ここ数年、農業高校や商業高校など、学校オリジナル商品を開発して販売する動きが活発です。
佐賀市の中心市街地を盛り上げようと活動する「NPO法人まちづくり機構ユマニテさが」は、街なかでもそのような商品を販売する機会を増やし、お互いのPRにつなげたいとさまざまなイベントを開催。2019年9月、「さがん高校生マルシェ」では佐賀玉屋に県内7校の生徒たちが集まり、それぞれの商品を対面販売しました。
今回は佐賀市で開かれている佐賀城下ひなまつりの開催時期に合わせ、佐賀県立高志館高校と街なかの飲食店のコラボを企画。高校生がつくった野菜や味噌を使って、10店舗が各店のオリジナルメニューを考案し、2020年2月15日から17日まで、実際に店内で販売・提供しました。
使う食材は、ミディトマト、スティックセニョール、ベビーリーフ、天然醸造みそ。ユマニテさがが高志館高校に相談に行き、2月の時期に提供できる野菜や食品の中から4品に決定したということです。
それぞれの食材のポイントを作り手である高校2年生たちに聞いてみました。
ミディトマト
・土を使わないハウスでの水耕栽培
・果皮が薄くてジューシー
・糖度も高くて食べやすい
スティックセニョール(茎ブロッコリー)
・畑で栽培するアブラナ科の緑黄色野菜
・ブロッコリーよりも花は小さく細長い脇芽を収穫
・ほんのり甘くコリッとした食感
ベビーリーフ
・野菜の幼葉の総称。ここでは10種類栽培
・水耕栽培で種を植えて1~1ヶ月半で収穫
・シャキシャキとしてミネラル豊富
天然醸造みそ
・麹から高校生の手造り。添加物は使わない
・米・麦・大豆が全て佐賀県産
・市販の味噌より1.2%減塩
・1回で約400kg仕込み、年3回、計1200~1300パック販売(食品食品流通課 実習教師 江口康夫先生)
それぞれ、衛生管理にも気を配り栽培・製造していますが、中でも注目したいのが、高志館高校は「JGAP認証」を受けた農場であるということ。食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられるこの認証は、3年生の課題研究の中で取り組み、今年県内の高校では初めて認証を取得(トマトとメロン)。いくつもの厳しい基準をクリアしなければ審査に通らないという大変な苦労があったようです。
ハウスの中は全て収穫を終えきれいに片付けられた後。調整エリア含め整然としていて、しっかり管理されているようです。
ミディトマトづくりに関しては、「枝を支柱にくくりつける誘引作業というのがあるんですが、ペアで協力して行う作業なので、茎をあげ、洗濯バサミで止めるときなど、息が合わないと枝が折れたりして大変です。夏場は特にビニルハウスが暑いので、集中力が必要」(園芸科学科2年 陣内咲穂さん)
味噌づくりに関しては、「米と麦を蒸した後に麹菌をつける際、しゃもじで混ぜるのが重労働で大変でした」(食品流通科2年 古賀千聖さん)と実習での苦労も話してくれました。
それでも野菜づくりについて「栽培管理が楽しい」(園芸科学科2年 江口公康くん)「買う人のことを考えて袋づめや拭く作業も丁寧にしています」(園芸科学科2年 アレン丹依那さん)など、農業そのものを楽しんだり、食べる人の顔を思い浮かべたりしながら励んでいる様子がうかがえました。
これらの商品は、文化祭のほか、イベントなどで出品。また地域から注文があった場合などに販売しているそうです。
「暑さ、寒さに関わらず作業を続けることや計画を立てて成果を生み出すことなど、生徒たちは厳しい経験もしていますが、それが社会に出ても役に立ちます」と指導教諭の山田豊先生。
産学官連携は、地域の人にとって産物はもちろん、学校の取り組みが身近になることで、学校への理解や進路を考えるきっかけになることも魅力の一つかもしれません。
また、今回関わった高校生たちは、自分たちの産品がどう使われているのか、またどんな味だったのか、興味津々。野菜や味噌に関するお店の方々の感想などを伝えると、耳を傾けていました。これからのモチベーションアップにもつながったようです。
(お店編に続く↓↓)
