佐賀のさまざまな食材を使って、いつものおうちごはんをワンランク上に。ここ佐賀の地で真摯に食材と向き合うシェフ達が、家庭でできる特別レシピを教えてくださいました。
焼きおにぎりのうれしの茶漬け
材料(4人前)
<ごはん>
・米 2合
・水(ポイント:酒小さじの分だけ水を減らす) 360cc
・酒 小さじ2
・昆布 2g
・塩 1g
・新生姜 16g
<具材>
・アジ(旬の青魚や白身魚でも代用可能) 1尾
・大葉 4枚
・ミョウガ 1/2本
・白ごま 4g
<だし汁>
・緑茶(うれしの茶) 360cc
・塩 4g
・薄口しょうゆ 4g
<薬味>
・海苔 適量
・わさび 適量
・あられ(せんべいでも代用可能) 適量
・太白ごま油 適量
レシピ
- お米を炊く
①お米を洗って釜に入れる。
②釜に酒を入れてから水を目盛りまで加え、昆布、塩、千切りにした新生姜を入れて炊く。※水の量はお好みで調節する。目安は普段の水の量から酒(小さじ2を減らした量。) - 具材を準備する
①アジを3枚におろして中骨を取り除き、両面に軽く塩をふる。
②グリルなどで皮目がカリッとするまで焼く。
③大葉は千切りにする。ミョウガは半月切りにする。 - ごはんと具材を混ぜる
①炊きあがったごはんから昆布を取り出し、アジ、大葉、ミョウガ、白ごまを入れ、アジをほぐしながらしっかり混ぜ込む。 - おにぎりを焼く
①固めに握ったおにぎりを太白ごま油を引いたフライパンに入れ、中火で焼き目が付くまで両面をしっかり焼く。 - だし汁を準備する
①お好みの濃さで入れた緑茶を鍋に移して、塩を加えてひと煮立ちさせてから薄口しょうゆを加える(味見しながら塩としょうゆの量を調節する)。 - 盛り付ける
①深さのある器に焼きおにぎりを盛る。
②だし汁を焼きおにぎりの周りに注ぎ、お好みで海苔やわさび、あられを添えれば完成。
シェフに聞く作り方のポイント
白石平野の田畑に囲まれたのどかなロケーション。ここが今回レシピを教わる「野々香」の舞台です。
料理長の小野智史さんは、お店に隣接する自分の畑で採れたさまざまな野菜を新鮮なうちに調理。まさに「野の香り」を最大限に生かした和食で素材の魅力を表現しています。
焼きおにぎりのうれしの茶漬け
今回は佐賀の特産品「うれしの茶」を使ったレシピです。旬の具材をたっぷりと混ぜ込んだ焼きおにぎりのお茶漬け。さらっと食べられるいつものお茶漬けが、ひと手間加えると粋な一品に変身します。
1.お米を炊く
小野シェフが用意したのはなんと土鍋。日ごろから畑で様々な素材と向き合っている小野シェフらしく、お米のおいしさを最大限引き出す炊き方にもこだわっています。
土鍋を使うと炊飯器で炊くよりも、さらにふっくらと一粒一粒までおいしく仕上がるそうです。「鍋で炊くのは難しそう」と思う方も心配ご無用。
いつもの要領でお米は研いで準備しておき、あとは鍋に材料を入れて火にかけるだけ。例えば2合分のお米なら「強火で約5分、沸いたら弱火で約5分、蒸らして約5分」が時間の目安で、意外と早く炊けることもメリットです。
・水の量はお好みで増減して調節。無洗米の場合は、少し多めに。
2.具材を準備する
「具材には、脂の乗った今が旬のアジを使います。ほかにも、今ならカマスやイサキなどもおいしいですよ」と小野シェフ。
魚は処理済みのものや刺身用でも構いませんが、新鮮なものが手に入れば三枚におろしてみましょう。プロの技を拝見!
