【farmers trip】初夏の恵。光樹トマトの森をお散歩。みんな喜ぶボーノ!レシピ。|川副 とまと屋ファーム江島(前編)

【farmers trip】初夏の恵。光樹トマトの森をお散歩。みんな喜ぶボーノ!レシピ。|川副 とまと屋ファーム江島(前編)

佐賀の隠れた食の魅力を探求する「farmers trip(ファーマーズトリップ)」。

佐賀で活躍する料理人が県内の農家さんを訪ね、レシピのヒントをもらい、料理をする。
毎回、食べる喜びを提供する旅を綴っていきます。

レシピを教えていただくのは、JONAI SQUAREの清田氏。

訪れるのは、光樹トマトを生産している佐賀市川副町の『とまと屋ファーム江島』さん。

今回のストーリーでは、農園を訪れ一緒に収穫するところからはじまります。

【目次】

・おいしさの秘密
・光樹トマトを始めたワケ
・「とまと屋ファーム江島」のこだわり
・食材あつめ

おいしさの秘密

光樹トマトを生産している「とまと屋ファーム江島」さんは佐賀空港のちかく
のどかな田園風景が美しい場所にあります。
伺ったのは4月下旬。春の柔らかい光が差し込み、温かさが心地よい季節。

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到着すると早速ビニールハウスにたくさんの光樹トマトが顔を赤くしていました。

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早々に、トマトを見る清田さん。
清田「トマトって4月・5月ではなくて、もっと夏のイメージなんですけど、今が旬ってどうしてなんでしょう?」

江島「本来夏野菜ですが、ハウス栽培をしているので、この中がまさに7月・8月の環境なんです。だから今が一番おいしいんですね。夏になると、逆にハウスの中が暑すぎる。
なので、冬から春にかけてが出回る時期なんです」

清田「毎日ここで働いたら痩せそうですね!」

江島「本当です。汗だくになりますよ!」

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清田「そしてね。ビールのんだりしてね(笑)」

江島「それ、結局、意味ない!(笑)」

ビールの話しはさておき、早速、収穫にとりかかります。

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手袋をして優しく下の方を持ち、ヘタをハサミで切るのがコツ。

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美味しい光樹トマトのしるしはこのグラデーション。特に、美味しいものを見分けるにはピンク系ではなく、オレンジがかっているのがいいのだそうです。

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美味しいそうなトマトを見つけてこの表情の清田さん。

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試しに一つ味見......
清田「美味しい!甘さが丁度良くしっかりした歯ごたえがありますね!
江島「この白い線が美味しいしるしです」

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清田「あ。これですね!」

江島「はい。水分が多くジューシーな感じでしょ?果肉にそれだけ多く水分と旨味が含まれてる。皮がそんなに硬くないからそのまま食べられたりするし、ソースにしてもくちどけよく、食べられるのが特徴です」

清田「光樹トマトってあんまり出回らないし、手に入りにくいけれど、この美味しさとくちどけのよさが虜になるんですよね」

江島「どうしても糖度を上げようとすると皮がかたくなりやすいんです。
フルーツトマトとかって結構皮ががりがり硬いものもあると思うんですが、光樹トマトは糖度が高くてもモチモチした触感があるというのが特徴ですね。
理想的なトマトは桃みたいな感じ。ちょっと繊維質もあって、甘くてうまいというのがね」

清田「作る上でのこだわりってあります?」

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江島「そうですね。環境と湿度かな。地面は水を切っててもやっぱり空気中の湿度が高いと水分を吸収しちゃうんです。だからなるべく乾燥させて、温度はちょっと低めでゆっくり育てる。
トマトが木になってる時間を長くすること=味をのせていくという事にこだわっていますね

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江島「夜と昼の差はあった方がいいけど、なるべく温度帯は一定の方がいい。温度で赤くなるので、30度でキープしておけばどんどん熟れていくし、収穫量も増えるんですけど、赤くなるのが早いんで味がのらないというのが事実なんです。

さっき食べてもらったように、2色に分かれるようなグラデーションは、ゆっくり育ててあげないとなかなかでないんですね」

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江島「そうそう、こういうのが美味しい光樹トマト」

光樹トマトを始めたワケ

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清田「光樹トマトを作ろうと思ったのはどうしてだったんですか?」

江島「光樹トマトの生産を発足した時に、桃太郎トマトというのが出始めていて、それがメジャーだったんです。今更、そっちを走っても......という想いも実はあって。
最初は、父親が桃太郎トマトとサンロード(光樹トマトの品種)と両方試作したらしく、それでサンロードがいい!と作り始めました

その時、大阪の市場で出してたんですけど、『桃太郎じゃないとウチはいらないよ!』って言われて扱ってもらえなくて......
東京の市場だけが、『ものが良かったらとってもいいよ』と言ってくれて東京の方に卸すようになったんですね。

清田「なるほど!だから東京で出てるんですね」

江島「大田市場の東京青果ですね。よく『東京が単価高いから東京に出す』と思われがちですが、そうじゃなくって東京しかとってもらえなかったんですよ」

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江島「当初、佐賀の光樹トマト部会は36件の農家が参加していたんですけど、今では12件なんです」

清田さん「え!減ったんですか?」

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江島「そうそう。美味しいトマトと評価はあるけれど、なかなか数量が取れない。収入に結びつかないから、もっと作りやすいのを作りたいという生産者の声があって、半分になってしまいましたね......

