幕末ならぬ週末のアイドル!?【坂本龍馬の兄の子孫、郷士坂本家10代当主坂本匡弘さん佐賀県訪問】

幕末ならぬ週末のアイドル!?【坂本龍馬の兄の子孫、郷士坂本家10代当主坂本匡弘さん佐賀県訪問】

明治維新を進める大きな原動力となった幕末の志士・坂本龍馬。その坂本龍馬の末裔、郷士坂本家10代当主坂本匡弘さんが10月19日佐賀県を初訪問された。坂本さんは、来年3月に開幕する肥前さが幕末維新博覧会を盛り上げようと知事を訪ね、「平成の薩長土肥として連携し維新博に協力していきたい」と意気込みを語られた。20日に坂本さんの講演を聞くことができたのでその模様をお伝えしたい。

週末のアイドル?坂本匡弘さん

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坂本龍馬とお龍の間に子供なんていたっけ?
そう思われるのも無理もない。じゃあ坂本匡弘さんは...?というと、坂本龍馬の兄(坂本権平)の子孫にあたる。現在は、SBIホールディングスで情報システム部門長を務められているという。

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「なんだ!坂本龍馬のように全国を飛びまわっているんじゃないんだ」
と思っていたが、そんな疑念はすぐに覆された。
坂本さんは土日祝日を返上して全国にある坂本龍馬の会に参加されている。平日はサラリーマン、休日は龍馬の会へ...
イベント主催者(板越ジョージさん)の言葉を借りれば、土日になると全国のイベントに呼ばれる、まるで週末のアイドルだ。
現在、189あるという坂本龍馬の会。うち海外が17。なんとニューヨークやロサンゼルスにまであるという。
龍馬の会があること自体知らなかった上に、まさか龍馬人気が世界にまで広がっていたとは...

気になるのは佐賀県に「坂本龍馬の会」はあるのか?という事。残念ながら今のところ佐賀にはない。しかし、坂本さんが初訪問されたことをきっかけに19日行われた懇親会で意欲的な佐賀の有志たちが手を挙げた。高知県にある全国龍馬社中という組織に申請すれば正式に「佐賀龍馬会」として認められる。佐賀龍馬会の1回目が開催される日もそう遠くないかもしれない。

坂本龍馬の会の活動とは?―

「龍馬好きが集まってひたすら龍馬の話をする会もあれば、歴史を一生懸命勉強している会もあったり、ただ集まって楽しくお酒を飲んでいるという会もあったりする。
最近増えてきているのは、社会貢献をしていこうと取り組んでいる龍馬会。神奈川県の大和市というところの龍馬会は、ビーチクリーンと言ってメンバーで湘南の海のごみ拾いをしている。その他にも桜の植樹をしているところもある。龍馬とつくとみんな一つになっちゃうところが不思議」と坂本さんは言う。

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新発見!龍馬暗殺される5日前に書いた手紙。

「2017年1月に発見された坂本龍馬が福井藩重臣の中根雪江にあてた手紙」をスライドと共に説明。
高知県が1月に発表したものだが、大政奉還後の新政府樹立に向け奔走する中、財政手腕を高く評価していた福井藩士の三岡八郎(後の由利公正)を出仕させるよう、「新国家」という言葉を使いながら、藩重臣に懇願する内容である。

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一番注目すべきところは、

『三岡兄の御上京が一日先に相成候得ハ新国家の御家計御成立が一日先に相成候と奉存候』

要は、「一日三岡さんを送るのが遅れれば、一日新国家の樹立が遅れますよ」という脅しとも捉えられる一文。
140点以上あるとされる龍馬の手紙の中で「新国家」という言葉が確認されたのは初めて

新しい国を作るには、財政を立て直さなくてはいけないと考えていた龍馬。当時、財政において長けた人物が福井藩士の三岡八郎(後の由利公正)だったが、藩に対して過激な発言をしていたため幽閉されていた。それをどうにか京都に送って欲しという龍馬の熱意が伝わる。

