【レッツさがすたいるトーク】LGBTのリアルな日常を身近に感じた日 PR

【レッツさがすたいるトーク】LGBTのリアルな日常を身近に感じた日

みなさんは「LGBT」という言葉を聞いてどんなことを思い浮かべますか?

「セクシュアルマイノリティー」「レズビアン」「ゲイ」「バイセクシャル」「トランスジェンダー」聞いたことがある方も、あまり耳なじみがない方もいらっしゃるかもしれませんね。

「誰もが暮らしやすいまちにしていくために、私たちができることは何だろう?」と、当事者の方と一緒に考える交流会「レッツさがすたいるトーク」。
令和元年度第4回目の今回は、「LGBTのリアルをみんなでギュッと知る1日」をテーマに佐賀県庁の地下1階SAGACHIKAで開催。当事者の方を始め、関心がある方など、約40人が参加しました。

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LGBTのリアルって?
実際にVR体験してみると?
自分たちは何ができるのか?

ゲストのトークセッションやVR体験などから感じたことをレポートします。

さがすたいる」とは、お年寄りや障がいのある方、子育て中の方など誰もが安心して暮らしていける、みんなにやさしいまちづくりの実現を目指す佐賀県の取組です。
その一環として、誰もが暮らしやすいまちにしていくために私たちにできることは何なのか、当事者の方々と一緒に考える誰でも参加できる交流会「レッツさがすたいるトーク」を定期的に開催しています。

ゲストによるクロストーク

今回のゲストは、LGBTの支援などに関する活動をする方々。
編集者、マインドームインストラクター、NPO法人事業者、VR企画担当など業種は各々ですが、それぞれの立場からのお話を聞きました。
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[太田尚樹さんのプロフィール]

LGBTエンタメサイト「やる気あり美」編集長

神戸大学卒業後、株式会社リクルート入社。2年で退社しLGBTクリエイティブチーム「やる気あり美」を発足。同名メディア編集長に就任。女性誌や文芸誌など、さまざまなメディアでの執筆も行いながら、企業や自治体にてLGBT研修も行う。雑誌ソトコトにて「ゲイの僕にも、星はキレイで、肉はウマイ。」連載中。

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[黒田麻衣子さんのプロフィール]

株式会社シルバーウッド VR事業部

2017年2月シルバーウッドにVR事業の立ち上げメンバーとして入社。他者の視点をVRで体験することで理解を深めるプログラムの企画・開発に携わり、2018年にはLGBTの理解を促進するコンテンツ第一弾「LGBT×VR レズビアン オフィス編」(ルミエール・ジャパン・アワード2018 VR部門優秀作品賞受賞作品)の原作・監修を担当。

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[荒牧明楽さんのプロフィール]

OVER THE RAINBOW代表

福岡県柳川市生まれ。佐賀大学卒業後株式会社リクルートに入社。その後転職を繰り返し、33歳でトランスジェンダーであることを隠さず生きることを決断し独立。NPO法人カラフルチェンジラボの研修研究グループリーダーや九州レインボープライドの実行委員も務める。

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[いけだまりこさんのプロフィール]

マインドームインストラクター

1986年生まれ。愛媛県出身・福岡県在住。福岡を拠点に個人コンサルやイベント・セミナーを開催。得意分野は思考の整理。マイブームはホームページ作成と自分ツッコミクマ。

第1部・その1 LGBT基礎知識 講座

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まずは、この日ファシリテーターを務める太田尚樹さんの「LGBT基礎知識」。シナリオライターでもある太田さんは、分かりやすい言葉と図やデータを使ってLGBTの基礎知識について説明しました。

「LGBT」は性的マイノリティの総称のひとつ。「レズビアン」「ゲイ」「バイセクシャル」「トランスジェンダー」の略で、それ以外にも自身の性自認(ココロの性)や性的指向(スキになる性)がまだ定まっていない、若しくは意図的に定めていない状態である「クエスチョニング」などセクシュアリティーの概念は多様で、「LGBTs」や「LGBTQ+」などと表現することもある、とした上で、ここでは「LGBT」に統一。

LGBTの「LGB」は「スキになる性(性的指向)」が同性もしくは両性に向く人、「T」は「カラダの性」と「ココロの性」が一致しないことに違和感を持つ人。
日本において、少しずつLGBTに対する理解が広がってきているものの、まだ、性別変更の条件が厳しい(20歳以上、現に婚姻していない、生殖機能を有していないことなど)といいます。

