【オランダハウス】佐賀とオランダの文化の融合?!魅力に触れる10か月限定の館

【オランダハウス】佐賀とオランダの文化の融合?!魅力に触れる10か月限定の館

2018年3月、佐賀市呉服元町にできた肥前さが幕末維新博会場の一つ「オランダハウス」。

ここで開催されているものや企画展示がユニークなんです。

明治維新期の佐賀が、西洋の技術を導入し、時代をリードするきっかけとなったオランダ。さらに同国との交流を深めるため、オランダと佐賀のクリエイターによるデザインや水辺・食などをテーマにした展示やイベントを開催しています。

今回は、10か月限定という「オランダハウス」事情を紹介します。

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なぜオランダ?

疑問に思う方もいらっしゃると思うので、簡単に説明を。
17世紀、オランダは世界の海を席捲しており、その頃佐賀では当時ヨーロッパでは成し得なかった磁器の製造に成功。佐賀の有名な「有田焼」はオランダ東インド会社の船に乗ってヨーロッパに輸出され、現在もオランダのライクスミュージアムをはじめ多くの王宮・美術館に貯蔵されています。
また、当時日本で貴重だった砂糖をもたらしたのはオランダでした。シュガーロードと呼ばれる長崎街道で多くの銘菓が生まれたのはご存知の方も多いはず。佐賀に伝わるお菓子「丸ぼうろ」は、オランダ人直伝という説があるんです。

ここまでの話しで、オランダとの歴史的なつながりが佐賀にあることはわかると思いますが、幕末時期の佐賀藩とオランダの繋がりなど、もっと詳しく知りたい方は是非オランダハウスで実際に観覧してみてください。

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何が見られるの?

【展示販売】

会場には、有田焼400年事業のときにオランダと佐賀の新たな交流の証として生み出された「2016/ 」。それらをはじめとする数種類のコンテンポラリーな有田焼の展示。また、オランダの工業的なテキスタイルやプロダクトの展示販売も行っています。

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私は、日本の「フロシキ」からインスピレーションを受けたという名刺入れを購入しました。デザインしたのはオランダ人サミラ・ブーン氏。素材はビニール(プラスチック)ですが、留め金や縫い目はまったくなく、まさに「フロシキ」!! ビニールどうしがくっつくので中身が落ちる心配はありません。
フロシキは一枚の布ですが、包むものによって形を変えます。「この形態を他の素材で応用したら面白いんじゃないか?」そこに着目したサミラさんの発想と日本文化との融合に共感。モノを買ったのですが、どちらかというとコンセプトを購入したという感覚でした。

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他にも、ミッフィーになれるマスクやテキスタイルに特化したファブラボ商品など、魅力的なプロダクトが展示販売されているので是非手に取ってみてください。

【アーティスト・イン・レジデンス】

ナイキ、レッドブルなど世界的な大手企業の広告を作ってきたオランダのグラフィックデザイナー、ギルス・ドゥ・ブロックさん。

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5月13日より、アーティスト・イン・レジデンスとして肥前さが幕末維新博会場の一つ「オランダハウス」で創作活動を行われています。

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そう、実際にアーティストが創作している現場を見ることができるんです。

覗いてみると、見たこともないような機械にくっついたポスカがひとりでに動いて画を描いていました。

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この機械はオランダからもって来たとばかり思っていたのですが、佐賀に着てからアマゾンやグッデイで材料を購入してつくったんだそうです。
材料が集まるまで待つ方が長かったらしく、実際には3日間くらいでできたのだとか!すごい!
見ていると気になってしまったので、邪魔にならない程度に少しだけ聞いてみました。

オランダではフリーで仕事をしているんですか?

普段はフリーで制作活動をしているけれど、エージェントがつく場合もあるよ。それで、レッドブルとかチャンピオンとかの仕事をしたね。

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カラフルなのがギルスさんの作風ですか?

いまやっているポスカは赤、青、黄色、緑などある分での表現になるけれど、印刷のYMCKってあるように色を混ぜて表現することもあるよ。
これは、人の顔を表しているんだけど、筆ペンで試したんだ。

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アートとプログラミングとどっちを先に勉強したんですか?

元々、グラフィックデザインをやっていたけれど、マシンで表現してみたいと思ってプログラミングを行うようになったんだ。

材料は、オランダから持ってきたの?

