【みないろ会×さがすたいる】バリアフリー映画「ひいくんのあるく町」上映会&トークショーレポート PR

【みないろ会×さがすたいる】バリアフリー映画「ひいくんのあるく町」上映会&トークショーレポート

みなさん映画って観たことありますよね?

では、「音声ガイド付き映画」って観たことありますか?

いわゆる健常者の私たちが普通に観ている映画を、そのまま視覚や聴覚に障がいのある方が観るには大きなバリア(障がい)があります。そのバリアを取り除き、みんなで映画を楽しみたいという想いで活動する佐賀県の団体「みないろ会」が初めて音声ガイドを制作した、バリアフリー映画の上映会&トークショーを行いました。

音声ガイドってどんなもの?「みないろ会」ってどんなグループ?

上映会の模様と合わせてお知らせします。

目次

バリアフリー映画って何?

バリアフリー映画には、視覚や聴覚に障がいのある方も健常者も一緒に映画を楽しむために

・画面に映っている場所の情景や人物の動き表情などを音声で解説してくれる「音声ガイド」

・セリフだけでなく音楽や効果音の説明、話しているのは誰なのかを字幕で教えてくれる「バリアフリー字幕」

この2つがついています。

スクリーンに映っているものを説明してくれるといっても、本当に音声だけでイメージすることができるのか?そんな風に思っていた時に会場で聞いた「視覚に障害のある方が音を聞いて『イメージする』力はものすごいんだよ」という言葉がとても印象的でした。

「みないろ会」とは?

みないろ会のメンバーが受付でお客さんの相手をしている様子

佐賀には、そんなバリアフリー映画の音声ガイドの制作に取り組むグループがあります。

2018年4月1日に発足した「みないろ会」は、正式名称「みんなでいろんな映画を見たいからバリアフリー映画をつくる会」。その名の通りメンバーは健常者、視覚に障がいのある方、聴覚の障がいのある方とさまざまな人がいて、共通しているのはみなさん映画好きということ。音声ガイドを制作しているグループは全国に数あれど、これだけさまざまな人がいるユニークな団体はなかなか珍しいそうです。

バリアフリー映画と呼ばれるものはすでに世の中にいくつかあるものの、「やっぱり自分たちが観たい映画を選びたい!」という想いが「自分たちで音声ガイドをつくろう」というグループの結成につながりました。

「みないろ会」が目指すのは「障がいのある人もない人も映画を通して交流し、つながることのできる環境づくり」。音声ガイドを制作することによってみんなでいろんな映画を観ることができるようにしたい、と会長の森きみ子さんは語ります。

「みないろ会」×「さがすたいる」映画『ひいくんのあるく町』上映会

上映会の冒頭であいさつをする森会長とそのわきに立つ手話通訳者、補助のみないろ会メンバー

そんな「みないろ会」と佐賀県が取り組んでいる、障がいのある方も含め、佐賀県で暮らす誰もが安心して暮らしていけるまちを目指す「さがすたいる」がコラボして開催されたのが今回の上映会&トークショーでした。

はじめてのバリアフリー映画鑑賞に少しばかりどきどきしながら会場の佐賀市松原にあるシアター・シエマへ。上映されたのは、「みないろ会」がはじめて音声ガイド制作を手掛けた青柳監督作の映画『ひいくんのあるく町』でした。青柳監督の故郷、山梨県の市川大門にいる「ひいくん」のほっこり心温まるドキュメンタリー作品です。

ひいくんが写っている映画の一場面、「僕は小学生のころからこの道でひいくんを見かけていた」とナレーションの文字が表記されている

音声ガイドとバリアフリー字幕があって情報があふれることで混乱しないのかな?と思っていましたが、すぐに慣れてきました。

今回初めてバリアフリー映画を観たというお客さんからは、「音声ガイドをつくるのは大変だったろうなと思う」「映画にそもそも入っている音やセリフの邪魔をせずに音声ガイドを入れることや過剰な説明にならないようにするなど細心の注意を払ってつくられているのがわかった」という感想が聞けました。

青柳監督、ひいくん、日本映画大学の芦澤さんのトークショー

トークショーに登壇している青柳監督とひいくん、日本映画大学の芦澤さん、両脇には手話通訳者と聞き手の福島さん

上映会が終わった後は青柳監督とひいくん本人、日本映画大学の芦澤さんのトークショーが行われました。

聞き手は「みないろ会」の福島さん。終始和やかな雰囲気で進んでいき、映画の制作秘話が語られました。主役であるひいくんこと渡井秀彦さんに会場のお客さんから「映画が公開されて何か変わったことはありますか」という質問が飛び、街の人から「スターだね!」と言われるようになったというエピソードも。会場から湧き上がる拍手にひいくんもこの表情です。

笑顔を見せるひいくんと青柳監督

トークショーで話される内容はその場で要約筆記を行うスタッフによって文字化されたものがスクリーンに写し出され、耳の不自由な方にも分かるようにリアルタイムで届けられました。

3人の要約筆記スタッフとスクリーンに「司会/まもなくトークショーを始めます。席についてお待ちください。」の文字

また、トークショー内容の通訳として手話通訳者もステージそばにいらっしゃったのですが、お客さんが登壇者に手話で質問する際にも活躍されていたのが印象的でした。

手話で質問をする女性のお客さん

イベントの最後には映画のパンフレットにひいくんがサインをしてくれるという一場面も。パンフレットを購入したお客さんたちの列ができ、ひいくんや青柳監督と一緒に写真撮影をする人たちもみられました。

