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青をテーマに有田を探す『Dig Arita』―SAGAローカリストアカデミー 深海さんお試し地域づくり活動― PR

2024年11月30日に開催された、"その日限り"の五感を使った体験型ツアー『Dig Arita(ディグ アリタ)』。
時代を超えて有田焼を彩ってきた「青」をテーマに焼き物を中心とした有田の歴史や文化、食に触れるこのツアーは、有田町のローカリスト・深海宗佑さんと4人のネクストローカリストによって実現されました。

当日参加したゲスト5人は、深海さんやネクストローカリスト、窯元さん、地元カフェのシェフが交流をしながら、有田の歴史・文化・風土に複合的に体験しました。

ネクストローカリスト自身が体験した有田の魅力をゲストも存分に体感してもらうため、深海さんとネクストローカリストの4人で何度も打ち合わせを重ねて作り上げた『Dig Arita』。

その『Dig Arita』が出来るまで、そしてツアー当日の様子をレポートします。

まずはスタッフツアーで有田を知る

有田焼をはじめとした焼き物を支える『株式会社 深海商店』を担う傍ら、自身が感じる有田の魅力を発信し、ガイドも務める深海さんの案内のもと、まずは『九州陶磁文化館』で有田や有田焼の歴史について学びます。

2m弱の大きな『有田焼からくりオルゴール時計』をはじめ、有名窯元の作品や歴史的な佐賀や長崎の焼き物を中心にたくさんの所蔵品を有する『九州陶磁文化館』。

また、プロジェクションマッピングなど工夫を凝らした展示にも圧倒されますが、そこに深海さんの"説明パネルには無い、百婆仙の子孫ならではのお話"も重なり、一気に有田の世界に吸い込まれます。

1時間半の『九州陶磁文化館』でのツアーに「まだ見足りない!聞き足りない!」という声も。

美味しい有田を知ってもらう

後ろ髪をひかれながら、『九州陶磁文化館』の次に向かったのは、松浦鉄道・蔵宿駅にある野菜料理カフェ『薪の宿から』。

シェフ・髙岡さんが手がける料理は、新鮮でこだわりの地元野菜をふんだんに使われており、見て楽しい、食べて美味しい逸品ばかり。

ツアー本番でディナーをご用意いただくこともあり、ランチを兼ねて打ち合わせをしました。

ランチを待つ間、"有田焼の陶片をお皿にする"というアイデアから、深海さんがお持ちの陶片をそれぞれ手に取りながら、どんなお皿でどんな前菜が出てきたら面白いか、どんな装飾でゲストをお出迎えしようかと、想像を膨らませます。

ランチに舌鼓を打ちつつ、どんなツアーにしたいという話から、アカデミーやお試し地域づくり活動に参加したキッカケや普段どんなことをしているかなど、アカデミー内では聞けなかった話で盛り上がり、ネクストローカリスト同士の仲も深まりました。

ツアーの最後を飾る器

ランチの後は、ツアー本番のディナーで使用する器を作成される『勇山 どろ窯』へ。代表の垣本さんに、どろ窯で作られる作品の紹介や工房案内をしていただき、器作りへの想いや一つひとつ異なる色、形、表情を持つ作品たちに4人は一瞬で心を掴まれた様子。

またコンテナに入れられた数々の器や花器に「このお皿で○○食べたい!」「一輪挿しにお花を添えて、テーブルに飾りたい」といった話で盛り上がりました。

工房見学の後は、深海商店に場所を移動し、ディナーで提供する平皿づくりを体験。
垣本さんの指導のもと、粘土を伸ばして、空気を抜き、形成していきます。

作るお皿のノルマは1人4枚!最初はトントントンッと軽快な音で叩きのばしていましたが、だんだん腕の疲れを感じ始める4人。
時には垣本さんの手もお借りしながら、笑いが溢れる工場内で作られた器たちは、同じ手法で作ったものでも1枚ずつ表情が異なります。

作った器は『どろ窯』で素焼きしていただきました。後日、筆や霧吹きなどを使って器に装飾する「釉薬がけ体験」をしました。

体験後は再度『どろ窯』で本焼きをしていただき、個性溢れる立派な平皿になりました。

自分たちが感じた"有田"をゲストに届けるには

開催に向け、数回行った対面やオンラインでの会議では、SAGAローカリストアカデミーのワークショップで出た意見をフィードバックしながら、ツアーのタイトル決めや、ツアーの詳細情報、集客方法、ディナーの装飾などについて話し合いました。

