息子のひと言で始めた農の道。仲間を増やし、次の世代につなげたい。『ともはぐ』森山茜さん|基山町【SAGAローカリスト2】 PR

息子のひと言で始めた農の道。仲間を増やし、次の世代につなげたい。『ともはぐ』森山茜さん|基山町【SAGAローカリスト2】

私たちが暮らす地域。その魅力は、文化や歴史、産業だけでなく、そこでの暮らしを楽しむ人々の想いによって作り出されています。佐賀県には、自分の"やりたい"ことを追い求め、人々を巻き込みながら、地域の魅力を高めている人達がいることを知っていますか?

そのような地域で暮らす人々を「ローカリスト」と呼び、皆さんにお知らせする連載。

第2回目は、「ともはぐ」代表の森山茜さんの活動をお届けします。

安全・安心な野菜づくりの道へ

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「お米を作りたい」

当時2歳半だった息子さんが発したこの言葉。これが森山茜さんの生き方を大きく変えることになりました。

現在、森山さんは基山町に住み、無農薬・化学肥料不使用(基本無肥料)で育てた野菜の販売、食育イベント、大豆シードプロジェクトなどを展開する『ともはぐ』の代表を務めています。コンセプトは「自分自身(お客様自身)が命の循環の一部だと気付いて食卓がより良く変わる」。

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福岡市城南区で電気工事関係の仕事を自営する家の長女として生まれた森山さん。厳格な父と優しい母、森山さんを含めた4人兄弟の6人家族。地元では彼女が農業に触れる機会はほとんどなかったそうです。農業を始める際、母から「実家(熊本都県山鹿市)に帰省した時に、農作業を手伝ったことがあるよ」と教えられたそうですが、その記憶はないと笑います。

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27歳で結婚、出産を経て、「何かをやりたい」と思っていた彼女は、冒頭の息子さんのひと言をきっかけに農業を志します。2012年2月、福岡市西区の今津市民農園に借りたわずか30平方メートル(10坪未満)の農地から『ともはぐ農園』をスタート。「息子とともに育み合う」という意味を込めた農園名は今や会社名となりました。周りに農業関係者はおらず、本やインターネットから得た知識が頼りでした。その後、糸島市で会員制農園の運営したり、小郡市の農業法人の研修生となって米作りに2年半従事したり、着実に農業の経験を積んでいった森山さん。その間、農薬や肥料のことを知り、考え、無農薬・無肥料の野菜栽培にたどり着きます。

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そして、2016年6月基山町へ移住して現在に至りました。農地は「ともはぐ」をスタートさせた頃の160倍以上となる、約5,000平方メートル(5反)にまで広がったのです。

仲間とともにはぐくむ

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当初は、野菜の収穫・加工(調理)などを体験する食育イベントや料理教室などが中心でした。しかし、こうしたイベントだけでは森山さんの活動や農業の大変さ・大切さは伝わらない。そこで区画オーナー制を行うことに。

「収穫までの作業が大変なので、一貫した農作業を体験できるように区画を借りていただき、マイ畑として(会員に)管理してもらっています。畑に来ればいろんな作業ができるので、それも楽しんでもらいたい」

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地域のコミュニティーとの関わり

現在、年間50家族以上がイベントに参加したり、区画を借りて野菜を作ったりしているといいます。順調に進んでいる「ともはぐ」の運営ですが、すぐに地域のコミュニティに溶け込めたのでしょうか? 

「ここの集落は小さいので集まり事もたくさんあります。(集落の)組合があって、それには何があっても出るように決めました。私は人見知りをするんですが、『まず顔を覚えてもらおう』と思って。名前を覚えてもらったら、『普段は何しよるとね』って声をかけてくださるし、婦人会にも参加して仲良くさせていただいています」

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地域にはそれぞれ独自の習慣や風習があるように、森山さんの住む地区にもルールがある。集まり事などを通じて学び、一方で森山さんが「ともはぐ」を通してどんな暮らしをしているかも広げています 。ある時は、「鶏を捌いて食べるから」という誘いを受け、子どもたちを連れて参加したこともあったといいます。

「衝撃的なシーンもありましたけど、子どもたちも真剣に取り組んでいました。おじいさんたちから『昔は当たり前の光景やったし、貴重な食べ物やった』と言われたのは、子どもたちにとって大事な経験になりました」

子どもたちの世代につなげていきたい

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無農薬・無肥料での野菜作りは決して簡単ではありません。時には人間の力が及ばない自然の脅威に晒されることもあります。実際、豪雨で野菜が全滅したことも。その時、森山さんは畑の状態をお客さんに嘘偽りなく話して、来年の畑づくりへの協力をお願いしたそうです。ほとんどのお客さんが、作物の命を扱う大切さを体験を通じて知っていたから理解してくれたのでしょう。

「たくさんの方に畑と台所に足を運んでいただいて、ちょっとでもいいから自分で種蒔きから作物を育てて食べることまでできる仲間が増えていくといいな」今後目指す方向性を聞くと、こう答えが返ってきました。

そして、続けて、「最終的には自分の次の世代、子どもたちにつないでいきたいので」。

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プロフィール:森山茜

1981年福岡市生まれ。久留米の大学を中退後、居酒屋、パン屋、薬局などさまざまな仕事を経験。その後、結婚、出産を経て、子どもの「お米を作りたい」との言葉がきっかけで農業の道へと進み、その様子をSNSで発信。無農薬・無肥料の野菜作り、食育イベントなどを通じて、命を育む環境づくりを次の世代へ伝えようとしている。

情報

ともはぐ

Facebook:https://www.facebook.com/tomohagu/

農業体験や味噌作りなどの食農体験イベント情報はFacebookから。

イベント

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SAGAローカリストアカデミー開催決定!【応募終了】

私たちが暮らす地域。その魅力は、文化や歴史、産業だけでなく、そこでの暮らしを楽しむ人々の想いによって作り出されています。佐賀県には、自分の"やりたい"ことを追い求め、人々を巻き込みながら、地域の魅力を高めている「ローカリスト」たちがいます。
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文:荒木英喜
写真:藤本幸一郎

EDITORS SAGA 編集部

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