皆さん、こんにちは! 2023年5月から唐津市に住んでいるコピーライターの北村朱里と申します。出身は北海道札幌市です。
唐津初心者の私が「唐津ってどんなところ?」を知るべく気になるスポットに出向き、会いたい「人」にお話を伺います。その人の思いや考えを通じて見えてくる、唐津の魅力を皆さまにお届けてしていく企画です!
生まれ変わった「虹の松原ホテル」にやってきた
1963年に建設され、長年愛されてきた国民宿舎 虹の松原ホテル。
2023年4月から休館していましたが、このたび新たな指定管理者が「株式会社VILLAGE INC.」に決まり、12月1日に「虹の松原ホテルThe Beach」としてリニューアルオープンしたと聞きました。なにやら素敵に生まれ変わっているのだとか。これは行ってみるしかない!
「株式会社VILLAGE INC.」とは......
創業以来「何もないけど何でもある」をモットーに、日常をより豊かなものにするため、全国の辺境や遊休地を活用して非日常体験を提供し続けてきた。佐賀で手がけた事業に「Karatsu Seaside Camp」「波戸岬キャンプ場」「JINYA no UTAGE」などがある。代表取締役社長 橋村和徳さんは唐津市出身で、マスコミ勤務やITベンチャー立ち上げなどを国内外で経験した後に起業。
こちらがホテルのロケーション! 北側に伸びるロングビーチはホテルの敷地とつながっていて徒歩0分。南側は4.5kmにわたって約100万本の松が並ぶ、日本三大松原のひとつ「虹の松原」。遠くに見える高島や神集島(かしわじま)、上には広大な空。ダイナミックな自然に囲まれた最高の環境です。
館内はどうなっているの?
中に入ると、広~いロビーが迎えてくれました。
築60年とは思えない現代的でカッコいいインテリア、大きな窓からぶぁーっと広がる海! 解放的な雰囲気で、おしゃべりが弾みそう、お酒なんかも進みそう......
景色に見入ってボーっとしていたら、スタッフの千葉耕史さんが館内を案内してくれることになりました。
ーよろしくお願いいたします!まずはお部屋を見せてください。
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千葉さん(以下、千葉):シングルルーム・ツインルーム・8畳の和室・12畳の和室を揃えています。ツインルームと12畳の和室からは海を、シングルルームと8畳の和室からは松原を眺められますよ。
ーどちらも唐津らしい景色でいいですね。おひとりさまでのんびりするのも、仲間とワイワイするのも楽しそうだなあ。宿泊プランや食事はどうなっていますか?
千葉:基本プランは素泊まりですが、オプションで和食か洋食を選べる朝食をつけることができます。さらに、滞在中にアルコール・ソフトドリンクが飲み放題になるオプションもありますよ!(アルコールの提供は15時から)
ーいいな~、ロビーでのんびり飲みたい。夜ごはんも館内で食べられますか?
千葉:レストランがありまして、ディナーを楽しんでいただくこともできます。ちなみに唐津の人気レストラン「青天堂」を運営する株式会社BLUE DESIGNさんにサポートいただいています。

ウニで話題!「唐津雲丹パスタ」の店【青天堂】を栗原孝太郎さんが開いた理由|北村朱里の"唐津が知りたい!"vol.2
ー青天堂さん、前回の記事で取材させていただきました。とてもおいしそうですね。
千葉:料理長を務める松崎翔は、以前も唐津に住んでいたことがあり、その時から唐津の食材の豊富さと美味しさに魅了されていたそうです。そんな唐津への恩返しも込めて、これから腕をふるっていこうと張り切っていますよ!
ー素敵! 今後が楽しみですね。
千葉:ランチ営業も始めましたので、地元の方にも気軽に来ていただきたいです。
※ランチ営業についてはInstagramをご確認ください
ー滞在中に楽しめるアクティビティもいろいろ計画されていると聞きました。
千葉:はい、まずはビーチサウナです!
ー海の水風呂で波に揺られてととのう時間、たまらなく気持ちよさそう。
千葉:そのほかSUP、ビーチヨガ、トレッキングなど、いずれも5月~11月の期間に行う予定ですので、楽しみにお待ちください!