そこで生まれたのが『Dig Arita』という名前でした。「ディグる」という「掘る」を意味するスラングから、自分の知らない有田を発見する、深掘りする、探すという想いが込められています。

また有田焼や深海さんに所縁のあるテーマ「青」に、どんな形で「青」とツアーを結びつけるかと試行錯誤しました。
装飾は青いものを中心に扱い、「青」を身に着けてみては?といった話から、「当日は『青』をドレスコードにする」ことも決定しました。

様々なアイデアを出し合いながら、深海さんと縁のあるデザイナーの方に手伝っていただきチラシも作成。各自で広報活動をしていると、あっという間に『Dig Arita』のツアー日を迎えました。

『Dig Arita』開催

13時に有田駅でゲストをお迎えし、簡単な自己紹介、スケジュールを説明後、ツアーはスタート。

まずはスタッフツアーで訪れた『九州陶磁文化館』へ。深海さんのガイドを聞きながら、ネクストローカリストは有田の歴史や作品の感想、有田の印象をゲストに聞くなど、交流を深めました。

『九州陶磁文化館』の後は、『深海商店』に移動し、ゲストは『深海商店』や有田焼の歴史について深海さんとトークセッションをする場が設けられました。

その間にネクストローカリストの4人は、ツアーに参加してもらったゲストへサプライズのメッセージカードづくりに勤しみます。

ゲストへの感謝を自分たちの言葉で想い想いに綴ったカードは後程、ゲストたちの手元へ届きます。

カードを書き終えたら、4人は「深海さんのサポート班」と「ディナーの装飾班」と2組に分かれ、各自準備を開始!

サポート班はトークセッションを終えたゲストとオリジナル箸置きづくりへ。
ゲストは貝型や花型、キャップ型の可愛らしい箸置きを2つずつ選び、作りたい色を考えつつ釉薬を調合していきます。

コバルトやマンガン、銅などの金属を一定の分量で混ぜることで化学反応が起き、鮮やかな青や緑、茶色といった色や濃淡が変化するという科学実験のような時間に「懐かしい!」と声をそろえるゲストたち。

ネクストローカリストの2人は材料を配ったり、パネルを運んだりとゲストの釉薬づくりのお手伝いをしました。

一方装飾班は『薪の宿から』へ移動し、ゲストを迎えるテーブルウェアや内装の準備をします。
それぞれ持ち寄った、青い布やロウソク、花卉やモチーフを使い、元々の店内の雰囲気も活かしつつ、青を基調に落ち着いた空間づくりをしました。

箸置きづくりを終えたら、お待ちかねのディナータイム。

『薪の宿から』では、装飾班がお出迎え。彼女たちのセンスが光る装飾にみんなの顔がほころびます。

髙岡さんが腕を振るう料理は、本日限りの特別メニュー!テーブルに置かれた陶片に載せられる前菜に始まり、どろ窯の器に真新しい、珍しい料理の数々。

4人が作った平皿には、緑鮮やかなお野菜が。

スペシャルゲストに『どろ窯』の垣本さんご夫婦も加え、にぎやかな笑い声がお店の外まで温かく包み込みました。

ディナーの後は、ツアーの想い出を形に残すために、使用した器の即売会を開催。ゲストは1日を通して、有田の魅力を堪能し、ディナーで『どろ窯』の独創性の高い作品や、垣本さんの人柄や器づくりに向かう姿勢にも魅了され、多くの方が『どろ窯』の器を購入されました。またネクストローカリストが手掛けたお皿にも手が伸び、自身が手がけた器が初めて購入されたことで、感極まる姿も見られました。

最後に

ゲストをお見送り後、ネクストローカリストからは「忘れられない素晴らしい時間だった」「興味深い体験ができた」との声も。

普段は想像だけで実現しないイベントも、ローカリストの知見や参加した人たちの多様なアイデアが掛け合わさって、形になる。

ネクストローカリストにとって、今回の『Dig Arita』は、ツアーとして形にした達成感だけでなく、ゲストの5人や『どろ窯』の垣本さんご夫婦、『薪の宿から』の髙岡さん、そして深海さんといった、周りの人たちの表情や感動に触れ、今まで漠然と抱いていた「やってみたい」という想いから、一つを成し遂げた自信につながる一歩になったのではないでしょうか。

これからの佐賀の、有田の地域づくりが楽しみになるお試し地域づくり活動でした。


文章:相馬 千恵子
写真:深海 宗佑、相馬 千恵子

EDITORS SAGA編集部

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