昭和レトロな商店街を紹介する「中央マーケット」探訪。
今回は、ボリューム満点の定食と店主の個性が光る、中央マーケット隣の呉服町ビル内にある定食屋「にしむら」を紹介します。
賑やかで気になる雰囲気の定食屋
656広場そばの入り口を入るとすぐに見えてくる、赤と黄色の看板。
前を通ると、お店の中から時折笑い声が聞こえ、なんだか気になる雰囲気です。
ドキドキしながら中に入ると、絶妙なノスタルジックさがある店内に置かれた4つのテーブル席が！サラリーマンや家族連れ、常連客などで賑わってました。
そして、声も体も決して小さくない店主の西村さんがあたたかく出迎えてくれます。
とにかくボリュームがすごい！味も文句なしの630円定食
メニューは6種類の定食のみ。なんと値段は全てコーヒー付きで630円です！
今回はハンバーグ定食を注文してみました。付け合わせの小鉢、卵入りの味噌汁、ご飯と、先にできたものから豪快に運ばれてきます。忙しい時は常連さんが配膳する事も（笑）これだけで割と満足するくらいのボリュームです！
そこにとどめを刺すように、びっくりするくらい大きなハンバーグが！！お客さんの間では通称「ぞうりハンバーグ」と呼ばれているそう。
630円という値段にこのボリューム！そこにまず驚きますが、味も文句なしの美味しさ。全て西村さん一人で作られているにもかかわらず、作り置きは一切しないそうです。
「分かる人には分かるけんね〜。前の日のやつは、やっぱりベチャッとしとるもん」と西村さんは言います。お店を始めてから貫き続けているこだわりだそうです。
食後は、お茶を入れているマグカップが空になったら、そのカップにコーヒーをたっぷり注ぎに来てくれます。これまた豪快です！
自然とみんな仲良くなるコミュニケーションの場
特徴的なのが、お客さんとのコミュニケーション。
西村さんがよく通る声で、一見さん、常連さん構わず喋りかけます。「今日はぬっかね〜〜こがんぬっかぎバテるよ」「うんうん、がばいぬっか」と、お客さんとの会話が始まります。
こぢんまりとした店内なので、いつの間にかお店にいるお客さん全員を交えた大談笑会になっている事も。
それがきっかけでお客さん同士で会話が生まれ、コミュニケーションを楽しめるのも「にしむら」の醍醐味です。
誰にでも気さくに話しかけてくれる西村さん。初めて入った人も、思わず常連客だったっけ？と錯覚するようなアットホームすぎる雰囲気です！まるで親戚の家に遊びにきたような、どこか懐かしくてホッとする気持ちになります。
元宝塚スターのポスターの謎
店内には、佐賀市出身の元宝塚スター、朝夏まなとさんのポスターがびっしりと貼られています。ファンですか？と聞くと、以前お店を出していた場所とのつながりがあって、応援しているのだそう。初めは数枚しか貼っていなかったのが、お客さんから貰うようになり今は壁中埋め尽くされています。
店主の人柄がお店を作っている
店主のキャラも料理も、店内の雰囲気も濃い「にしむら」。
西村さんがたった一人でお店を始めたのは50歳の時です。それまで主婦だった西村さんが、家にいるより何か始めてみようと思い立ったのがこの定食屋だったそう。白山の龍造寺八幡宮の目の前で始め、約10年。その後、建物の老朽化により現在の中央マーケットに移転されました。
最初の頃は、お客さんがつくまで毎日知り合いが通い詰めてくれたといいます。時には、お客さんから「魚の煮付けが下手くそ」と言われ、教わった事もあったそう。
50歳で全くの素人から始め、現在20年以上続いているお店。「ここまで続けてこられよるとは、お客さんに恵まれたけんよ。協力してくれる人が沢山おったけんね〜」と笑顔の西村さん。毎日通う常連さんや、10年、20年ぶりに訪ねてくるお客さん、遠くからわざわざ食べにくるお客さんも居るそうです。
根強いファンが沢山いるのは、料理の美味しさはもちろん、西村さんの人柄にもあるのだと思います。
まだ幼い頃、戦後の貧しい時代に、父が飢えた人を家で預かりご飯を出していたと言います。その小さい頃の環境が、西村さんの気さくさとあたたかさを創り出しているのだと......
まるで母のような存在。
きっと同じように思う人は少なくないはずです。
西村さんの声とお客さんの笑い声が響き渡るあたたかい定食屋「にしむら」。ボリューム満点の定食とこのお店の雰囲気は、一度行ったらきっとクセになる事間違いなしです！
店舗情報
にしむら
住所：佐賀市呉服元町2-2
営業時間：11:00〜17:00
店休日：日曜日・祝日
電話番号：0952-25-8821
「中央マーケット」の公式インスタグラム
Instagram：https://www.instagram.com/saga_chuoumarket/?hl=ja
EDITORSSAGA編集部 東成実