セクシュアリティの概念は多様で複雑

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ご自身を例に挙げ、性のグラデーションマップを使い解説する太田さん。
例えば、「『体』は男性ですが『心』は男性だったり、やや女性よりに位置することもあったり、と性自認ははっきりしないこともある」と言います。

そのほか有名人の例なども挙げ、心も体も性的指向も「男性」で、服装など「表現する性」だけが女性という人など、グラデーションはそれぞれに異なることが分かりました。

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LGBT当事者の方が抱える問題

印象的だったのは、「自分の周りに当事者がいないと思っていても、そうではない。見えていないだけ」という太田さんの言葉。現に、ある調査では、11人に1人くらいは当事者だという調査結果も出ているそうです。

「自分の周りにはLGBT当事者はいないと思っていると何気ない言動で知らず知らずのうちに当事者を傷つけてしまい、ますますカミングアウトから遠ざかってしまいます」。

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・小中高でいじめを経験した人、約6割
・雇用形態はパート・アルバイト比率が高く、特にトランスジェンダーの方は4人に1人の割合
・実際に求職時に困難を感じている割合が高い

など、現実的な問題もあるようです。

一方、上司に思い切ってカミングアウトしたことで、当事者の仕事に対する積極性が高まり生産性が上がったという企業の例も紹介。
「これからの時代は、多様性はスキルでもある」というポジティブな考えに共感しました。

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「アライ」になろう

基礎知識編の終わりに、太田さんから参加者のみなさんに、「アライ」になりませんかというご提案。「Ally」=「支援者」や「味方」の意味です。重要なのは、まず受け入れたいと思うこと、そして、知ること、変わること、表明すること

具体的には、
・「知る」→LGBTの基礎的な知識について学ぶ、当事者の方の話を聞く
・「変わる」→「おかま」「おなべ」「ホモ」「ニューハーフ」「レズ」という表現を使わない、自身の性的志向の好ましい表現は「ノーマル」でなく「ストレート」、他人の差別的表現にもやさしく注意する
・「表明する」→ポジティブな捉え方、レインボーグッズの活用

などの行動方法があるそうです。ただ、「アライに完璧はない」と太田さん。これを参考に「自分なりのアライ」を見つけてほしい、と話していました。

第1部・その2 VR視聴①

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次に、株式会社シルバーウッド 黒田麻衣子さんのレクチャーでVR体験をしました。

皆さんにVRゴーグルが配られ「LGBT×VR レズビアン オフィス編」を視聴。あるレズビアンの立場でカミングアウトをしづらく、居づらい職場と、カミングアウトをしやすい雰囲気がある居心地のいい職場を再現したVR体験です。何も無い中でただ「レズビアンの気持ちを想像する」のではなく、VRを活用して当事者の視点を体験することを通して、「レズビアンとしてその場にたった時に、その場の空気の中で"自分だったら"何を感じるかを体験する」というものです。

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<観終わった方からの感想>

Aさん:ランチタイムの場面が印象に残りました。理解のない職場だと休憩時間であっても居づらさを感じ、カミングアウトできない当事者の気持ちがリアルに伝わりました。

Bさん:LGBTという観点ではなくても、未婚の人に『結婚はまだ?』など聞くのも配慮が足りないことなのだと改めて思いました。

Cさん:理解のある上司が頼もしかった。あんな職場が増えればいいですね。

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この作品の制作に自ら関わった黒田さんは、当事者としての実体験も反映させたと言います。

2020_h1_03_1.jpg 黒田さん

「セクシュアルマイノリティの方々は統計的にはすぐ身近にいるはずなのに、自分の周りにはいないと思っている人が多く、悪気なく誰かのセクシュアリティに関することを笑いのネタのように取り扱ってしまう人が多いのが今の日本の現状です。そのような会話が日常生活の中で行われると当事者は、例え自分のことを言われていなくても悲しい思いをして心を閉ざしてしまいたくなります。

ただ、急速にLGBTに対する理解が広まっているので『その会話はだめなんじゃないか』と気づき始めている人も増えているはずです。もし誰かにとって配慮がない会話が繰り広げられていることに気づいたら、周りの人が『私はそうは思わない』、『その言い方はダメなんじゃないか』と勇気を出して声をあげてほしい。セクシュアリティを馬鹿にすることが笑いのネタにはならないと皆が認識できるようになることが理想ですが、そういう会話に対して指摘してくれる人が周りにいるのといないのとでは、その場にいる当事者にとって居心地の良さは全く違うのではないかと思います」

