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「これをせずにはいられない」─ 唐津のはちみつボイス☆知展と30年の音楽人生

佐賀県唐津市を拠点に活動するシンガーソングライター、はちみつボイス☆知展さんが今年で活動30周年を迎えます。ライブハウスはもちろん、小学校や老人ホームまで場所を選ばず歌い続けてきました。

2026年2月からは30周年を記念したライブツアーがスタート

「人柄第一主義」を掲げ、応援してくれる人々への感謝を忘れない─。その音楽人生の原動力を聞きました。

東京時代、お金はなかったけれど

大阪の桃山学院大学4回生、22歳のときにシンガーソングライターとして、活動を始めたはちみつボイス☆知展さん。卒業後は東京へと向かいますが、音楽で食べていくのは簡単ではなかったといいます。

「お金がなかったですね。バイトもしたくないから、最低限しかしない。音楽で稼ぎたい、でもそれほど稼げない......という状態が結構続きました」

そんな苦しい時期を支え続けたのが、幼稚園からの同級生でもある奥さんでした。
再会のきっかけは、東京へ行く前に出席した同級生の結婚式。久しぶりに顔を合わせたことが、二人の人生の大きな転機となりました。

「稼ぎがないのに結婚してくれた。音楽を辞めようとは一度も言われたことがないです。すごいと思いますよ」

そばで支えてくれている奥さんへの感謝を、過去を振り返りながら語ってくれました。

応援が生んだ、最初のライブツアー

東京時代に初めてのライブツアーを企画。
大阪、神戸、広島、愛媛、山口、福岡、そして地元・唐津。レンタカーのハイエースに楽器を積み、バンドメンバーとともに各地を回りました。

ただ、問題は資金でした。高速道路代やガソリン代、宿泊費。そのうえ、お客さんが入るかもわからない状況で、どうやって費用を捻出するか。
そこで思い切って、ホームページとメールでファンに呼びかけたといいます。

「ツアーの費用がかかるんで、応援を募りますってやってみたんです。そしたら当時のファンの方々が、何万円とか援助してくださった。それで非常に助かりました」

これが、今に続く「サポーター制度」の原点でした。
30周年ライブツアーではサポーター200人を達成。ファンとの深い絆が、30年間の活動を支え続けてきました。

ツアー中には忘れられないエピソードもありました。
山口のライブハウス「ブギーハウス」では、手違いで予約が入っていなかったのです。

それでもマスターの好意で急遽ライブを開催。結局お客さんは1人だけでしたが、その1人に向けて全力で演奏をしたといいます。

「予約が入ってなかったって言われた時はどうしようかと思いましたけど、空いてたからよかった。そういうのは縁を感じますね」

地元・唐津で活動する意味

東京での活動を経て、現在は唐津を拠点に活動しているはちみつボイス☆知展さん。全国各地でライブツアーを行いながらも、地元・唐津での活動は多岐にわたります。

エフエム佐賀、FMからつなどのレギュラーラジオ番組を持ち、YouTube番組「はちみつボイス☆の唐津んつんつん!!」では、唐津の魅力、名所、グルメスポット、方言を楽しく紹介しています。

さらに、「唐津くんち」をテーマにした楽曲も制作。地元の文化を音楽で表現し、発信し続けています。

ライブの場所も選びません。ライブハウスやバーだけでなく、小学校、老人ホーム、保育園でも歌い、音楽の楽しさを伝えています

「呼ばれていく時は、みなさんが馴染みやすいような曲を歌うとかしてますね。この間も北波多の保育園に行きました。子どもたちも親御さんも一緒に盛り上がって、面白かったですよ」と笑顔で話してくれました。

曲が生まれる瞬間

はちみつボイス☆知展さんの曲作りは、言葉から始まります。

「言いたいことがやっぱあるから。こういう内容を伝えたい、歌いたいって思って、そこに曲が一緒についてくる」

30周年記念の新曲「これをせずにはいられない」について、創作のプロセスを語ってくれました。

「水木しげるさんの名言で、『あなたがせずにいられないことを一生し続けなさい』っていう言葉があるんですね。せずにいられないってことは、好きで好きでしょうがないってことじゃないですか。それをヒントに、この曲を作りました」

「これをせずにはいられない」という言葉が頭に浮かぶと、同時にメロディーもついてくる。浮かんだメロディーは録音するが、いい曲は録音しなくても覚えているといいます。

ただし、曲ができてからが本当の勝負です。

「アレンジがめちゃくちゃ大事です。どの楽器を使うか、前奏はどうするか、いきなり歌から入るか。エレキギターか、アコースティックギターか。いい曲になるかどうかは、アレンジ次第ですね」

人気のある曲を聴いて、「これはこういうアレンジだからすごく売れたんだろうな」と分析。それを参考にしながら、自分の曲をどう届けるか、試行錯誤を重ねています。

教える喜び、一緒に演奏する楽しさ

ギターのレッスンも行うはちみつボイス☆知展さん。

「やる気のある人が来ると、上手になっていく様を見るのが楽しいですね。上手になってくると、教えてるというよりも、一緒に演奏を二人で楽しんでるみたいになる。レッスンというより、セッションですよね」

生徒の成長を見守り、一緒に音楽を楽しむ─。それが教える喜びだといいます。

はちみつボイス☆知展さんと音楽を学び、また一人唐津から音楽を楽しむ人が増えていきます。

30周年、そしてこれから

2026年2月からは、30周年記念ライブツアーがスタート。東京、大阪、福岡、唐津、そして今後は沖縄、仙台へと、活動の幅をさらに広げていきます。

「もっといろんなとこに行きたいですね。海外にも行きたい。ツアーで旅に出るのが一番楽しいかもしれません」

30年間続けてこられた原動力は何か─。
応援でしょうね、皆さんがね。あと妻でしょうね、やっぱね」とはにかみながら答えます。

来年は新しいアルバムを制作予定で、再来年はそのアルバムのツアーに出るそうです。音楽を続けることに、迷いは一切ありません。

インタビューの最後に新曲「これをせずにはいられない」の出だしをギター1本で歌ってくれました。

これをせずにはいられない / これをせずにはいられない / これをせずにはいられない / だから今日もしている

シンプルな言葉に、30年間の音楽人生が凝縮されています。
音楽が好きで、歌わずにはいられない。その純粋な想いが、はちみつボイス☆知展さんを支え続けています。

唐津を拠点に、全国へ。応援してくれる人々への感謝を胸に、これからも歌い続けます。

人名 はちみつボイス☆知展
公式SNS 公式Instagram:@hatimituvoicetomonori
公式HP こちら

ライター

mon(もん)

佐賀在住のライターです。 珈琲と読書、絵本、そして“新しい発見”が大好き。 夫と3人の子どもたちとにぎやかで、時には穏やかな毎日を...

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