(2023.05.15 更新)
皆さんこんにちは!エディター 齋藤奈紀です。
食欲の秋、楽しんでいらっしゃいますか?
(私はとっても満喫しています!笑)
先月の10月27日(土)、28日(日)の2日間。佐賀県武雄市で新しい地域振興プロジェクト「ready GO! project」が開催されました!
記念すべき第1弾の舞台に選ばれた武雄市の特産品【猪×レモングラス×パクチー】を福岡の1日1組限定フレンチレストラン「Pinox」水野シェフがとっておきの料理に作り上げ、大好評だったのはつい最近のこと。
当日使用した食材のひとつ「たけおパクチー」は武雄市の 「江口農園」さんが育てています。
もともとはキュウリ農家だったという江口さんが"なぜパクチーの栽培に取り組むこととなったのか?"
知ってびっくり!食べて美味しい!パクチー情報をみなさんにお伝えします。
江口農園 江口竜左さん
【武雄市北方にある江口農園さんの畑】
耕作放棄地を開墾して、1から作り上げたという農園にはハウス栽培や露地栽培で育てられているパクチーが青々と繁っています。
種植えをして発芽までの期間は季節にもよりますが、30日から90日ほど。
年に5回ほどのサイクルで収穫されます。
[パクチーの新芽]
敷地内にはレモングラスや空芯菜などパクチー以外にも様々な野菜が植えられています。
江口農園さんは今や日本におけるパクチー栽培のパイオニア的存在。
その栽培地を見るべく、日本だけでなく海外からも多くの視察団が武雄市を訪れています。
「武雄市と他の自治体をつなぐ架け橋となることができたら嬉しい」と語る江口さん。
「たけおパクチー」誕生秘話
長年農協職員として勤めたのち、農業を始めたお父様と共に農業と就労継続支援事業所を営んでいる江口さん。
もともとはお米農家としてスタートし、現在もパクチーだけではなく米やきゅうりなど多くの種類の作物を育てています。
「お客様と一緒に作る」農業を目指して
農家の方々が作った野菜は、農協やスーパーに卸されるため、江口さんたち生産者が直接私たち消費者と触れ合う機会はほとんどありません。
しかし、自分たちが一生懸命作った野菜を「食べてくれている人の笑顔を見たい」、「消費者の生の声を聞きたい」その想いを抑えきれなくなった江口さん。
農作業だけでなく対面販売にも取り組み、時には自ら車を運転して、県外まで野菜を売りに行き、いつしか「きゅうり王子」と呼ばれる存在になっていきます。
そんな江口さんに1本の電話がかかってきました。
「武雄市でパクチーつくりませんか?」
武雄市ではレモングラスに次ぐ特産品として、パクチーの栽培計画が持ち上がっており、江口さんたちに白羽の矢が立ったのです。
当時はまだ日本人の多くがパクチーのパの字も知らない頃。
香りも味も独特で珍しい野菜。"きっと話題になるはず"
「自分自身よりも、自分が作ったものが有名になってほしい」 そう感じていた江口さんにはピッタリの作物でした。
早速「面白そう!」と手をあげた江口さん。 こうして「たけおパクチー」への挑戦が幕を開けました。
「育たない」「売れない」数々の困難を乗り越えて
武雄市役所と二人三脚状態でスタートしたパクチー栽培。 ところが実際に種を植えてみると......発芽しない。
原因を調べようにも当時日本でパクチーを育てている農家はほとんどなく、 資料や情報すら皆無という状況。
長年の苦労の賜物
そこで江口さんたちは 1日の作業が終わってクタクタの中、毎晩ミーティングを重ね種を植える深さ、肥料、水やりのタイミング、など試行錯誤を繰り返す中で、自分たちにあった一番良い方法を見つけていったのだそう。
[スプリンクラーで散水]
しかし、ようやくパクチーづくりの目処がたってきてホッと一息する間も無く、江口さんの目の前には更なる困難が立ちはだかったのです。
販売先が決まらない!迫るタイムリミット
実は江口さんとお父様の間にはひとつの約束がありました。 「半年間で成果が出なければパクチーは諦める」。
しかし思い通りにならないのが農作物。 「思い通りに育たない」、「販売先が見つからない」。 悪循環に悩まされる日々が続き、あっという間に5ヶ月半が過ぎました。 約束の期日まであと2週間。
もう辞めてしまおうか、そんなことすら頭によぎった瞬間...... 東京のパクチーハウスで販売することが決定!!!