不思議なことにこの手紙は坂本さんのご友人が所持していたそう。鑑定の要望があったため、京都国立博物館の龍馬研究に詳しい専門家に頼んで鑑定してもらったというエピソードがある。
今年は龍馬暗殺や大政奉還から150年。書状は高知県で開かれる「志国高知幕末維新博」に合わせ、3月4日から県立高知城歴史博物館で一般公開されるので興味がある方は足を運んでみるのもいいかもしれない。

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龍馬理念

高知県に坂本龍馬記念館があるのはご存じだろうか?設立にはドラマがある。
全国龍馬社中という組織の会長 橋本邦健さんは、45歳の時に尊敬していた龍馬の恰好をして一人で日本中を歩き回って寄付金を募り、7年間かかって10億円を集めた。そのお金で高知県に坂本龍馬記念館を建設、後に高知県に寄付。普通だったら自分が館長になるところだが、目的は達成したということで県に譲ったのだという。
「『自分を捨てて人のために尽くす』利他の精神を貫いた男が龍馬です」と坂本さんが語るように、現在ある坂本龍馬記念館設立にも龍馬理念が受け継がれている。

坂本さんは「前日の懇親会で武雄・嬉野に行きましたが、それぞれやっていることは違えど、皆さん地元のために何かできないかと熱く語る人が多い。龍馬は自分を忘れて日本のために尽くした男ですから、そのような精神で佐賀の皆さんも日々活動していただけたらなと思います」と佐賀の有志達に激励を送った。

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佐賀に着てみて

佐賀に初上陸した感想は?―

「人が優しい、食べ物がおいしい、おもてなしがすごい。今まで全国回ったが、佐賀が一番良かった。一度でファンになりました。県庁の大型ビジョンでの龍馬の桂浜の写真に10代目歓迎!のスライドが流れるという歓迎ムード、嬉野で食べた湯豆腐、出会った佐賀の人がみんな本当に優しい。
鍋島藩は未来を見て準備をしていた藩。薩摩や長州のように武闘派で戦ったということはないが、明治に入って官僚など優秀な方々をたくさん輩出している。佐賀藩は明治維新に大いに貢献した藩。今後の佐賀藩(佐賀県)にも注目すると同時に平成の薩長土肥として連携し維新博に協力していきたい」(坂本匡弘さん)

おわりに

全国で何度もされたであろう質問にも一つ一つ丁寧に答えられているところが印象的だった。体の大きさだけでなく、大らかな話し方と相手の話を聞く姿勢に懐の深さを感じた。先に述べたが、坂本匡弘さん(52歳)は現在はソフトバンク金融部門が前身であったSBIホールディングスの社員。「SoftBank」の社名の左にある3本線のマークは海援隊の旗を真似たのはファンの間では有名な話だ。聞くと、ソフトバンク入社時は孫社長が龍馬好きということは全く知らなかったそう。後に知ったが、40代まで自分の素性を話すことはなかった(現在は周知)。理由として「龍馬の名を使って重役になったところで意味がない」そう語る坂本さんに龍馬の利他の精神を感じた
来年3月に開幕する「肥前さが幕末維新博」では、明治維新に関わった偉人たちの子孫が集まるイベントが検討されているそう。佐賀の偉人たちの子孫がどんな人たちなのか...今から楽しみだ。

参加したイベント

【第1回佐賀九州NY異業種交流会 「明治維新150周年、薩長土肥連合をふりかえり」】

講師:坂本匡弘氏(坂本龍馬10代目子孫)
主催:Global Labo SAGA(坂本龍馬財団 理事 板越 ジョージ)
Facebookページ:https://www.facebook.com/Global-Labo-SAGA-802830479876254/


EDITORS SAGA編集部 中村美由希

EDITORS SAGA 編集部

編集部

今までなかなか紹介されていないような佐賀の隠れた魅力や新しい情報をお届けするべく日々、奮闘中!...

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