「山内町」行ったことありますか?
こんにちは!エディターの齋藤奈紀です。 「食」「農」をテーマに記事を書いている私ですが今回は「町」に注目。 図書館や温泉、国指定重要文化財の楼門で有名な武雄市にある「山内町」のおすすめスポットを3回に分けて紹介していきます。
第一弾は、山内町三間坂「trattoriYa Mimasaka」
記念すべき第一弾は、EDITORS SAGAの先輩エディターでもあり、ソムリエとしても私の先輩である鳥谷憲樹さんがオーナーを務める「trattoriYa Mimasaka」(トラットリヤミマサカ)にお願いしました!
「trattoriYa Mimasaka」オーナーソムリエ 鳥谷憲樹さん
今回はレストラン経営だけではなく、武雄市の地域創生、町おこし、更には進路に悩む若者への人生相談?!まで幅広く活動していている鳥谷さんが
「なぜ山内町三間坂で」
「なぜサービスマン、ソムリエとしてお店を開いたのか」
という疑問に答えてくださいました。(鳥谷さんファン、必見です!)
予約が取れないイタリアン。素敵なお料理をご紹介
まずは腹ごしらえということでランチをいただきました。
シェフ特製 地元野菜のバーニャカウダ
和牛ハチノスのトマト煮込み "トリッパ"
手打ちパスタ"タリオリーニ"
自家製パンチェッタと黒キャベツのソース 武雄市東川登の契約農家「おかわりのうえん」で取れた「黒キャベツ」をつかったパスタ。 パスタの麺やパン、デザートなどほぼすべて自家製。
料理も最高!カプチーノも最高!
ちなみにランチのおすすめは選べるランチコースは¥1940~。
(前菜・パスタ・メインディッシュ・デザート・コーヒー)
隠れた人気メニュー。可愛いカプチーノは鳥谷さんのお手製。
フェットゥチーネ 鴨のラグーソース\ 1,680ディナ―限定の手打ちパスタもおすすめです。 美味しいランチと鳥谷さんのウィットに富んだ接客のおかげで和やかな雰囲気になったところで......
日本一のサービスマン。誕生秘話。
サービスマンというと美しい所作とスマートなサービスでお客様のお食事を楽しく、より一層輝かせてくれるかっこいい存在。 そんな魅力的な仕事である一方、勤務時間は長く、ハードな立ち仕事で体調を崩す人も多い仕事。 好きな仕事と、心配する家族。 鳥谷さんもかつてその葛藤に悩むひとりでした。
なぜサービスマンになろうと思ったのか?
高校卒業後、大学進学のため上京した鳥谷さんでしたが人生を模索中、飲食店でのアルバイトをきっかけに「飲食の道に進もう」と決意。
お金を貯めて調理の専門学校に入り直し、2年間料理の勉強に励みます。
しかし、お客様と接する仕事の方が自分に向いていると気づき、専門学校卒業後は外資系ホテルのサービスマンとして就職。 東京の高級イタリアンレストランでサービスマンとして研鑽を積まれました。
サービスコンクールへの挑戦。お父様への想い
人生を変えるきっかけとなったのは2011年。 「HRS サービスコンクール」というサービスの技術、技能を競うコンクールの全国大会に職場の代表として出場することとなりました。
調理の専門学校での経験、また10年間の職場経験からサービスの技術、職場やお客様からの信頼を得ていた鳥谷さん。 更に大会への挑戦を強く後押ししたのが「サービスマンとしての実績を残して安心させたい」 息子がサービスマンであることを心配していたお父様への思いでした。
しかし、大会出場に向けて準備や勉強、特訓に励んでいた矢先に届いたのは、まさかのお父様の訃報でした。 東京から慌てて佐賀に戻った鳥谷さんでしたが現実を受け入れる時間もないほど大会の日時は迫っていました。
「大会出場を諦めるべきか」
しかし鳥谷さんはそんな状況でも決して諦めませんでした。 悲しみや喪失感を堪えて東京へ戻り、そして迎えた大会当日。 そこにもう悲しみや迷いは見られませんでした。 決勝戦では審査員相手にジョークで笑わせる余裕すら見せて見事......全国優勝!!!!
