佐賀県の交付数は九州一!「ヘルプマーク」を助け合いの印にしたい。佐賀県の取り組みとは? PR

佐賀県の交付数は九州一!「ヘルプマーク」を助け合いの印にしたい。佐賀県の取り組みとは?

赤地にハートと十字が入った「ヘルプマーク」。バスや電車、お店の中など同じ空間にいる人がバッグなどに着けられているのを見たことがある方もいらっしゃるでしょう。

EDITORS SAGAでは、読者のみなさんにも改めてヘルプマークの意味や使われている人の声をお届けしたいと、佐賀県のご担当者や利用者の方にお話を聞いてきました!

どこまで知ってる?佐賀県のヘルプマーク事情

「ヘルプマークは、義足、人工関節使用の方、内部障害や難病、妊娠初期の方など、外見からは援助を必要としていることが分かりづらい方が身につけることで、周囲の方から援助を受けやすくするためのマークです」と佐賀県の障害福祉課・田中さん。

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例えば、電車内で、一見お腹が目立たない妊婦さんや、見えない症状のある方がいらっしゃった場合、ヘルプマークが目印となって、こちらから席を譲ったり声をかけたりすることができます。

2012年、東京都が作成し配布を始めたヘルプマーク。およそ10年のうちに都内だけでなく全国的に導入されるようになり、佐賀県も2018年7月から交付しています。ヘルプマークのほか必要な支援を具体的に伝えるための「ヘルプカード」もあります。

現在、県障害福祉課、各保健福祉事務所、県難病相談支援センター、県地域生活リハビリセンター、各市町で交付されるほか、2022年5月30日に、JR佐賀駅のみどりの窓口でも交付をスタート。

「佐賀県で乗降客数が多い佐賀駅で入手できるのは、たいへん意義があることだと思います」と田中さんは話します。JRの駅での交付は佐賀駅が全国初で、交付式では「みんなが安心して利用できるやさしい駅を目指していく」と佐賀駅長もおっしゃっていました。

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JR佐賀駅 みどりの窓口の様子。ヘルプマークの紹介チラシと共に必要な方がヘルプマークを自由に手に取れるように設置されています。

日常生活に身近な佐賀駅での交付が開始されたこともあって、佐賀県は九州では一番多い13,478個を交付しています。(※2022年12月末)県内での認知度においても2018年度の31.2%に比べ、2022年度は64.4%と約2倍に増えています。

ヘルプマークを必要な人に行き渡らせる取り組みを佐賀県が進めていることが分かりました。ただ、大切なのはその交付数だけではなく、「その意味をできるだけ多くの人に知ってもらうこと」と田中さんは言葉を強めます。県では、学校や企業への出前講座や県の広報番組などで「ヘルプマークを身に着けている方をお見かけし、何か困っている様子があれば、思いやりを持って声をかけてください」と周知を行っています。

「ヘルプマークはやさしさの象徴だと思います。人と人とが自然に支え合うという佐賀らしいやさしさを表した『さがすたいる』の理念にもフィットしています」

助け合いの気持ちでやさしい社会をつくっていきたいという願いを込め、さまざまな人に働きかけながら、ヘルプマーク普及のための取り組みが続けられています。

まずは身につけること。意思表示のステップに

日常的にヘルプマークを身につけているmomoちゃんこと百武桃香(ひゃくたけももこ)さんにもお話を聞きました。

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<プロフィール>
2015年、17歳で東京旅行中に脳動静脈奇形破裂による脳出血で倒れ、左半身麻痺の後遺症が残るも、リハビリを続け、杖をついての歩行が可能に。幹細胞投与の再生医療も開始。2022年12月にはホノルルマラソン10kmを2時間11分で完歩。福岡県と佐賀県を中心に、モデルや講演活動、さがすたいるリポーターとして活動している。
ブログやYouTube『momoちゃんねる 百武桃香』や各種SNS、自著『Keep your smile ~半身麻痺になってしまった女の子が綴る、ハッピーでいるための15のコツ』などで当事者のリアルな情報を発信する。

momoちゃんがヘルプマークを使い始めたのは、2017年頃。東京で入院生活を送っていた同じ病室の友人から教えてもらったことがきっかけだといいます。

「目に見えない病気を持っている人とか、助けてほしい人が着けるものだよ、と紹介されました。私は左半身麻痺で、杖を持っていれば、何かあるんだろうな、とわかってもらえますが、座っている時とかには、気づかれないことが多いように思います」。

