学校外に活動の場を持つことで、高校生たちは自分自身と向き合っていく
『NPO法人 WeD』代表理事 吉森旭希さん
高校の養護教諭としてさまざまな悩みを持つ生徒と関わってきた吉森さん。漠然としたモヤモヤを抱える子どもたちを見て、生徒たちが学校を飛び出し、地域との関りを持つことで変わることがあるのではないかと感じるようになったそうです。2019年11月には高校生と一緒に任意団体として活動をスタート。2021年4月には『NPO法人WeD』を立ち上げ、2023年度にはパナソニック教育財団「子どもたちの‟こころを育む活動"」で全国198件の応募中の中から見事に優秀賞を受賞しました。現在では活動の幅をさらに広げ、高校生支援と題して唐津の高校生たちとさまざまな地域活動に取り組んでいます。
「養護教諭として保健室にいると、経済的・家庭的な悩みを抱えている子や友達との悩みを抱えている子、何かわからないモヤモヤを抱えている子たちが話しに来てくれます。みんなの話を聞いている中で、"この子たちは学校の中で能力を持て余してるな"と感じたんです。だったら、学校の外でキラキラ輝ける何かがあったら絶対いいな!って思って生徒たちに声をかけたんです。」
後にNPO法人WeDの一期生となる高校生たちと、試行錯誤しながら活動を始めた吉森さん。学校外で活動する生徒たちが笑顔になり、自己肯定感を高めていく姿を見て、近い将来社会に出ていく高校生だからこそ"地域とつながりを持つことが大切"だと明確に感じるようになっていったのです。
地域とつながるきっかけは高校生と唐津の未来を形作っていく
吉森さんは、「子どもたちが地域の学生として、将来、地域を担っていく一市民として、地域とつながるきっかけを持って欲しい」という想いを込めて高校生支援活動を行っています。
「唐津を出ていく子どもたちが、また唐津に戻ってくるかどうか。その判断材料は、"きっかけがどこにあるのか"だと思っています。高校生時代に地元の人たちと一緒に協働してなにかを作り上げたとか、高校生たちが18年間生きてきたなかで、地域の良いところとか、ちょっと残念なところとかを知るだとか。将来、いま関わっている高校生たちが外に出た後に、『やっぱり唐津のああいう良いところをPRしたいから唐津に帰ってこよう』とか、『まだまだ物足りないところもあったから自分たちがなんとかしなきゃ』とか思ってもらえるような"地域とつながるきっかけ"をWeDが作っていきたいと思っています。そういう想いを少しでも持ってくれるように将来は唐津に帰ってきてくれたらいいなって想いながら支援しています。」
地域活動を通して自分自身を見つめている高校生たち。そんな高校生たちと同じように、特技や経験を持っていなくても、地域の魅力を通して自分のなかのモヤモヤに気づくことができたなら、地域づくりのスタートラインに立てているのかもしれません。
吉森さんがモヤモヤを抱える高校生に向けて蒔き続ける種は、これからの唐津に大きな花を咲かせることになるでしょう。そんな吉森さんの今に注目です。
プロフィール
吉森旭希(よしもり あき)
1983年埼玉県生まれ、5歳頃に父の実家がある佐賀県唐津市に移住。熊本大学の養護教諭特別別科を修了後、小学校や高校で講師を務め、2009年4月から佐賀県の養護教諭としてのキャリアをスタートさせた。2019年11月に高校生と活動を始め、2021年4月にNPO法人WeDを設立。現在も仕事と代表理事を務めながら高校生を支援している。
文章:星野 アオイ
写真:鷲崎 浩太朗
編集:山本 卓、EDITORS SAGA編集部
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日時 | 2024年9月23日(月・祝)13:00~17:00(予定)(受付開始 12:30~) |
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場所 | 佐賀県庁 新館 地下1階・SAGACHIKA-サガチカ- (〒840-0041佐賀県佐賀市城内1丁目1-59) |
参加対象 |
50名(先着申し込み順) |
参加費 |
無料 |
参加ローカリスト |
江口 智子 / 刑部 信人 / 深海 宗佑 / 吉森 旭希 |
プログラム内容 |
12:30~ 受付開始 ※参加申し込みは公式LINE「SAGAローカリスト」の応募フォームからお願いします。 |