美味しいものだけを作りたいという農家だけが残って、部会が半分になった分、評価もさらに上がったというのもあります」

清田「なるほど~。美味しいがゆえに作るのが大変......でも、我々料理人は間違いなく感謝してますから!」

江島「ありがとうございます」

清田「トマトやっててよかったなと思う事ってありますか?」

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江島「うーん。すごい作るの難しいんですよ。毎年のことだけど、美味しいものをつくるのって。でもね。ありきたりですけど、トマトが美味しい時期に、ああやっぱり美味しいね!って言ってもらえるのが一番嬉しいですね」

清田「お客さんの声ですね。わかる気がするなー」

江島「あとね。うちの子供たちって食べなれてるからなかなか美味しいって言ってくれないんですよ。本当に美味しいときしか!(笑)
ようやく美味しいっていってくれた時『ああよかった』とホッとするんです」

清田「あ~!子供たちが認めた時には間違いないトマトができたってことですね!!わー。おもしろい。子供はやっぱり正直だなー」

江島「そうそう、子どもは、素直だからね」

「とまと屋ファーム江島」のこだわり

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清田「トマト農家さんってそれぞれこだわって作られていると思うんですが、江島さんがここだけは負けないというところはありますか?」

江島「そうですね。栽培の部分では、やっぱり自分は、光合成の能力を最大限に生かしたいなと思っているので、その部分はこだわりかな。二酸化炭素を発生させるものを入れてやってることも。

あとは、こうやって畑に来てもらいたいと思っているので、来てもらえるような環境作りという部分では、他の生産者さんと違うところかもしれませんね」

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[「麦秋カフェ」2019/5/11~12麦が美しい季節にビニールハウス横で開催]

江島「麦秋カフェと言って、光樹トマトの収穫が終わる時期に敷地内で期間限定のカフェを開いたりもしています。ミニコンサートをしたり、トマトソースを使ったピザつくり体験や特製ソースをのっけたアイスの販売をしたり。
イベントもそうですが、垣根をひくくして、農家を身近に感じてもらうってことはやっていきたいですね」

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清田「どうして、農業を身近に感じてもらうことを考えるようになったんですか?」

江島「農業の勉強をするために、スイスにいったんですが、Bioで有機野菜を作りながら、家畜もかってチーズや牛乳も生産していて。ヨーロッパではマルシェも普通に農家の人たちがやっていたんです。
観光業で盛んじゃないですか?スイスって。それで、住民も農家の人たちが景色をちゃんと作ってくれているからという事ですごい感謝されている。すごくカッコイイな!と思いましたね。自分もそんな農家になりたいなって」

江島「佐賀県は、食材に恵まれてて、豊富だから、野菜も当たり前に身近にあったりするでしょ?」

清田「そうですね。豊かがゆえに、価値がそうでもなかったりする」

江島「やっぱり農家を身近に感じてもらえることをやりたいなと。今は、家族だけでやってますが、いずれは人を増やして、トマトづくりやりたい人を雇用してトマトの生産者が増えるような形も作っていきたいなという想いもあります」

清田「すごいなー。美味しいとトマトづくりだけではないその姿勢がかっこいい!」

食材あつめ

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光樹トマトについて詳しくなったところでいよいよ調理!
トマトに合う食材を求めて情報を聞く清田さん。
川副の道の駅に向かいます。

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直売所「むっちゃん」。
ここでは、光樹トマトの品種である「サンロード」も販売しています
高級な光樹トマトとまではいきませんが、同じ品種で味も美味しく比較的安価で手に入るということで教えてもらいました。

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江島さんのトマトはさっそく売り切れ......
さすがです。

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トマトと相性の良い食材を選ぶ清田シェフの姿は真剣そのものでした。

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江島さんからいただいた光樹トマトに加え、玉ねぎやバジル、ホウレンソウなどを調達。

川副エリアでの食材集めはこれにて終了です。
いったい、どんな料理作られるのでしょうか?

次回は、とまと屋ファーム江島さんのトマトを使った特別レシピを公開します。


佐賀らしい地産地消を見つけるス―トーリー『farmers trip』

清田隆史

JONAI SQUAREカフェ料理長。
高校時代自転車で九州を1周するなど旅好き。
卒業後、自衛隊で6年間勤務するも海外への夢を捨てきれず1年間ニュージーランドへ留学。
毎日の自炊の中で料理への興味が沸き始め、25歳で料理の道へ。
福岡で3年間の修行後、佐賀へ......
佐賀の食材や生産者との出会い、佐賀に根付く。
Eat local Sagaをモットーに普段から佐賀の食材にフォーカスした料理スタイルを提案している。

情報

とまと屋ファーム江島

住所:佐賀県佐賀市川副町大字犬井道5893
WEB:https://poke-m.com/producers/124?fbclid=IwAR35jjLaS09gQK1Xg7rE8z4rTG_LWyh77tpQzEz3CXzIpxzUGXY00pmdjgA

直売所「むっちゃん」

住所 佐賀市川副町大字西古賀47番地9
営業時間 8:30~18:00
定休日 お盆・正月のみ
TEL 0952-45-8545

JONAI SQUAREカフェ

住所:佐賀県佐賀市城内1丁目6番10号
TEL:0952-23-9113

営業時間
月~木 10:30~19:00
金・土 10:30~21:00
日 10:00~18:00
WEB:https://jonai-square.jp/


EDITORS SAGA編集部 中村美由希

EDITORS SAGA 編集部

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