7月10日、YouTubeで生配信された「コロナ時代のローカル大会議」。
国内の移動が緩和され、緩やかに旅や出張が始まった今、佐賀県嬉野温泉「旅館 大村屋」に集まって「密」に配慮した無観客で開催されました。
そんなレアな場所に(自称)編集部期待の新星Sがお邪魔してきました。
配信模様や内容を受け、佐賀県民として感じたこと、EDITORS SAGA編集部として感じたことをレポートします。
嬉野にあの人が?!そうそうたるメンバーで。
コロナ時代と呼ばれる現代。「さがごこち」という2020年4月に発行された佐賀のガイドブックがきっかけで開催された「ローカル大会議」。登壇されたメンバーは、ローカルメディア界では名のしれた面々。
中村編集長も少し緊張のご様子......。
左から今回の発起人、ジモコロ編集長、徳谷柿次郎氏。
「あなたがどこに暮らしていても、もっと地元が好きになる」をテーマにこの地元にもコロがっているような魅力ある「場所」や「仕事」「小ネタ」など、地元愛を感じてしまう話の数々を集めて発信されています。
そんなジモコロ、実は、EDITORS編集長が立ち上げの際に参考にされたWebサイトの一つ何だとか。(知らなかった......ッ!)
Qualities編集長、日野昌暢氏
「九州のいいヒト、いいコト、いいシゴト」をテーマに九州中に散らばっている、光を当てるべき素晴らしいヒト、コト、シゴトを見つけ出し、"外から目線"で発信されているWEBメディア。
域外で暮らす人に「自分もこんな仕事がしたい」「この人と一緒に仕事がしたい」と感じてもらえる、伝わっていく情報を作りたい。
九州にヒトやコトやシゴトのマッチングが起こるチャンスを増やし、移住したり関係人口になったりすることのきっかけになればという想いで情報発信されています。
我らが編集長、中村美由希氏
EDITORS SAGAを立ち上げ、育てたマジリスペクトEDITORS SAGA編集長!
生まれてこの方、佐賀以外に定住したことは無いという生粋の「賀人」とのこと。
「EDITORS SAGAは私の子どもみたいなものだから」というパワーワードと共に「佐賀の今」ならほぼほぼ知っている情報屋。
旅館大村屋、北川健太氏
嬉野の老舗旅館15代目社長。旅館経営の傍ら、スリッパ温泉卓球大会、もみフェスなどの地域の人々と共に行うユニークなイベントをさまざま企画。嬉野茶、肥前吉田焼、温泉の伝統文化を新しい切り口で紹介するプロジェクト「嬉野茶時」の発起人でもある。嬉野きっての企画屋。
「日本列島回復論」著者、井上岳一氏
日本総合研究所で、人口減少時代を生きのびるための地域社会のデザインの研究・実践されています。
2019年10月に発刊された「日本列島回復論」は「山水郷」としての日本のポテンシャルである山と水と人を最大限発揮させ、安心の基盤として活用すれば、格差と分断の進行による社会と国土の崩壊を乗り越えられるのではないかと、山水郷が持つポテンシャルを見直して新しい成長モデルを模索してみてはと問う一冊。
(現在、熟読中......。)
TURNS編集者のミネシンゴ氏
TURNSは、日本の"地域"をテーマに、土地にある豊かな自然や食、ライフスタイル文化、ものづくりなどの「ローカルで暮らす魅力」と、そこで生活する人々の暮らしやシゴト・生業、地域で活躍する人の想いや団体の活動、そして移住者を受け入れるための制度や支援策就職や住まい、起業ノウハウなどの「地域で生きるための知恵」までを紹介している雑誌。その他、WEBマガジン、オンラインイベント、リアルな場を通してさまざまな情報を提供されています。
一時は国内の移動が緩和され、7月22日から「GoToトラベル」が始まり、終息を期待したさなか、爆発的に広がった感染。これまでの「当たり前」が通用しなくなり、広義的なローカルをどう捉えればいいのか?
観光地としての目線はもちろん、情報を伝えるメディアの役割、災害と日本列島はどう付き合えばいいのか、などをテーマにトークセッションされました。
そもそも開催のきっかけとなった「さがごこち」って?
「佐賀の日常にある、本当の魅力をさがして」というコンセプトで配信されていたWEBマガジンの「さがごこち」が今年4月に発刊した『さがごこち Saga Photo Guide Book』。
くるりの岸田さんのコメントから始まるこの一冊は、全国各地の地域と向き合ってきた写真家MOTOKOさんが佐賀に通い、『さがごこち』がこれまでに拾い集めてきた『さが』という町に漂う『ここちのよい』空気を撮り下ろした写真と、『さがごこち』のアーカイブで構成された、新しい『旅』の提案が繰り広げられています。まさに、佐賀のうつくしい日常を旅するフォトガイドブック。
人間の感じる五感でテーマわけされたこのガイドブックは、佐賀を旅する人には勿論、佐賀に住む人にも読んでほしい、見てほしい、感じてほしい一冊です。
有名観光地を特集されているガイドブックとは違い、その土地の「日常の一コマ」を切り取った写真たちは、所謂「田舎で暮らす」温かみや懐かしさを感じさせます。
ローカル大会議、開催!
