憎くて、最初は全滅させてやろうと意気込みました」と太田さん。とにかく農産物の被害を減らそうと、自ら箱罠を製作しました。すると、おもしろいようにイノシシが捕獲できたと言います。

しかし、捕獲できた喜びと同時に、太田さんにはある想いが芽生えます。「猟友会の高齢化が進み、数十年後には誰もいなくなってしまうと気付いたんです。これだけの数のイノシシを捕獲する人がいなくなると考えると怖いですよね」生まれ育ったまちの未来に危機を感じたのでした。

マイナスのものを、プラスに変える活動。

太田さんが独学で試行錯誤の末に製作した箱罠。軽さと頑丈さが特徴の箱罠は、 長期間誰でも使うことができます。それを「譲って欲しい」という声が届きます。ビジネスとして成り立つ試算ができ、太田さんは猟師を職業として生きていくことを決意。獣害対策としての罠や道具を製作・販売する「太田製作所」を立ち上げたのです。

それから、嬉野市では少しずつ被害は減少。まちの農家さんたちからは、感謝の言葉がかけられるそうです。現在では、イノシシの箱罠だけではなく、作物を荒らす外来種アライグマの捕獲機アラホールの製作・販売も行い、全国の獣害対策に貢献しています。

さらにYoutubeやSNSでの情報発信にも積極的な太田さん。投稿した動画を見た人たちと、インターネットを経由して、日本全国からの交流や注文が生まれているそうです。それでも「今は、罠を売るだけなんです。捕獲した命を頂いて、多くの人に食べてもらってこそ本当の猟師だと思います。ジビエをこのまちの特産物にしたいです」と語る太田さん。被害を減らし、特産品をつくる。太田さんはこのまちの大きな役割を担っています。

これからの時代を生きる新しい猟師のカタチ。

金髪のヘアスタイルに、アライグマのTシャツ姿。一癖ある陽気な若者といった出で立ちの太田さん。初対面で猟師だとわかる人は少ないはず。しかし、猟や地域に対する想いを聞くと、穏やかだった表情が一転、グッと真剣な表情になります。
「今、イノシシを捕獲して提出すると、自治体から報奨金がもらえるんです。だけど、その報奨金が出なくなったら捕獲する人は減ってしまうと思います。だから、これからは捕獲したイノシシをちゃんとお金に変えられる仕組みをつくらないといけないんです」その想いを表すように、太田さんの名刺には、「猪突"儲"進」と書かれています。

イノシシをお金に変える仕組みづくりのひとつとして、現在、食肉加工処理所を建設中。その資金の確保にはクラウドファンディングを利用しています。SNSなどの情報発信で、これまで山間部に興味がなかった若い世代の心を捕獲しつつあります。
「今後 、猟師の高齢化は明らかです。だから、これから私に課せられた使命は、イノシシを捕まえる人を捕まえることだと思っています」と語ってくれました。様々な問題に直面する現場で、めげずにしっかりと前を向く、新しい、そして、これからの猟師の姿がそこにはありました。

プロフィール:太田政信
1988年嬉野市のお茶農家の家に生まれる。家業の農家の道へ進むも、農作物をイノシシ、アライグマなどの野生動物に荒らされる獣害に悩む。捕獲のために、狩猟免許を取得し、地域の害獣の減少に貢献。次第に猟のおもしろさに気付き、猟師に転職。以後、新しい猟師のスタイルを確立しながら、罠や猟の道具を日本全国に販売している。

情報 

太田製作所

〒843-0303 佐賀県嬉野市嬉野町大字吉田甲2499
HP:https://www.inoshikajp.com/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCA66Ml_3VX941_zxiIJwyXg?view_as=subscriber

クラウドファンディング
第1弾「厄介者のイノシシを捕まえて嬉野の特産品を作る獣肉処理施設を作りたい」(終了しました)
https://camp-fire.jp/projects/view/158499?fbclid=IwAR18tX9_oSuZ449mgrBwAnddZAjWp4HYAlU7zraIpVtXNQiC61UFnaHUfCw

第2弾「アライグマ専用捕獲機を普及させ外来種のアライグマから日本の生態系を守りたい」(挑戦中!!!)
https://camp-fire.jp/projects/158498/preview?token=1t1qyjvd

イベント

SAGAローカリストアカデミー開催決定!【応募終了】

私たちが暮らす地域。その魅力は、文化や歴史、産業だけでなく、そこでの暮らしを楽しむ人々の想いによって作り出されています。佐賀県には、自分の"やりたい"ことを追い求め、人々を巻き込みながら、地域の魅力を高めている「ローカリスト」たちがいます。
「ローカリストアカデミー」は、地域で活動する「ローカリスト」と出会える機会です。
このアカデミーで「地域づくり活動」の魅力と可能性を見つけてみませんか?

【佐賀会場】2019年9月7日(土) 13:00-16:00  SAGA CHIKA 佐賀県庁地下1F
【嬉野会場】2019年9月22 日(日) 13:00-16:00 旅館 大村屋

詳しくはこちら↓
WEB:https://www.sagajikan.com/sagalocalist/
申し込み【応募終了】:https://www.sagajikan.com/sagalocalist/inquiry/


文:岡優一
写真:藤本幸一郎

EDITORS SAGA 編集部

SAGAローカリスト2019

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