ドン・キホーテで買ってきたり、後は有田で顔料を買ってきて試しているよ。

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現在は、7月のエキシビションに向け、さまざまな佐賀の工芸品や職人と出会い、発想を広げておられるギルスさん。ヤマト液状のりやポスカ、墨汁、筆ペンなど様々な日本の文房具が机に並んでいるのが印象的でした。

パソコン画面を見せてもらいましたが、イメージしたデザインをプログラミングしてコンピューターから命令し、画を作りだしているのだそう。パソコン上では、アルファベットと数字がずらーっと並んでいてなんだが難しかったですが、何層にも点を重ねて徐々に陰影が出てくる様は本当に素晴らしかったです。

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ギルスさんのミッションは、「自動化と伝統工芸との関連性」をテーマに有田焼の絵付け工程を行うマシンを制作し、そのマシンによって絵付けをするといった画期的なプロセスを遂行すること。

有田での視察をうけ、印象や今後の取り組みについても聞いてみました。

有田焼自体はご存知だったのでしょうか?

2016プロジェクトに友達の何人かが参画していたので有田焼自体は知っていたね。有田焼を作る工程みたいなのはインターネットとかで見たことがあったけれど、現代において作られているものや古典的な有田焼の作品を見たり、有田焼についての技法について知ったりしたのはつい最近のことなんだ。

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有田で、実際に見られてどういう印象を受けられましたか?

鑑賞すること自体は楽しかったね。けれども、自分の立場から古典的なものを見るというのは、まるでクラシック音楽を聞くときと同じような感じで、クラシック音楽ができてきた歴史を知る必要性というのは感じていないんだ。それが第一義ではなく、むしろ自分にはその過程が問題で、そちらにより興味をもって有田で見てこれたことはよかったよ。

自分にとって、今まで理解できなかったことを理解するというのはいつも楽しいんだ。有田焼の歴史を知ることよりも実際に「今いる人達はどういう風にして作っているか?」と思うことが自分にとっては大事で、興味を惹かれたね。

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今後、ギルスさんの作られた機械によって絵付けデザインが出来上がると思いますが、表現の構想や目標はありますか?

まだ、今度絵付けするものを全部作っていないので、まだはっきりとは言えないのだけれど、機械を使って描く、いわゆるオートメーション化描いたことの意味みたいなものも付随したいし、それからクラフトという面も生かしたいと思っているんだ。なぜなら、クラフトをしている人たちは手で機械と同じことをしているから。赤は赤、青は青とイメージに合わせてね。
自分としてはオートマチックに描いているような絵柄と、そのクラフトの味わいのある線の両方をコラボできたら自分の表現化ができると思っている。
なので、そのイメージでパターンのデザインを行っている途中だよ。

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伝統的な有田焼の絵付けは職人がやるもの。そう思っていましたが、ギルスさんが作るマシンが絵付けをする様子も見てみたい!純粋にそう思える制作現場でした。

また、焼き物自体は見たことがある方も多いと思いますが、ギルスさんの言う出来上がるまでの「プロセス」そこに着目するとまた有田焼に対する見え方・考え方が違ってくるのではないか?そう感じています。

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まとめ

オランダハウスを少しだけ紹介しましたが、これはほんの一部。
「クリーク・水辺」をテーマに佐賀とオランダの風景やアクティビティ、佐賀の水辺の未来についての展示。オランダ人監督、テッサ・マイヤー氏のムツゴロウを主人公にした映画「THE WALKING FISH」の撮影の様子がうかがえる展示など、見どころはたくさんあります。
オランダハウスの目の前には「SUGAR ROAD MARKET」というオランダの軽食(アップルタルト、ワッフル、コーヒー等)を提供するカフェもあるので合わせて行ってみるのもありですよ。

オランダハウスは10か月限定の公開ですが、ますます佐賀とオランダとの交流が深まっていく予感。
是非あなたも、オランダの風を感じに行ってみませんか?

※2016年に佐賀県と駐日オランダ王国大使館は「クリエイティブ連携・交流協定」を締結。さらには、2020年東京オリンピック・パラリンピックにおけるオランダのホストタウンに登録もされています。

イベント情報

Gilles de Brock 創作発表[予定]

場所:オランダハウス
日時:7/14(土)
※イベントの詳細につては随時オランダハウスFacebookページにて更新しますのでご確認ください。
Facebook:https://www.facebook.com/hollandhousesaga/

情報

オランダハウス

住所:佐賀市呉服元町8番1号
会館時間:10:30〜20:00
※開館は2019年1月まで
電話:090-7463-1608
WEB:https://expo.saga-hizen150.com/venue/holland/


EDITORS SAGA 編集部 中村美由希

EDITORS SAGA 編集部

編集部

今までなかなか紹介されていないような佐賀の隠れた魅力や新しい情報をお届けするべく日々、奮闘中!...

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