話された内容は、これからのローカルのあり方や原風景の大切さ、佐賀の人が県に対して誇りを持てない理由などなど。
壮大だな......と思いつつ、一ローカルWEBマガジンの担い手としてしっかり受け止めねば......!
印象に残った言葉の3つをピックアップします。
「佐賀は豊かである」ということ。
大会議の中で最も多く言われた言葉は「佐賀は豊かである」。
緑や水、焼き物などの県産品に恵まれている県は日本にはあまり無いのだとか。
小さい頃から「何もない」の義務教育を受けた我々には、いまいちピンとこないフレーズかもしれません。しかし、一度立ち止まって周りを見てみると新しい価値観が生まれるかもしれません。
消えた明治の志士たち
明治維新で活躍した江藤新平とはじめとする、佐賀の幕末の志士たち。
なぜ表舞台から忽然と姿を消したのか。「なぜ」と聞かれるとパッと答えられない佐賀県民も多いのでは?地域の歴史を知ることでわかってくることは多くあり、新たな視点で佐賀を見ることができる1つの材料になるのではないでしょうか。
地元を褒める機会、褒められる機会
「褒める」「褒められる」機会が極端に減った今。自分がどのように地元のどこを「褒めるか」「誇るか」。この会議を受けて凄く考えるようになりました。
また、自分では感じていなかった自身の魅力を第三者から教えられて気付かされる。それは他地域や地元でも同じこと。「外」の人から教えられる、褒められることによって気づく地元の良さ。また「褒められた魅力」を多くの人に伝えていくような発信者に、大人になりたいものです。
よなよなあん工房 岡垣さんのぜんざい、いただきました!
知る人ぞ知る、佐賀大学付近に夜な夜なオープンするという「よなよなあん工房」。
夜にしかお目見えできないあんこメニューは、北海道産の小豆を店主の岡垣さんが丁寧に手間隙かけて作られる、こだわりの自家製粒あんを使ったもの。
そして「よなよなの岡垣さん」という言葉は、入社して何百回も聞いた言葉。
ぜひ、食べたい!お会いしたい!と思っていたものの、なかなか実現できず。私の中ではペガサス、あるいはユニコーン的存在だった岡垣さんにお会いできるのはいつになることか......、と思っていた矢先、こんなところで!という感動をぜんざいと共に噛み締めました。
甘すぎずあっさりとしていて、くどくない。この世に生を受けて今まで食べたぜんざいとは似て非なるもの。つやつやとした光を放ち、絶妙に形が残る小豆に、もちもちの白と緑のお団子、ほんのり甘い栗。......美味しい。
食べてみたい方はぜひ、よなよなあん工房さんの公式サイトやSNSをチェックしてみてください。
公式サイト | https://www.anko.fun/ |
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https://www.instagram.com/anko4747/ | |
https://www.facebook.com/anko4747/ | |
https://twitter.com/anko4747 |
ローカル大会議を終えて登壇者に話を聞いてみた。
「そもそも佐賀の印象ってどんな感じに思われていたんだろう......?」
会議後に沸々と湧き出た疑問。どうしようもできず、失礼ながら「記事を書きます!感想をください!」とメッセージを送らせていただいたところ、お忙しい中お時間をいただくことができました。
聞きたいことは3つ。「今までの印象」「会議後の印象」「県民へのメッセージ」。
緊張で手が震える中、お伺いしました。
徳谷柿次郎さん
Q.今まで、佐賀にどんな印象を持っていましたか?
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一度(福岡県の)糸島から呼子や棚田を訪れたことはありました。
ロマンシング・サガのような「何もない」からの外向けプロモーションはうまいなと。
大人になってきて、器や温泉なども好きになって、文化的コンテンツがあることが凄い良いと思います。
Q.ローカル大会議に出演して佐賀の印象はどう変わりましたか?
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長崎と繋がる肥前国を通した「SとN」のような関係や明治維新から佐賀の人物が消えていった事など歴史的にももっと知りたくなりました。
(輸入国)長崎と違った日本的な文化が多く残る佐賀がこれからの強みになっていくと思います。
Q.最後に佐賀県民へメッセージをお願いします。
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ほかの土地もそうですが、地元の人が地元の良さを誰かに伝えるのがうまくないかもしれませんね。
「何もないの呪い」って呼んでいるのですが。親や周りから受け継がれた「何もないの呪縛」をどう解くのか鍵になるのでは無いでしょうか。
佐賀は文化的にも恵まれた土地。令和の時代に合わせて、未だ手つかずのコンテンツを発信していくことでまだまだ佐賀は面白くなると思います。
日野昌暢さん
Q.今まで、佐賀にどんな印象を持っていましたか?