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また、「誰かのセクシュアリティを本人の承諾なく第三者に口外する『アウティング』は絶対あってはなりません。ただ、その他に、どんな会話が配慮があり、どんな会話が配慮がないのかをマニュアルのように覚えるのは大変です。一番重要なのはその会話の裏には『相手に対するリスペクト』があるのかを考えること」と黒田さん。
お互いが一人の人として尊重し合いながら関係性を築いていくことが大切なんだと改めて感じました。

第1部・その3 トークセッション①

「LGBTのリアル」

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太田さん、黒田さんに荒牧明楽さんが加わり、3人でトークセッションを行いました。ファシリテーターは太田さん。それぞれのターニングポイントや苦労などについて語りました。主な内容をピックアップして紹介します。

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2020_h1_04_1.jpg 荒牧さん

「トランスジェンダーを自覚したきっかけは、高校1年の時、上戸彩さんが性同一性障害を演じた『3年B組金八先生』のドラマを観て。初めてそういう概念があると知って驚きました。ショックと嬉しさと両方ありました。

当事者としてよかったこととしては、固定観念を早くから疑えたこと。仲間うちで『男らしさ』について争う場面に遭遇した時、私にも周りの人にも固定観念・偏見があると気づきました。みんな、それぞれ持っている固定観念をまず自覚することは大事だと思っています」

2020_h1_03_1.jpg 黒田さん

「中学生の時、女性と付き合っていました。高校生以降男性とお付き合いしたこともありましたが、うまくいきませんでした。
異性を好きになるのが当たり前という教育を受けてきた中で、思春期に女性を好きになることで戸惑った自分がいて、かなり悩んだ時期もありました。しかし、統計的には全く不思議なことじゃないのに、そこまで悩まされていたのは当時の教育や世の中の風潮に問題があったんじゃないかと思っています。

少しずつ変わりつつあるかと思いますが、そんな教育しかされていない今の社会の中でストレートの人がLGBTをなかなか理解できないのは致し方ないことなのではないかとも思います。だからこそ、今からでもぜひ正しく知る機会を持っていただきたいです」

「LGBT研修をちゃんと受けてほしい」という意見は3人とも共通でした。

第2部・その1 VR視聴②

ランチ休憩を挟んで、2度目のVR視聴。

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ゲイである主人公が父親にカミングアウトする一日を描いた作品「告白の日」編です。

<観終わった方からの感想>

Dさん:「(もし自分が子どもからカミングアウトをされたらという問いに)あなたがゲイであったとしても、私が、あなたを愛していることには変わりはないから、そのままでいいよと声をかけてあげたいです」

Eさん:「カミングアウトをされる親にとっては、突然のカミングアウトに驚きの感情が勝ってしまい、すぐに受け入れられない感覚になるのかもしれないと考えさせられました。普段から自分ごととして意識して考える大切さを知り、こういったVR体験はそのきっかけになると思いました」

Fさん:「息子からカミングアウトを受けた頃のことを思い出しました。あの頃はショックが大きかったけれど、息子はそれ以上に思い悩んでいたかもしれないと考えさせられました」

このVR視聴の後、静かに涙を浮かべる人が多く、感極まって言葉につまりながら発表される参加者もいました。
脚本と監督を務めた太田さんからは、この作品についての背景と熱い思いも。
「LGBTなどマイノリティはイコール弱い存在というわけではない。それぞれに自分だけの願いやアイデンティティを持った存在であることを知ってほしい」という希望がこめられていることがとてもよく伝わり、私たち一人ひとりがそういう気持ちを大事にしていければと思いました。

第2部・その2 トークセッション②

「カミングアウト」

ファシリテーター太田さんの進行で2回目のトークセッション。ここからは、いけだまりこさんにも参加いただきカミングアウトについてご自身の思い、経験談などを発表しました。

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2020_h1_04_1.jpg 荒牧さん

「親孝行したい、という気持ちは強かったけれどカミングアウトすることで親の期待を裏切ってしまうと思い、心のせめぎ合いが続いていました。
勇気を出して伝えた時、母の『大丈夫、お母さんも昔は男に生まれればと思った時期があったから』という返答に悩みました。ちょうどその時期に戸籍を初めて変更された当事者、虎井まさ衛さんの講演会があったので、一緒に行ったらようやく理解してもらえたのです。やはり身近にいる人と一緒に当事者の話を直接聞くというのが大事なんだろうと思います」

2020_h1_03_1.jpg 黒田さん

「大学1年の時、男性と別れた理由を話す際に、いつも相談に乗ってくれていた親友にカミングアウトしようと思いましたが、親友に自分が同性を好きなことを伝えたらどう思われるか怖くて、なかなか言い出せませんでした。結局3~4時間かかったことを覚えています。私だったらそんなに待てないと思いますが、よく付き合って聞いてくれました。そして真剣に受け止めてくれたことを感謝しています」

