佐賀の魅力ある品々を、編集部の中島が取材してお届けするシリーズ「MONO SAGA」。
生まれも育ちも佐賀なのに、魅力をうまく伝えられなかった私。けれど東京での大学生活を経て地元に戻ると、佐賀のうつわにどハマり。「佐賀さいこう!」「器かわいすぎ!」と感動し、週末は県内を駆け回るようになりました。
そこで思ったのが、佐賀の工芸や手仕事の素晴らしさをもっと多くの人に知ってほしい、ということ。そんな思いから、この連載を始めました。編集部3年目、まだまだ勉強中ですが、この視点だからこそ伝えられるものがあるはず。等身大の目線で佐賀の"いいモノ"をお届けします。
記念すべき第1回は、佐賀を代表するやきものの町・有田で出合った、とっても素敵なプレートです!
- 今回見つけた"佐賀のいいモノ"はコレ!
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皓洋窯(こうようがま)の7寸(約21cm)プレート皿。
伝統の有田焼柄をやわらかなタッチで描き、現代の食卓にもすっと馴染む一枚です。
創業79年。伝統と"今"を掛け合わせた皓洋窯
やってきました、やきものの里・有田町。
通りを歩けば、窯元の看板や、素敵な器が並んだショーウィンドウがあちこちに。まるで街全体が小さなギャラリーのようです。
今回訪れた「皓洋窯」は、伝統的な有田焼の技を受け継ぎつつ、現代の暮らしに合う遊び心あるデザインを提案する窯元です。
出迎えてくれたのは、窯主の前田洋介さんと妻の美樹さん。
窯主・前田洋介さんと妻・美樹さん
1946年創業の皓洋窯は、洋介さんで三代目。唐草や花模様といった伝統柄も、線のやわらかさや色のニュアンスを工夫して、現代の食卓に合うデザインにアレンジされています。まさに、伝統の美しさと実用性を両立させ、日常に取り入れやすい器づくりをされているんです。
「技や工程は同じでも、やっぱり自然と作る人の性格や好みが出てきますね」と教えてくれた洋介さん。その言葉通り、伝統を大切にしながらも、どこか今の時代に寄り添う感覚が素敵でした。
取材中、特に印象に残ったのは「大量生産よりも、手に取ってもらえる数を丁寧に」という考え方。10〜20個という小ロットでの注文も受けているそうで、大量生産が当たり前の時代に、あえて選ぶ"丁寧な暮らし"にぴったりのものづくりだと感じました。
私が思わず「かわいい!」と手にとったお皿を紹介
店内のギャラリーには、日常で使いやすそうなアイテムがずらりと並んでいます。
ベーシックな藍色の染め付けの器から、差し色にもぴったりなイエローやグリーンのやきものまで、同じ有田焼でもここまで幅があるとは驚きでした。
素敵な作品の数々をウキウキと楽しんでいると、思わず「かわいい!」と声に出さずにはいられないお皿を発見...!それがこちらのプレート皿。
縁にはやわらかな茶色のライン。その内側には、唐草模様をアレンジした青い線が描かれています。凛としていながらも、どこか優しい雰囲気があって、この絶妙なバランスに一目惚れしてしまいました。
実はこの特徴的で美しい青の模様は、絵付け直後は地味なグレーのような色合いだそうです。それが窯で焼かれると、あんなに鮮やかな青色に変わるというから驚きです。
さらに、高温で焼くと少し縮むことまで計算して作られていると聞き、「職人技ってすごい...!」と感動しました。
実際に手に持つと、厚みがちょうどよくて重すぎない。直径21cmというサイズ感も万能で、深さがなく平たいプレートタイプなので盛り付けもしやすそうです。
美樹さんのおすすめは、トーストやサラダを盛り付けるブランチ皿としての使い方。私は、パスタやカルパッチョなんか盛り付けても素敵かも!と考えるだけでワクワクでした。
職人の手仕事を間近で
工房を見学させてもらうと、絵付けの様子にも釘付け。器や柄によって筆や呉須(ごす・絵付けに使う顔料)の濃さを変え、細い線から太い筆使いまで巧みに使い分けています。
下書きなしで、すらすらと絵付けを行う手元は、まるで呼吸をするような自然さ。思わず、こちらも背筋が伸びるような緊張感です。
「熟練の職人さんだけど、やっぱり人が描くからこそのちょっとした個性が出るんです」と洋介さん。
ひとつひとつ手描きだからこそ、模様の出方や呉須の濃淡、釉薬のツヤ感もそれぞれ少しずつ違う。ひとつとして同じ表情はなく、その違いもその器だけの個性になるのも心惹かれるポイントかも。
職人技と古くからの伝統が400年経った今でも、人の手で受け継がれている姿に驚きと発見の連続。間近で見た絵付けにワクワクしっぱなしで、あっという間の取材でした。
一枚あれば、料理が映える。出番の多すぎる"万能皿"
お持ち帰りしたお皿を早速使ってみました。
ケーキをのせてみると、とってもおしゃれに...!お皿を変えるだけで素敵なカフェ気分が味わえるなんて、これはテンションが上がっちゃいます。
この7寸(約21cm)のプレートは、唐揚げやハンバーグはもちろん、スライストマトやお刺身など、とにかく使い勝手がよさそう!3寸や5寸のサイズ違いも揃っているので、組み合わせて楽しむのもいいですね。
ちなみに、このプレートは佐賀市柳町にある古民家カフェ『こねくり家』で使われています。「実物を見てみたい!」という方は、ぜひ足を運んでみてくださいね。
店舗名 | ものづくりカフェ こねくり家 |
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住所 | 佐賀県佐賀市柳町4-16 MAP |
営業時間 |
11:30~15:00 ※14:30 ラストオーダー |
定休日 | 毎週月曜日・毎月最終火曜日 |
公式SNS | Instagram @conekuriya |
伝統工芸の使い方は、もっと自由でいい
有田焼は、思っていたよりずっと自由で、もっと日常に寄り添える存在でした。「特別な日だけのもの」から「毎日使いたいもの」へ。皓洋窯の器からは、そんな温かさが伝わってきました。
佐賀には、まだまだ知られていない魅力的な工芸や手仕事がたくさんあります。次はどんな"いいモノ"と出会えるのか――。
これからも佐賀の"いいモノ"をお届けしていきますので、お楽しみに!
店舗名 | 皓洋窯(こうようがま) |
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住所 | 佐賀県西松浦郡有田町桑古場乙2380-1番地 |
営業時間 | 9:30~17:00 (12:00〜13:00は不在) |
定休日 | 土日・祝日 |
電話番号 | 0955-42-2762 |
公式サイト | https://kouyougama.co.jp/ |
地図 |
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EDITORS SAGA編集部 中島