ーワクワクしてきました~! 千葉さん、ありがとうございました。
愛されてきた場所を大切にしながら、新たな楽しみを届ける
続いて、支配人の河津春菜さんがリニューアルオープンを迎えた思いを語ってくれました。
河津さん:お披露目会を開いた時、地元の方々から「待っていたよ!」「閉まっていたからさびしかったんだよ」といったお声をたくさんいただきまして。皆さまに愛されてきた場所なんだなあと改めて実感しました。
この素晴らしい景色や広々とした空間を生かして、人が集まりたくなる場所をこれから皆さんと共につくり上げていきたいなと。昔からある良さを大切にしながら、新たな楽しみ方をお届けしていきます。国内外からの宿泊はもちろん、近隣の方にもイベントやランチなどで気軽にご利用いただきたいですね!
こう話してくれた河津さんの声には、唐津の方々へのリスペクトとホテルのこれからへの意気込みがつまっていました。ありがとうございました!
代表・橋村さんに聞く! 仲間を巻き込み楽しい未来をクリエイトする話
さて、いよいよリニューアルの仕掛け人こと「株式会社VILLAGE INC.」代表取締役社長 橋村和徳さんにお話を伺います。橋村さんの原点から描く未来までじっくり聞きますよ!
他には真似できない「唐津のストーリー」を届けていきたい
ー橋村さんは唐津のご出身だと聞きました。どのあたりにお住まいだったんですか?
橋村さん(以下、橋村):生まれは佐志(さし)。それから神田(こうだ)、浜玉(はまたま)を転々とし、それから虹の松原に近い松南町(しょうなんちょう)に住みました。
ー唐津の山、海、街をひと通り経験してきたんですね。子ども時代は何をして遊んでいましたか?
橋村:海に潜ったり、山でカブトムシをつかまえたり、あと秘密基地をつくったりとかね!
ー満喫していたんですね。他にハマっていたものなどは?
橋村:僕、歴史が大好きで。子どもの頃から、地元の地名の成り立ちとか活躍した人物とかにめちゃくちゃ詳しかったんですよ。歴史を掘り下げるほどに「唐津ってすごい!」と感動したし、自分のルーツを想像したりするとワクワクして! 子どもながらに唐津に誇りと愛着を感じていました。
ーそんな橋村さんが大人になり、海外で働いたり、県外で事業を起こしたりする中で、唐津への見方や思いは変わりましたか?
橋村:外に出ていろいろな世界を知り、唐津を「自分のふるさと」ではなく「ひとつのまち」として客観的に見られるようになりました。その時に感じたのは「唐津は大いなるポテンシャルを秘めている」ということ。例えばここで茶の湯文化が花開いたといったような、歴史の中で重ねられてきたカルチャーがある。それって圧倒的な強みであり財産ではないか、と。
ー一度唐津を出たからこそ持てた視点なのですね。
橋村:福岡からの距離も絶妙で。遠すぎず、かといって近すぎないのでちょうどよく旅の過程を楽しめます。それから、山海の幸もそろっているでしょう。野菜も果物も肉もおいしい、焼き物もある。こんなに恵まれた土地ってなかなかないので、これをもっと生かさないともったいないですよね。
ーなるほど、それがポテンシャルかあ。
橋村:そういった資源を単体でクローズアップするのではなく、組み合わせてひとつのストーリーとして発信していくのが大切だと、僕は思っているんです。
「変態」な仲間と共に未来をクリエイトする
ーそして今回、唐津の新たなストーリーを紡ぐべく「虹の松原ホテルThe Beach」のリニューアルを手がけられました。その経緯を聞かせてください。
橋村:最初は一瞬だけ「どうしよう?」と思いました。何しろ本当に古い建物ですし。
でもね、考えてみて......ここって、福岡方面から虹の松原をくぐってきて最初にある宿泊施設なんです。だから唐津に来た人を思いきり歓迎する「ゲートウェイ」になれる。海にも松原にも隣接していて、いろんなアクティビティが楽しめる。このロングビーチはカリフォルニアを彷彿とさせるし、瀬戸内海のような穏やかさもあり、実はめちゃくちゃ地の利があるんですよね。
ーまさにポテンシャルを感じられたと! 捉え方次第なんだなあ。
橋村:建物だってたしかに古いけれど、必要な部分は改修すればいいし、エイジングは魅力にもなる。例えばロビーの床は敢えてタイルを剥がしっ放しにしているんですよ、ほら。
(先ほどと同じ写真ですが、改めて床をご覧ください)
ーおお、ホントだ、カッコいい。「ヴィンテージ風」にはない、本当に古い物が持つ味わいがありますよね。客観視することで、掘り起こされていなかった魅力や強みに気付ける。それって、外に出た橋村さんが唐津を見た時と同じ考え方だ。
橋村:そうして今、このホテルづくりを当社だけではなく仲間と共に行っているところです。僕たちは「誇り高き3H」というのを大切にしていて。
ー3Hとは?
