【旧古賀家】築約140年!歴史ある建物と共に佐賀の過去と未来に思いを馳せる

【旧古賀家】築約140年!歴史ある建物と共に佐賀の過去と未来に思いを馳せる

普段の⽣活ではなかなか知ることのできない歴史ある建物の魅⼒を探るべく、佐賀市柳町にある『旧古賀家』にやってきました。

明治から令和まで。動乱の時代を乗り越えた旧古賀銀⾏頭取の⼤邸宅

この『旧古賀家』は、隣にある『旧古賀銀行』の頭取の邸宅でした。

古賀家は代々呉服屋を営んでおり、明治18年に『古賀銀行』を設立。この旧古賀家は、開業1年前の明治17年に建てられたとされています。

一時は「九州五大銀行のひとつ」と言われるまでに大きく成長した『古賀銀行』。しかし世界恐慌の煽りを受け、大正15年に休業へ追い込まれ、昭和8年に解散。一家はこの家を手放すことに。

その後、料亭として使用されたりするなど、何度か所有者が変わった後に平成4年に佐賀市の所有となりました。

復原整備後に『佐賀市歴史民俗館』として生まれ変わり、現在に至ります。

格式あふれる中にもただよう懐かしさと⼼地よさ

まず目に飛び込んできたのは、まるでお寺かと見紛うような瓦葺きの立派な門。

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その奥にはさらに立派な玄関。その幅は約4メートル近くあります。

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しかしそんな格式あふれる建物でも、一歩足を踏み入れてみるとどこか懐かしい心地よさに包まれます。

足裏に伝わる畳の柔らかさ、開放的な空間と通り抜ける風、木枠のガラス引き戸、年月を重ねた柱や梁の風合い。

日本家屋には、自然と共に暮らしてきた日本人の知恵と感性がたくさん詰め込まれています。

主座敷はシンプルで荘厳な武家屋敷風。銀行の頭取の家にしてはやや贅沢さを抑えた印象がありまが、52畳もある座敷は圧巻。廊下も板張りではなく畳敷きです。

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欄間細工も見事です!

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諸説ありますが、佐賀城本丸から持ってこられているという謂れもある襖絵も。

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あの大隈重信も宿泊していた!

こちらは主座敷とは一転し、落ち着いた雰囲気と粋な装飾の座敷となっています。

ブルーベージュの漆喰の壁と落ち着いた色味の木の部材。現代のモダンインテリアとしても通用するくらいおしゃれです。

この奥座敷の別名は"大隈の部屋"。「大隈」とはもちろん佐賀の七賢人のひとり、大隈重信のこと。

頭取と仲が良かったために、佐賀に帰省した際にしばしば泊まりに来ていたのだそう。

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余談ですが、重要文化財の敷地内になんと喫煙スペースが。佐賀のおおらかさを感じた一コマでした。

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後世にも伝えていきたい旧⻑崎街道沿いの貴重な歴史的建造物の数々

旧古賀家は旧長崎街道に面しています。江戸時代には象も通った長崎街道。そしてこの道のはるか向こうには江戸の都。昔の人々は様々な想いを胸にこの道を歩んだことでしょう。

この旧長崎街道沿いには、今でも貴重な歴史的建造物がいくつも立ち並んでいます。

「佐賀は他の都市よりも戦時中の空襲の被害が少なかった方なので、本来ならもっとこういった歴史的建造物がもっと残っていてもいいはずなんですが、それが少し残念です」

そう語るのは佐賀市歴史民俗館の副館長。

ヨーロッパを例に挙げると、何百年前の街並みが現代でもごく自然に存在し、人々はその中で当然のように暮らしています。

一方、日本家屋は木造であるがゆえに火事に弱く、建物にとって過酷な高温多湿な気候であり、かつ地震の多い国土。維持修繕にも費用がかかり、容易ではありません。

そんな状況下にありながらも、今日まで受け継がれてきたこの旧古賀家をはじめとした歴史ある建物の数々。

これらの貴重な建物を今後も大切に受け継いでいかなければ、と感じました。

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最後に

技術や情報、経済、人の価値観と、全てのものが目まぐるしく変化していく昨今。

その中でも変わらないもの、残すべきもの、見失ってはいけないものがきっとあるはず。

明治から令和の動乱を乗り越え現在まで受け継がれてきた歴史ある建物と共に、過去と未来に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

施設情報

店舗名 旧古賀家(佐賀市歴史民俗館
住所 佐賀市柳町3-15
公式サイト https://www.sagarekimin.jp/facility/koga/
詳細

【営業時間】9:00~17:00

【定休日】月曜日、祝日の翌日、年末年始、資料等整理期間

【駐車場】50台(佐賀市歴史民俗館)

地図

イラストレーター

くのこ

佐賀市在住のイラストレーター。 サガン鳥栖・歴史・神社仏閣が好き。 特にレトロ建築が大好きで、二級建築士・インテリアコーディネータ...

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