・包丁は牛刀のほかペティナイフでもよい。
・ウロコとぜいごを取り、頭を落とし内臓を出す。
・キッチンペーパーなどで中身を拭いておくことが作業をきれいにするコツ。
素早くきれいにおろされたアジをグリルなどに入れ、皮にこんだりと焼き目がつくまで焼きます。
4.おにぎりを焼く
具材を混ぜ込んだご飯で三角のおにぎり作り。
手早くきれいな形に握る小野シェフに、「力加減は?」と尋ねると、「あとで焼くことを考えると、ある程度固めに握って、崩れないようにした方がいいでしょうね。あと、自分たちは農家なので、ぎゅうぎゅうにして畑に持って行くという意味もあって、おむすびではなく『おにぎり』なんです」とのこと。
今回、焼きおにぎりに使用する油は「太白ごま油」。一般のごま油のように風味が強くなく、さらっとして、どんな料理にも使いやすいことが特徴です。スーパーで見かけることも増えてきました。もしなければ、お茶の風味をじゃましないサラダ油でも代用可。
・最初は中火で。少し押さえながら焼くと、全体的によく焼き目がつきます。ひっくり返した後は、余熱で焼けるのである程度焼いたら火を止めても構いません。
・焼きおにぎりは、余ったらラップで一つずつ包んで冷凍しておくと、レンジで温めるだけでいつでも食べられて便利です。
6.だし汁を準備する
いよいよ、今回のメイン食材うれしの茶の出番です。お好みの時間で構いませんが、渋みが出ないように短めに淹れます。お吸い物を作る要領で、火にかけ薄口しょうゆと塩で調味。
「夏は、ごはんの味付けをしっかりして、水出しの緑茶をそのままかけるだけでもおいしいと思いますよ」と小野シェフ。
香ばしさが際立つ玄米茶もおすすめとのことです。
7.盛り付ける
あられが手に入りにくい場合はせんべいを砕いたもので十分です。薬味はなるべくだし汁に浸からないよう、おにぎりの上にのせることが盛りつけのポイント。梅干しや柚子ごしょうを加えても味に変化が生まれます。
<余った材料で作る即席漬け>
「お茶漬けの付け合わせにいかがですか?」と小野シェフが提案してくださったのが、余った野菜を使った「即席漬け」。
① だしをとった昆布や新生姜、ミョウガ、大葉を千切りに
② ナスやキュウリは薄い半月切りか輪切りに
③ ①と②をボウルに移し、野菜の重さを量り、その5~15%程度の塩を加えて、よく和える。10分~冷蔵庫で寝かせた後、絞って器に盛り付けたらできあがり。
~今回の料理を試食して~
うれしの茶のだし汁に三角の焼きおにぎりという見た目にも、心をくすぐられます。新生姜や昆布と一緒に炊いたご飯の風味が、後から混ぜ込んだアジの旨味とよく合い、家庭では味わったことのないおいしさでした。カリッと焼かれたおにぎり、お茶や香味野菜の風味など、いくつもの味が楽しめ、夏にもさっぱりと食べられるお茶漬けでした。
~今回の料理を引き立てる器~
お茶漬けには由起子窯・土屋由起子氏の黒唐津皿を使用。唐津焼の力強さを優美さを併せ持つ陶器です。
即席漬けには伊万里の文祥窯・馬場光二郎氏の染付菊花皿。草花の文様が涼しく料理を引き立てます。
小野シェフと馬場氏は歳が同じで互いを認め合う仲だそうで、文祥窯の白磁は野々香の料理にもよく使用するとのこと。お茶漬けには、ご飯茶碗より少し大きく深めの椀があれば最適です。
野々香コース
小野シェフのつくる会席料理(5,000円 )
白石町で生まれ育ち、調理の道へ進んだ小野シェフは和食の料理人として修業を積んでいる時代に、帰省して食べた泥つきレンコンの味にインスピレーションを受けたと言います。「ここでは無理」と口々に言われた立地も、「ここでしかできないことがある」と2012年、「野々香」を開店。畑を耕しながら料理に勤しむ日々です。
そんな小野シェフが手がける会席料理には、ここで採れた野菜のさまざまな姿が映し出されています。間引いた野菜や花の部分、成長段階の野菜なども使いながら、とびきり新鮮な素材を生かせるよう創意工夫。毎日精米して炊いているというご飯もたっぷりと味わえ、野の「ごちそう」に食べる側も元気をもらえます。
小野智史シェフ プロフィール
1979年佐賀県白石町生まれ。
実家は代々農業を営む家系。日本を代表する料亭での修行を経て、"野菜の香りを感じる料理"をコンセプトとした料理屋を開く。
店があるのは、家族らが野菜や米を栽培する田園地帯の真ん中。
まさに料理界の潮流である"farm to table"そのもの。
店舗情報
野々香
住所 | 〒849-0402 佐賀県杵島郡白石町大字福富下分983 |
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営業時間 |
昼 12:00-15:00(OS 14:30) |
店休日 |
水曜日・不定休あり |
電話 |
0952-87-2492 |
地図 |
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作り方の動画
サガテレビ情報番組『かちかちPress』で「おうちごはん」放送中!
文:高橋香歩
写真:中村美由希