橋村:「辺境、廃墟、変態」です。「辺境、廃墟」は、過疎地や遊休地といった、寂れて見えるけれど可能性を秘めている「何もないけど何でもある」場所。そこに「変態」が関わるのが非常に重要でして。
ーあの、変態って......(記事にして大丈夫なやつかな?)
橋村:新しいことにチャレンジし、結果にコミットして変化にどんどん適応していく人。さなぎが蝶になるような。つまり変態=メタモルフォーゼということです。
ーそういうことか! しかし、考えてみるとすごく大変そうな事業ですが、あんまり苦労されているように見えませんね(失礼か)。なんというかこう、ストイックさが全然......
橋村:ないです、ないです。面白いからやっているだけですから。「地域の課題解決」という言葉がありますが、僕らはそれを目的に据えてはいなくて、とにかく楽しい未来をクリエイトすることに全力で向かっているんです。でもそうすることで、結果的に課題も解決されるんですけどね。
ーマイナスを埋めようとするのではなく、プラスを追い求めていく。そのほうがずっとポジティブだし、協力者も増えそうですね。仲間を巻き込んでプロジェクトを成功させるコツってありますか?
橋村:楽しむことは大事ですが、ただ「楽しいよ~」だけではビジネスとしての協力は得られません。なぜやりたいのか、どういう場所にしたいのか、自分たちの存在意義は何なのか。明確に言語化して伝えることが大事です。
ーそうやって理解や共感を生んでいくのですね。
橋村:それともう一つ、こうした立ち上げ時のメンバーは敢えて地元以外から採用するようにしています。さっきの千葉や河津、他のメンバーも多くが県外から来ているんですよ。
ーふつうは現地採用しますよね? なぜですか?
橋村:外から来た人はしがらみがないので、何の遠慮もなく伸び伸びとチャレンジできます。立ち上げ期においてはそれがすごく強みになる。それに、客観的な目線でいろんなことに気付いてもらえますしね。もちろん、これからは地元の方にもジョインしてもらいたいと思っています(スタッフ募集中!)
唐津のゲートウェイを「ネオ遣唐使」の拠点に
ー「虹の松原ホテル The Beach」を、これからどんな場所にしていきたいですか?
橋村:まずはとにかく、この素晴らしい環境を皆さんに思いきり楽しんでもらいたい。そして、旅人と地元の人が交わる場所にしたいんです。この広いロビーで、旅人たちがお酒や会話を楽しむ。地元の人もランチやお茶をしにフラッと訪れる。そこに海外の方も加わって......ボーダレスなコミュニケーションが起こり、いろいろなカルチャーが交じり合う「ネオ遣唐使の拠点」にしたいなと!
―「ネオ遣唐使」たちが今を楽しみ、明るい未来を描いてワイワイ語り合う。そうすることで自ずと新たな価値が生まれ、次のストーリーが紡がれていくんだなあ。ありがとうございました!
最後に......
歴史を愛し、秘密基地づくりに夢中になった少年がそのまま大人になったような橋村さん。外の世界で経験を積み、改めてこのまちを見たときに感じたポテンシャルが、どんどんカタチになって素敵なストーリーとしてたくさんの人にシェアされていくのを感じました。
過去の歴史をリスペクトする心、今を夢中で楽しむ気持ち、未来をクリエイトする行動力。これらを併せ持つことで、自分自身も、まちも、もっともっと輝かせることができるのだろうな。私も「変態」になろう!
リニューアルオープン前日に開かれたお披露目会のようす。多くの人の熱気と期待に溢れ、この場所で「ネオ遣唐使」が語り合うすぐそこの未来がありありと想像できました。
施設情報
店舗名 | 虹の松原ホテル The Beach |
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住所 | 〒847-0017 佐賀県唐津市東唐津4丁目 |
詳細情報 | 【チェックイン】15:00 【チェックアウト】10:00 【駐車場】120台 無料 【部屋数】 ツイン(海側)32室、シングル(松原側)18室、和室(海側/12畳)2室、和室(松原側/8畳)6室 【設備など】 シャンプー、トリートメント、ボディーソープ、タオルあり Wi-Fiあり 全館禁煙 |
公式サイト | https://nijimatsu.jp/ |
公式SNS | Instagram:@thebeach_nijinomatsubara |
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