【山下鮮魚店】 想像を超えるほど美味い!佐賀のうなぎの蒲焼きが大町にあった!

【山下鮮魚店】 想像を超えるほど美味い!佐賀のうなぎの蒲焼きが大町にあった!

「タレが最高においしくて肉厚!それでいてふわっふわのうなぎを食べられるとこ見つけた!」友人が自信満々に言うので「どこのうなぎ屋さんですか?」と聞いてみた。

友人「それがさー!うなぎ屋さんじゃなくて、町の普通の魚屋さん。しかも、テイクアウトのみ!」
私「え?!うなぎ屋さんじゃないの?そしてテイクアウトのみ?」

友人の話を聞いたときは、てっきり『〇〇うなぎ』などのうなぎ専門店だろうと思っていた。
それが、町の普通の魚屋さんだって!?

友人「うちの母は結構、食通だけど、今まで食べたうなぎの中でも、格別においしいと絶賛していた。俺はうなぎ、あんまり好きじゃないけど、ここのうなぎは食べられるんだよねー。こないだの土用の丑の日も5枚も買っちゃった。」と、きれいに並んだうなぎの蒲焼きの写真を嬉しそうに見せてくれた。

「山下鮮魚店」のうなぎの蒲焼き

「そんなにおいしいうなぎがあるのか?しかも魚屋さん?」

言い忘れたのだが、友人は佐賀市内出身。魚屋さんがあるのは市内から車で40分ほどかかる杵島郡大町町(きしまぐんおおまちちょう)これだけうなぎ専門のお店がある中、その場では食べられない、持ち帰りだけで販売している魚屋さんで買うということは、それなりの理由があるはず。

友人たちと別れた私は、気付いたら大町町に向けて車を走らせていた。

「山下鮮魚店」の看板

なぜ、うなぎ?

「山下鮮魚店」は1960年から佐賀県杵島郡大町町福母に店を構えている。
初めは鯨を主に売っていたそうだがご存知のとおり捕鯨ができなくなってからはその他の鮮魚でお店を切り盛りしてきたと話す2代目の山下淳也さん。
当時は杵島炭坑でにぎわったが、1969年の閉山後は人口減、不況、スーパー進出など逆風にさらされてきたらしい。
うなぎは、およそ50年前から販売しているそう。
創業当時から伝わる秘伝のタレ。実はこのタレ、当時から使っては継ぎ足し、使っては継ぎ足しが繰り返されてきたいわゆる伝統的な継ぎ足しタレで50年前の味がそのまま受け継がれている。
うなぎ自体は、国産で柳川から仕入れているそうだ。

「山下鮮魚店」のうなぎの蒲焼きを使ったうな丼

なぜ、うなぎを始められたのか聞いたところ、
詳しいことはわからないが「他の魚屋さんがうなぎをやっていて、どうもうなぎがいい(儲ける)らしい。」と先代が始めたと笑いながら話す山下さん。

もっと深い理由があるのかと思っていたのだが、なんという率直な理由(笑)!!!

そんな安易ともとれる動機でスタートしたにも関わらず、町の内外にまでファンを獲得するほど極めているところが、逆に凄いと感心してしまった。

「山下鮮魚店」手書きのメッセージボード

店内には大きく「疲労回復に土用にうなぎ蒲焼き食べて夏を乗り切りましょう!」と手書のボードが!

店の入り口に立つ二つの「うなぎののぼり」

外にはうなぎののぼりが2つも掲げてある。完全に鮮魚よりもうなぎ押しだ!

友人が絶賛していたうなぎのかば焼き。
さっそく焼いてもらうことに。

うなぎの蒲焼を作る様子

うなぎの香ばしいかおりが広がり、思わずよだれがでる。

街の人と世間話をする山下さん

うなぎを焼くために外に顔を出されると街の方が通りかかり、自然と世間話をされる山下さん。近くにある銀行の警備員さんまでもが業務そっちのけで話にくるくらい街の中では憩いの場となっている鮮魚店のようだ。

「山下鮮魚店」で売られる新鮮な魚

地域密着型の鮮魚店

いくらうなぎ押しと言っても、魚屋さんに来たのにうなぎの話ばかりを聞くのが申し訳なくなって、鮮魚のことも聞いてみた。
現在、イトヨリ、いわし、赤ムツなんかがおススメらしい。今ではあまり見られなくなった魚屋さんにある冷却ショーケースには目が生きた魚たちが「うなぎだけじゃなく俺らも撮ってくれんと?」と言わんばかり。
魚は毎日、鹿島市の市場で仕入れているそう。素人の私が見ても新鮮さが分かる。

山下鮮魚店は路面店だけでなく、トラックで行商もされているらしい・・・

行商から戻ってきたトラック

「ブーン!」とタイミングよく行商部隊が帰ってきた。
トラックから運び出される魚たちをみると、

「ん?!!!!!!!!!!!」

様々な魚のフライ

フ!フライにされている!!!!!!!!!