それから「たけおパクチー」は一気に日本中に広まったのです。
パクチー農家が教える「パクチーの新常識」!?
江口さんが作っているのは「パクチー好きのためのパクチー」。 パクチー大好き!!そんな人にこそ食べていただきたい。 江口さんのパクチーは、パクチー本来の香りと味をしっかりと楽しめるよう当初から一貫して本場タイ産の種を使った栽培にこだわり続けています。 そのため本場の味を追求するエスニック料理のレストランやパクチー好きの消費者を中心に。また、ここ数年のパクチーブームを追い風に「たけおパクチー」人気は高まるばかり。
そんなパクチー好きさんのために江口さんが教えてくれたとっておきの情報を3つお知らせします。
1.パクチーの旬は春と秋!
エスニック料理に多用されるからか 夏のイメージが強いパクチーですが 実は、パクチーがよく育つ季節は「春」と「秋」。 そしてパクチーが一番美味しくなる季節がもうすぐやってきます......
2. 葉野菜だから?!冬こそパクチー!!!
香りや味わいから「ハーブ」に分類されそうなパクチーですが本当は「葉野菜」。 キャベツや白菜が寒さにあって甘くなるように 冬場のパクチーは甘くて美味しくなるとのこと。 水炊きなどの鍋や辛い鍋にもおすすめです。 今年の冬は「冬パクチー」に挑戦してみてはいかがでしょうか?
3. 葉だけじゃない!根っこも食べれらます!
パクチーの本場では、根も貴重な食材。 栄養も豊富で、素揚げや炒め物で美味しく食べることができます。 江口農園さんでも、健康な根っこのために肥料にこだわり、ふかふかの土でパクチーを栽培。
収穫時も根っこを傷つけないよう細心の注意を払っています。
ready GO!Project
江口農園が手がける 「たけおパクチー」は 10月27日(土)、28日(日)の2日間武雄市で開催された 「ready GO!Project 」のディナーで食材として採用されています。
今回の「ready GO!Project 」では、ハウスで育ったハウスパクチーだけではなく武雄の風土から恩恵を受けた「露地」パクチーも使用しました。
[右側が露地パクチー]
エスニック料理ではなくフレンチとのコラボ。 またソムリエが厳選したワインとのペアリングも楽しめるとあって「たけおパクチー」の可能性がますます広がりそうなディナーでした。
まとめ
今回ご協力いただいた江口さん。 言葉の随所に「食べてくれる人の笑顔のために」 また「地元武雄のために」という気持ちがこもっていて、お話を伺いながら本当に暖かい気持ちになりました。
私は普段ライターをしながら レストランでソムリエとしても働いています。 生産者とサービスマン。立場は違えど「食べてくれる人の笑顔のために」という目標は同じ。
飲食業に携わる人間として、江口さんたち農家の皆さんの想いと、食材の美味しさを1人でも沢山のお客様に伝えられるような仕事をしよう!と誓った1日でした。
情報
スポット名 | (株)江口農園 |
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住所 | 武雄市北方町大字芦原244 |
公式サイト | たけおパクチー【青空レストラン登場】パクチー好きのためのパクチー |
公式SNS | Instagram:@ryusuke_eguchi |
情報 |
【TEL】0954-36-3490 【MAIL】tatu-6@cableone.ne.jp |
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