コロナをきっかけに都会から地方に移住する方が増えていると様々なメディアで言われていますが、実は"移住関心層"の65%はコロナ禍になる前から移住に関心があるけれど、一歩を踏み出せてない人たち!
不安要素は何だろう?移住した人はその不安要素を本当に解決できている?
実際に佐賀に移住して、生活を送る佐賀在住のエディターやEDITORS SAGAに縁がある"移住の先輩"に当時の不安を解消するために実践したことなどをインタビューし、紹介する『移住ムズムズタイムズ編集部』。
第3回目は、みやき町で『大富牧場 FLYING COW』の代表を務める大富藍子さんをご紹介します。
環境の変化で視野が広がる
みやき町で生まれ育ち、高校卒業後に"演劇の道"を目指し、単身上京した大富さん。上京したての頃は「佐賀に帰る」という選択肢はなかったそうです。
しかし、10年間の東京生活で移りゆく身の回りの変化から、家族と過ごす限られた時間を大切にしたいと思い、佐賀県にUターンします。
「佐賀に戻ってきた時の最初の不安は、やっぱり仕事。どんな仕事があるか、そもそも仕事があるのか不安でした。でも、環境が変わる分、仕事に対しての考え方も変わりました。視野が広がったことで、新しくやりたい、やってみたいと思うことが見つかり、それが"仕事"としてできています。今までの経験も全然無駄じゃなくて、むしろプラスアルファとして役に立っています」と大富さんは言います。
視野が広がることによって、今まで演劇で培った表現力や発想力、接客業の経験を活かしながら働くことが出来たという大富さんは、現在、嫁ぎ先の『大富牧場』で採れた牛乳を使った人気のこだわりプリン『牧場プリン3』をはじめとしたスイーツなどの製造・販売・営業を行っています。
「都会から地方へ移ったからといって、今までの経験が無駄になることはないんです。今の働き方は本当に自由で、自分で仕事を作ることも出来ます」と、今の時代だからこそ、多種多様な働き方が出来る。想像力次第と話してくれました。
気持ちが自然と優しくなれる
「地方では個々を見てくれる、ひとりひとりを大切にしてくれる印象をもっています」と大富さんは言います。
個人の意見が通りやすく、親切にしてくれる人が多いため、その影響で自分自身も周りの人達に対して優しい気持ちで接することができるそうです。
また、地方での生活はより一層"景色の変化"や"旬のもの"を味わうことができ、季節の移ろいを五感で感じられると実感したと言います。その時々の季節の良さを感じながら、ゆっくりのんびりと過ごせ、心にも余裕ができたそうです。子ども達ものびのびと育っているとか。
合わなければ、戻ればいい!
ムズムズしている時間がもったいないという大富さん。
「"移住=定住しなければいけない"と考えている方もいらっしゃると思います。一度したいと思ったら、やってみたほうがいいと私は思います。最近では"お試し移住"などの取り組みもありますし。それで自分に合わなければ、戻ってもいいと思うんです。そう、"戻る"という選択もできるんです」と、話します。
旅行で数回訪れるより、実際に住んでみることで、その土地の印象も人との関わり方も変わる。地方ならではの色々な体験。都会の喧騒から離れ、ホッとする時間。そこにお金を払うだけの体験はできると、大富さん。
一度きりの人生、やりたいと思ったことは、行動に。一度立ち止まっても、戻ってもいい、とスッと心が軽くなる言葉をいただきました。
プロフィール:大富 藍子(おおとみ あいこ)
みやき町生まれ。
高校卒業後、演劇の道へ進むため単身上京。28歳でUターンする。
現在は『大富牧場 FLYING COW』で自家製プリンなどの製造販売するほか、農業女子の野菜販売を行うなど、農業と地域の人々をつなぐ場所づくりを行っている。
EDITORS SAGA編集部 相馬