木を植え、育て、伐り、使い、また植えるという森林資源の循環利用を後押しするために、林業や木材産業を中心に、様々な事業の輪が広がっています。特に佐賀県内の多くの森林は収穫期を迎えており、森林整備の観点からも「今、木を使うこと」が求められています。
今年も開催された『第8回 さがの木の住まいコンクール』。このコンクールは県産木材をふんだんに使用し、「木の心地よさ」「かっこよさ」をアピールできる魅力的なデザインの木造住宅・木質空間を募集し、その優れた事例を広く紹介するために開催されています。
「より多くの方に木造建築物や木質空間へ県産木材を活用してもらうこと」を目的とされていますが、木の特性や温かみを活かした本当に羨ましくなるような作品が目白押しです。今年は新築住宅部門に46作品、木質化部門に5作品の応募がありました。
今回は優秀な成績を収めた9作品をご紹介します。
過去の受賞作品の紹介はこちら。
さがの木に住まう。第6回さがの木の住まいコンクール受賞作品紹介!【さがの木と暮らすvol.4】
今年も開催『第7回さがの木の住まいコンクール』受賞作品紹介!【さがの木と暮らすvol.7】
「新築住宅部門」
施主様の想いも汲みながら、木の特性や温かみを活かした作品が揃う「新築住宅部門」。
施主様のこれからの心地よい生活を思って建てられたそれぞれの住宅には、大工さんや建築士さんの様々な工夫が施されています。
最優秀賞(佐賀県知事賞)株式会社田久保建設 S邸
今回、「新築住宅部門」の最優秀賞に輝いたのは株式会社田久保建設が施工したS邸。
以前は、月に数回、風通しや畑のお世話のために通われていましたが、定年を機に週末に過ごされるセカンドハウスとして建替えされることに。
自然を感じられ、開放的な空間で、家族や友人と趣味やBBQを楽しめる場所にしたいという施主様の想いから、コンセプトは「"時"を愉しむ平屋のお住まい」として設計・施工されました。
間仕切りを最小限にし、広く取られたリビングダイニングの勾配天井には県産木材を使用されています。木の持つ温かみはもちろん、木材一枚一枚が持つ表情を愉しむことができるように、木目をそのまま活かしたデザインになっています。
空間確保のために梁を太くして、柱を無くす工夫がされているため、広く開口を取ることができ、より明るく開放的な空間になっています。
施主様のご家族やご友人と、楽しく過ごされている姿が目に浮かびます。
その他の「新築住宅部門」の受賞作品はこちら
優秀賞(審査委員長賞) 株式会社坂井建設 M邸
県産木材と漆喰塗だけで仕上げた本物の自然素材住宅
優秀賞(佐賀県木材協会長賞) 株式会社小渕建設 N邸
三世帯家族が集うLDKが象徴的な木材に囲まれた家
入賞(サガテレビ賞) 有限会社江口建設 U邸
木の香りが漂うシンプルかつ贅沢な住まい
入賞(佐賀新聞社賞) 株式会社TAKEKEN E邸
佐賀の風土に根付いたおもてなしの家
「木質化部門」
県産木材を活用したリフォーム・リノベーション作品が応募される『木質化部門』
既存の建物に手を加えることで、あえて趣のある"味"を残したり、逆に大きくイメージを変えることもできます。用途に応じて、自由に取り入れられる木材の高い汎用性も感じられます。
最優秀賞(佐賀県知事賞) 株式会社マベック kominka 火風水土(ひふみど)
今回、「木質化部門」の優秀賞に輝いたのは、株式会社マベック施工の『kominka 火風水土』。
空き家になっていた築150年以上の農家の古民家をフルリフォームされ、『葉隠れの杜』の一部として日常に疲れた方々にゆるく、あたたかい憩いの場所へと生まれ変わりました。
建物の内装や外装にも、仕上げ材として県産スギ材をふんだんに使用されています。
一日一組限定の宿泊施設として運営されており「地元の方には改めて佐賀の魅力を知ってもらいたい。県外の方には新たに佐賀の魅力に触れていただきたい」というオーナーの想いが込められているそうです。
構造材や建具、土壁などは丁寧に補修することで、日本家屋の趣を存分に残し、手足が直接触れる化粧材には新たに県産木材を使用するなど適材適所でそれぞれの役割に合わせた仕上げにしたそう。
農家民宿として生まれ変わり、佐賀県内外の方へ県産木材を知って欲しいという施主の思いを汲み、畳の代わりに県産スギ材を敷き詰めたというフローリング。実際に素足で木に触れることで、木の持つ特有の「心地よさ」や「温かさ」「柔らかさ」が体験できると大変好評だそうです。
その他の「木質化部門」の受賞作品はこちら
優秀賞(佐賀県木材協会長賞) 有限会社江口建設 K邸
時代に合った過ごしやすい生活空間に大変身
入賞(サガテレビ賞) 良和建設株式会社 K邸
自己所有の山材から伐り出した木材で建てられた築150年以上の古民家をリフォーム
入賞(佐賀新聞社賞) 株式会社小渕建設 F邸
暖かく安心して生活できる住まいへリフォーム
最後に
木材を積極的に利用することは、日々の生活に温もりや心地よさ、安らぎを与えてくれるだけでなく、森林の管理による防災や地球温暖化の防止にも役立ちます。
県産木材という佐賀の持つ資源の価値を改めて知る。自分の目で見て、手足で触れることで、また新たに気づく県産木材の価値。そうして価値を再認識・再発見することが、県産木材の魅力や大切さ、そして豊かな風土をもつ佐賀の魅力を感じることに繋がるのではないでしょうか。
心地よい暮らしを「さがの木」で。
ぜひ、佐賀の県産木材に触れて、さがの木の魅力を再発見してみては?