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九州に帰ってもお出かけの際にはいつもヘルプマークを身に着けているというmomoちゃん。おばあちゃん世代の方に「そのスイスのマークなんね?」など話しかけられることもあり、その都度、ヘルプマークの意味や、ご自身の症状についても丁寧に説明をするよう心がけているそうです。SNSでも積極的に発信しています。

統計によると、佐賀県のヘルプマークの認知度は10〜20代は70%を超えていますが、30〜40代以降の働き世代・子育て世代は60%代、70代以降は50%代と開きが出ています。※令和4年度障害に関する県民意識調査より

また、マーク自体の存在を知っていても、それをもとに電車内などで行動できるかは違いがあって、席を譲ったり、声をかけたりする行為をためらう若い世代も多いようです。

「お年寄りの方とはヘルプマークを通じて世間話をもするんですが、若い世代の方には道端で会ってもそれほど長く説明できないし、どう話したらいいのか迷うこともあります」。

世代によってその伝え方に課題を感じながらも「着けている人を見たら、勇気がある人は声をかけてくれると嬉しい」といいます。

「何かお手伝いしましょうか、などちょっと声かけてもらうだけでも、その人にとっては『何かあった時にこの人に声をかけたらいい、助けてくれるかも』っていう安心感につながります」。

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へルプマークをけていると、お店のスタッフの方から「何かお手伝いしましょうか」との声も。

「実際にヘルプマークをけた人に声をかけたら、『大丈夫です』とお断りされたことがあって、ちょっと萎縮してしまう」という話を聞いたmomoちゃんは、大事な意見だと受け止めながら「私と世界中の左半身麻痺の方の症状では、疲れやすさとか体の動きやバランスなど、それぞれ違うように、ヘルプマークを着けている人も、いろいろな考えの人がいると思うんです。声をかけられることに慣れていなくて冷たく応対しちゃった、という人もいます。また別の機会に声をかけてみてほしいです」と話します。

そして、当事者の方に対しては「自分から意思表示をせずに手助けはしてもらいたいという当事者の方もいらっしゃると思います。ヘルプマークをけることで、必ずとは言えませんが、気づいてもらえる確率は格段に上がります。まずは一つのステップとしてけてみるのもありですよ」と呼びかけます。

「ヘルプマークは助け合いの目印。着けるのが悪いことではないので、調子悪いな、助けてほしいなとちょっとでも思ったら着けておく、例えば体調がよくない日だけ着けておくとか、その時、万が一倒れちゃったりしたら、ヘルプマークがあると気づいてもらえると思うんです。みんなにとってマークがもっと身近なものになればいいと思います」。

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ベトナムやハワイなどの海外旅行でも、momoちゃんはいつもヘルプマークと一緒に行動。現地の人はすぐに声をかけて、何か助けようとしてくれるそうで、国民性の違いも感じるようです。「助ける」「助けられる」どちらの側もハードルをもっと下げて、コミュニケーションをとりながら助け合える社会に。そんな願いで「ヘルプマーク」を広めています。

まとめ

佐賀県内でもヘルプマークを見る頻度が増えてきたような気がします。パッと目に入り、ヘルプマークという名前からも「何かあった時に助けを必要としている方」という認識がありました。改めてお話を聞いて県の取り組みやこのヘルプマークにこめられた具体的な意味を知り、この目印が助け合いの気持ちと行動につながっていけばいいと思いました。

さまざまな人が発するサインに気づくためにヘルプマークは有効です。「さがすたいる」の思いとともに、たくさんのアンテナを秘めたシンボルとしてこれから浸透していく可能性を感じました。


文章:髙橋 香歩
編集・写真:相馬 千恵子

EDITORS SAGA 編集部

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