2020_h1_05_1.jpg いけださん

「周りにはLGBTの友人にもいましたし、一緒に仕事をする機会がある方もいました。そのほとんどの方が自己紹介の時に当事者であることを伝えられていましたし、私は距離を置くわけでもなく『こちらは気にしないから、あなたの好きなようにどうぞ』という接し方をしていました。しかし、自分で調べたりして理解を進めていくうちに、だんだん、それがとても相手にとって居心地のよくないものだということが分かりました」

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「自分の知識だけで決めつけるのではなく、一人の人間として向き合うことが大事。#トランスジェンダーの人 #レズビアンの人 #ゲイの人 とタグをつけずにその人を見てほしい」という話は、はゲストのみなさん一致した意見でした。また「『自分の観点を押し付ける人』『差別的な発言をする人』にはカミングアウトしません」という言葉も心に残っています。

会話の中で、偏った考えを前にした時、LGBTの方はそのような行動をとる。では、自分はどういう行動をとるか......?と考えさせられました。

第3部 フリートーク

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最後に参加者の方同士でフリートーク。

このイベントに参加して「これから自分には何ができるか」というテーマで付箋紙に書いてもらいました(一部抜粋)。

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・家で、職場でSNSで今日の内容をシェアする
・近くにいるかもしれない。当事者が話せるような空気を作りたい!
・レインボーバッジを着けて外に出る
・アライについてもっと知り、行動してみたい
・意識する。自分の価値観だけで物事を見ない
・偏見のある発言を前にした時に、多様性のあり方をシェアしたい
・周りの人がLGBTQ+について差別的&間違った内容話す時、NOって言う!
・味方になる。話を聞いて受け容れる
・「彼氏、彼女いるの?」ではなく「恋人いるの?」と聞くようにする。もちろん嫌がる人には聞かない
・決めつけない。言葉を選ぶ。コミュニケーションをとる。聞く。敬う。
・LGBTの人をわかったふりをしないこと
・LGBTに関する相談窓口のPRをもっと強力にやっていきたい
・「特別なこと」として捉えるよりも「普通のこと」としてありのまま捉える
・みんな違ってみんないい
・これからもカミングアウトし続ける。カミングアウトの必要性がなくなるまで。
・横のつながりを作る。多様な人、多様な考えから新しいことを始める。
・自分自身が無理をしない。周りの人に無理をさせないように想像力を働かせ、みんなで良い方向に向かって行けるように進んでいきたい
・子どもとして親としてそれぞれの思いを伝えていく
・子どもたちに関わる身として、職場の人間や子どもたちに自分の知ったことを伝えたい
・当事者のつながりを作りたいと思っていたが、アライを含んだ集まりの方が良いかも
・同じ悩みを持つ人たちが安心して話せる場所づくり
・自虐ネタはやめる
・人と向き合う大切さの共感・共有ができるときは、自分自身も相手の人にカミングアウトすることも大事だと思う。無意識にならず、意識しながら話す。

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今回参加されたさまざまな立場の方が一生懸命考え、共有した感想。
これを見ているだけで次につながる予感がします。

また参加者のリアルな感想として

Gさん:「セクシュアルティのグラデーションマップを見て、自分の色でいいんだとわかりました」(男・女にアイデンティティを持つ人、そうでない人もいていい、との言葉に勇気づけられたようです)

Hさん:「カミングアウトした時のことを思い出しました。当事者のご家族の方の話が聞けたことはよかったです。身近な方の理解があるのとないのとでは心理的安全性が全然違います」

Iさん:「参加者の一人として周りを見ても、すごく悩んで苦しんでいる人がいると驚きでした。とても貴重な機会でした」

という声も聞かれました。

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「LGBTのリアルをみんなでぎゅっと知る1日」の副題の通り、朝10時から午後3時までじっくりと、でも楽しく具体的に学べた交流イベントでした。
太田尚樹さんをはじめ、多彩なゲストの方がさまざまな背景や経験談を語り、私も少しずつ理解が深まったような気がします。

また、今回感じたのは、参加者以外にもたくさんの方が、カミングアウトできずに悩みを抱えていらっしゃるだろうということ。
私たちは「自分の周りにも悩んでいる人がいるかもしれない」と想像することが寄り添う事の第一歩なのかもしれません。

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EDITORS SAGA 編集部

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