日本一のサービスマンとなった鳥谷さんは心機一転、次なる挑戦の場イタリアへ旅立つことにしました。
イタリアでの修行中、オリーブオイルソムリエも取得したそうです。
人生に迷っていた
サービスマン日本一の肩書きを手に入れイタリアへ。 そして帰国後イタリア料理店を開く。 そう聞くと順風満帆な人生のように感じますが、実際のところは「迷ってばかりの人生だった」と語る鳥谷さん。「自分は本当は何がしたいのか」という問いへの答えはなかなか見つからなかったそう。 イタリアで修行後、山内町に戻り、家族とお正月を過ごした鳥谷さん。 お父様を亡くしたご実家でのお正月は、とても静かなものだったそう。 その静かなお正月が鳥谷さんの胸に1つの決意を与えました。
「故郷を盛り上げたい」
その想いでスタートしたのがこの「trattoriYa Mimasaka」だったのです。
山内町で「サービスマン」として働く。
2016年12月、山内町三間坂にオープンした「trattoriYa Mimasaka」。 鳥谷さんは開業当時より「オーナーソムリエ」としてホールに立っています。 料理の専門学校での経験やイタリア修行のことを考えると鳥谷さん自身が「オーナーシェフでも良いのでは?」とも思うのですが、お客様のご要望にいち早くお答えするため、調理場は東京、イタリアで修行を積んだシェフに任せご自身は「オーナーソムリエ」として接客に専念されています。
鳥谷さんが故郷である山内町で働くことを決めた当時、山内町には「サービスマン」という職種はありませんでした。 そこで鳥谷さん自身が「サービスマン」という立ち位置を創ることを決意。 東京やイタリアで培った接客技術を生かして、今日もお客様を楽しませています。
「孫」ターンという働きかた。
「trattoriYa Mimasaka」が建っているのは鳥谷さんのお祖父様、お祖母様の家だった場所です。「誰かが継いで守っていかなければならない」 そう語る鳥谷さん。 そんな鳥谷さんは、自分と同じように「祖父母が遺してくれた土地を、孫たちが受け継ぎ守っていく」 いわゆる「孫ターン」で再就職、起業している若者達と積極的に交流を図りその取り組みは山内町を超えて、武雄、有田など佐賀西部へと広がっています。
佐賀西部は焼き物の郷。
「trattoriYa Mimasaka」では近隣の窯元やご友人の器をつかってお料理を提供しています。
総面積2000坪の広大な敷地には四季折々の木々花が植えられています。なんと鯉も!
まとめ
私にとって鳥谷さんとはライター、ソムリエ、サービスマン すべてにおいて尊敬する先輩。
そんな大先輩から取材をご快諾いただき天にも昇る気持ち...... の反面本当に私のような若輩者が文章にしていいものかと悩みながらのスタートでした。 しかし実際にお話を伺ってみると鳥谷さんの「サービスマン」という仕事に対する熱意に感銘を受け、これは何とも記事にして若者、そして同じサービスマンに伝えなければ!という使命感に駆られました。
飲食やサービスの仕事に携わっていない方にも今回の記事を通して鳥谷さんの情熱やお人柄が伝わっていたら嬉しいです。 「自分の仕事に誇りをもって働く」ことが多くの人の心を動かすのだと取材を通して実感させていただいたように思います。
「trattoriYa Mimasaka」の皆様ありがとうございました。
情報
trattoriYa Mimasaka(トラットリヤ ミマサカ)
TEL 0954-45-4389
営業時間 ランチ 11:30~15:00 (L.O.14:00)
ディナー 18:00~22:00 (L.O. 20:30)
定休日 水曜
駐車場 18台
HPアドレス http://trattoriya.com/
E-mail http://trattoriya.com/info/