「みないろ会」初の音声ガイド制作

イベント終了後、「みないろ会」の会長である森きみ子さんにお話を聞くことができました。

自身が視覚に障がいのある森さんは、音声ガイド制作をするにあたって一番重要な「視覚に障がいのある方の視点」を伝える役割を担っておられました。

編集部アイコン編集部

視覚に障がいがある場合、映画を観るときのバリア(障がい)について教えてください。

森さんアイコン森さん

大きなバリアのひとつとして「時間の流れがわからない」ということがあります。朝なのか夜なのか、1日の出来事なのか数日にわたっての出来事なのか、場面の切り替わりがわからないんです。

なので、音声ガイドをつくっているときに「ひいくんの服装を入れてください」と言ったんです。

今回の映画では、ひいくんの服装や持ち物を伝えるナレーションを入れています。ひいくんの服装や持ち物の変化によって、自然と場面の切り替わりを理解することができるようになります。

編集部アイコン編集部

音声ガイドをつくるうえで大変だったことは何ですか?

森さんアイコン森さん

説明が不十分だともちろんいけませんが、映画が伝えたいニュアンスを言いすぎても良くないので、言葉ひとつをとっても言い回しはどうしたらいいかをみんなで考えました。さらに音声ガイドは登場人物のセリフの間に入れなければならないため、あまり多くを伝えることもできません。

音声ガイド制作には大変な労力がかかるものですが、これらを音声ガイド制作の専門家もいない中、「みないろ会」のメンバーで行うのは本当に大変でした。

編集部アイコン編集部

説明しすぎても良くないというのは意外でした。だから映画の後半は前半に比べて音声ガイドが少なかったんですね。

森さんアイコン森さん

ドキュメンタリー映画なので最初はどうしても説明が多くなりなすが、重複した説明は控えるなど、できるだけ説明を少なくしていきました。音声ガイドがついているからと言ってすべてがわかるわけではないし、どうしてもわからないところは一緒に映画を観た方が説明してくれるんです。

そういうコミュニケーションが生まれていくことの喜びがあるのが映画のいいところですよね。同じ映画を観てみんなで感想を語り合ったりする時間が好きなんです。

編集部アイコン編集部

「みないろ会」のこれからの目標は何ですか?

森さんアイコン森さん

今回は、初めての取組だったので短い映画を選びました。次はもう少し、上映時間の長い映画に挑戦したいと思っています。

私たちと一緒に活動してくれる「みないろ会」もメンバーも募集しています。興味があればぜひ申し込んでもらいたいです。「みないろ会」に入会すれば、いろんな人と映画について話すことができますよ。

みないろ会事務局

シアター・シエマ

住所:〒840-0831 佐賀県佐賀市松原2丁目14-16
TEL:0952-27-5116

音声ガイドは視覚障がい者の2本目の杖

ひいくんのあるく町上映会&トークショーのチラシ

このチラシを視覚に障がいがある方に説明しようとしたとき、どんなふうに説明しますか?

「ヘルメットを反対向きにかぶったひいくんが歯を見せてにこやかに笑っていて、着ているTシャツは薄い茶色に英語で何か書いてある。首から赤いひもの名札のようなものをぶら下げている。」

こんな言葉で説明する人が多いのではないでしょうか?じつはこのフレーズは私が取材に行く前に考えたフレーズです。一見ひいくんのことをたくさん説明しているように感じられますが、背景の情報は一切伝えていません。パッとチラシを見たときに得た視覚情報の中で、背景を背景として認識し無意識に「伝えるべき情報」から省いてしまっていました。

「胸から上のひいくんの笑顔がアップで掲載されています。バックに町の一角と、その向こうには山並みが、その上には青空が広がっています」

こちらは映画『ひいくんのあるく町』のチラシの点訳文章と映画の音声ガイド冒頭に採用されているフレーズです。ひいくんの説明も必要最低限で想像の余地を残し、背景のこともしっかり伝えています。

森さんは普段の生活の中でも一緒に話をする人たちが音声ガイド風に自分の周りの情景や人、モノの動きなどの説明を加えて伝えてくれるのがとても嬉しいのだと語ります。

今回上映会で音声ガイドを聞くことができたので、自分が視覚に障がいのある方と会話したり、何か説明するときには音声ガイドをお手本にして上手く伝えたいと思いました。

まとめ

映画館で隣の席の人と一緒に観た映画の話をしてみれば、感じたことが同じだったり違ったりするのは、障がいの有無で変わるものではありません。

たとえ、自分の意見とまったく逆の感想があったとしてもそれは「そんな見方があるのか」という発見であり、そこが映画のおもしろいところではないでしょうか。

そんな映画の面白いところを誰とでも楽しむことができるのがバリアフリー映画なんですね。"みんなでいろんな映画を見たいからバリアフリー映画をつくる"みないろ会の活動に今後も注目です。

※今後も「さがすたいる」では、当事者と県民が交流し、相互理解を深めるためのイベントを実施していく予定です。

情報

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EDITORS SAGA 編集部

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