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僕は隣県の福岡県出身なので、過去に嬉野はもちろん、唐津、呼子、有田、伊万里、など佐賀のいろんなところに伺ったことはあります。
現地に足を運んでちゃんと見れば、福岡にはないすごい豊かさがあるのに、相応に評価されていないと感じていました。
Q. ローカル大会議に出演して佐賀の印象はどう変わりましたか?
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佐賀で頑張っている人がいるのは知っていましたが、その方々が目の前に現れて、実際にお話できたおかげで、佐賀の方の生の佐賀愛に触れられてよかったです。
今日のように自信を持って佐賀の愛を伝えて欲しいですね。負けないで欲しい。
Q. 最後に佐賀県民へメッセージをお願いします。
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胸を張っていきましょう!佐賀には豊かさがあります。
「何もない」から「ない物ねだり」をするのではなく「あること探し」をしましょう。
今後地域を盛り上げていくポイントとしては「外から目線」の取り入れ方があると思います。
当事者になってしまうと分からなくなってしまうことが、「外から目線」を取り入れて、内からの目線と合わせて見ることで、魅力を再発見できるはずです。
今あるものでしか始まらない。誇りを持って、価値を把握し、佐賀を愛して、みんなで磨けば、きっと新しい未来は見えて来ますよ!
井上岳一さん
Q. 今まで、佐賀にどんな印象を持っていましたか?
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(農林水産省にいたこともあって)背振山の印象が強かったです。また肥前窯業圏の印象でしたが、有田は近くに波佐見もあるので長崎県と思っていました(笑)。
Q. ローカル大会議に出演して佐賀の印象はどう変わりましたか?
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「佐賀はダサい」という風に思われていること、佐賀県民であることを隠すという事実があることが正直ショックでした。佐賀には佐賀ならではのアイデンティティがたくさんありますので。
Q. 最後に佐賀県民へメッセージをお願いします。
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誰から押し付けられるのではなく、自分で(価値を)見出して、地方に生きることの素晴らしさを知ってほしいです。
今、故郷を持たない人が増えている中で、都会の脆弱性が今回のコロナでわかったのではないでしょうか。佐賀という土地を引き受けて、自分と土地を結びつけることで生きる足場になり、拠り所として残ります。
田舎は生きていくための基盤。佐賀にいることを引き受けることで、佐賀という土地もそこに暮らす自分自身も「強くなる」と思います。
ミネシンゴさん
Q. 今まで、佐賀にどんな印象を持っていましたか?
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親父の実家が佐賀県だったということもあって、ぼくの中で第二の地元です。佐賀のおばあちゃんや親戚たちは、常々「なにもないとこでねえ」と言っていたのが印象的で、それをもろに真に受けて、なにもないんだなあ、と思っていました。
Q. ローカル大会議に出演して佐賀の印象はどう変わりましたか?
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佐賀駅近くのリノベされたシアターや、ご当地の美味しいお店など、探せばいくらでも素敵な場所やコトがあります。自分が生活している半径1km圏内くらいのことしか詳しくなくて、知らないだけ。その土地に愛着を持つ人たちの情報を辿って、もっと狭い範囲(小さい主語)で物事を見ていこうと思いました。
Q. 最後に佐賀県民へメッセージをお願いします。
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九州のヘソである佐賀は、隣接県がたくさんあるからおもしろい!と思っています。軽やかに九州を移動できる、将棋のコマでいえば「王」なのです。 高菜とイカとちゃんぽんを食べに、また伺います。
ちなみにミネシンゴの三根は佐賀の「三根町」からきているらしいです。
佐賀県民枠の北川社長と中村編集長のお二人からもご感想もいただきました!
北川 社長
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佐賀への愛着、プライドを持つ人たちは年々増えている印象があります。 楽しく暮らし働く大人たちが増えれば自然と次世代の子供たちも地元への愛情を持つでしょう。 しかし、それだけではなく土地への愛情・魅力を外の人に伝える能力が今度問われていくと感じています。
今回のローカル大会議に参加してくれた方々はまさに伝えるプロフェッショナル。内向きだけなく外の世界を見て繋がり学び続けることも大事だと感じた時間でした。
中村 編集長
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他県に行って「九州出身です」「福岡出身です(虚)」と言っちゃう今の習慣が若い世代からなくなることが私の夢。凄く壮大だけど(笑)。私にも染み付いている完全に抜けないローカル劣等感を払拭するには、まだまだ修行が足りないですが、これからも佐賀を色々な方々に選んでいただく努力をしていきたいと思います。
まとめ
なかなかの時間を掛けて温めに温めて書き上げました。
佐賀生まれ佐賀育ちでありながら、友人に「佐賀に旅行行くけど、おすすめは?」「佐賀って何がある?」にすぐに答えられなかった数ヶ月前。今では前より答えられるようになったつもりですが、まだまだ未開拓な所ばかり。
これから編集者として佐賀に携わる上でローカルWEBサイトのあり方やこれからどうすべきかどう発信していくべきかを常に考えること。また都会ではない、地方だからこそ出来ることを改めて考えるきっかけとなりました。
......レポートって難しい。
ローカル大会議 YouTubeアーカイブ
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EDITORS SAGA編集部:相馬千恵子