昆布巻きや総菜

しかも、昆布巻きなどの総菜まで。
新鮮な魚たちがこんがりと...。お客さんは新鮮な魚を求めているんじゃないの?
なぜ、わざわざ加工に!?
ここの鮮魚店は何を目指しているのだろうか?まったく意味がわからない。
口に出さなかったが、そんな気持ちを抑えて、聞いてみた。
「どうして加工をして、しかも行商までされるんですか?」

笑顔の山下さん

山下さん「大町は高齢化が進んで、みなさん自宅で魚を調理しなくなったんです。買った魚を煮てくれ、焼いてくれとオーダーがあり、そこから調理サービス付きに。魚を見せて、どの魚が食べたいか聞いて、どんな調理にしたいかを聞いた後に、持ち帰って調理して、また届ける。口のそばまでもっていくこともあります。笑」
一人暮らしの高齢者の方たちにも希望の食べ方を聞いて届けている山下さん。
街の人のことを家族のように思い、「好きな物を食べたいというニーズに応えたい」と手間を惜しまない。

「山下さん、すみません。意味がわからないとか言ってしまって・・・」(心の声)
手間とお金のことを考えると割に合わないはず。それでも地域密着型の鮮魚店を続ける山下さんの姿が素敵で、だからこそ街の人に愛されるんだろうなと感じた。

「山下鮮魚店」のうなぎの蒲焼き

うなぎ実食

心温まる話をきいて、うなぎを買ってもちかえることにした。
「待てよ!どこで食べよう?」私はこの日、次の取材も入っていて、佐賀市に帰ることができない。困っていると山下さんが近所の地産市場「ひじりの里」を紹介してくれたのでそこに行ってみることにした。
そこは、お食事処で持ち込みはNGの場所。うわあ...
でも、山下さんいいって言ってたしな。
聞いてみると、はじめは困惑されていたが、「山下鮮魚店さんに聞いて...」というとOKがでた。恐るべし、山下さんパワー!

「山下鮮魚店」のうなぎの蒲焼きを使ったうな丼

蒲焼きをそのまま食べようと思っていたのだが、やっぱりご飯が欲しくなり、ずうずうしくも無理を言ってご飯をよそってもらった。なんという懐の深さ。
撮影のため、焼いてから時間が経過していたにも関わらず、うなぎはふわっふわ!しかも焼きの香ばしい風味もちゃんと残っている。また、何と言っても甘辛く煮詰めたタレが甘すぎずバランスが絶妙。どちらかとゆうとしっかり味がついている濃いめのタイプ。究極、タレだけでもご飯が3杯はいけそうなくらい。

ふわふわで香ばしいうなぎの蒲焼き

友人が言っていたのは大げさではなく、私の想像をはるかに超える美味しいうなぎだった。
山下さんに聞くと、うなぎは実は冬の方が脂がのっておいしいらしい。また冬に絶対来よう。
いや、その前にもきっと行くはず。

※記事を見ているみなさん。ご飯はつかないので注意。あくまで魚屋さんです。

まとめ

うなぎを求めて行った思いつき取材だったが、山下鮮魚店の素敵な地域密着型の取り組みと大町の人の温かさに触れる旅だった。大町は炭鉱の町、当時は貨物用機関車がバンバン走っていて相当賑わっていたそう。色々なお店にのぼり旗が立つ、謎のグルメ「たろめん」も気になる。また来たい場所、大町。協力してくださった方々ありがとうございました。

山下鮮魚店

住所:〒849-2102 佐賀県杵島郡大町町福母2196
電話:0952-82-2123
営業時間:8:00~19:00
定休日:水曜日
WEB:http://omachi.sagafan.jp/c27083.html


EDITORS SAGA 編集部 中村美由希

EDITORS SAGA 編集部

編集部

今までなかなか紹介されていないような佐賀の隠れた魅力や新しい情報をお届けするべく日々、奮闘中!...

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