空き家に灯りをともし、有田町の未来を明るくしたい。『NPO法人灯す屋』佐々木元康さん|有田町【SAGAローカリスト10】 PR

空き家に灯りをともし、有田町の未来を明るくしたい。『NPO法人灯す屋』佐々木元康さん|有田町【SAGAローカリスト10】

私たちが暮らす地域。その魅力は、文化や歴史、産業だけでなく、そこでの暮らしを楽しむ人々の想いによって作り出されています。佐賀県には、自分の"やりたい"ことを追い求め、人々を巻き込みながら、地域の魅力を高めている人達がいることを知っていますか?

そのような地域で暮らす人々を「ローカリスト」と呼び、皆さんにお知らせする連載。

第10回目は、「NPO法人灯す屋」で代表の佐々木元康さんの活動をお届けします。

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コツコツとした積み重ねで活動の輪を広げて。

やきものという400年を超える伝統産業が息づく有田町。
毎年有田陶器市でにぎわう一方、年々空き家・空き店舗が増えていく問題も抱えています。
2015年に地域おこし協力隊として有田町にUターンした佐々木元康さんは、空き物件の利活用や、移住・定住者を支援する活動などを行ってきました。

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関東の大手製薬会社で新薬の研究員だった佐々木さんが「地域」に関心を持ち始めたのは、東日本大震災の被災地でのボランティア活動から。ボランティアチームを立ち上げ、チームリーダーとして週末宮城県南三陸町に通うこと34回。現地の方や参加者に自分の思い描く支援が受け入れられたことで、「地元に帰っても何かできるのでは」という自信が芽生えたそうです。

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ボランティアで3年以上実際に被災地を行き来したように、佐々木さんの活動は現地での実践的なアプローチが特徴です。2017年には有田内山地区にある陶磁器店の2階の空きスペースをDIYで改装したシェアハウス&アトリエ「コネル」をオープン。

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物件の紹介だけでなく、まずは自分たちで一つの活用モデルを作り上げ、運営することで、地元の人々の共感や理解がだんだんと広がるきっかけになったといいます。間接的な取り組みも含め、これまで15軒ほどの空き家活用の実例があります。

「まちの動き」に関わることの楽しさが原動力。

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2018年、地域おこし協力隊の任期を終えた佐々木さんは、それまで一緒に活動してきた仲間と「NPO法人 灯す屋」を立ち上げます。ビジョンは「このまちに暮らす人びとと共に、豊かな未来をつくる」こと。

「3年間の活動の後、次に何をしようかと結構迷いました。空き家に入るのは苦手なんです」と佐々木さん。

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それでも、「相談に訪れる人と一緒に何かを考えたり、支援をしたりすることは価値があること」との思いで、空き家に関わり続けることを決意。これまでと同じく、旧お菓子屋の店舗を活用した「まちのオフィス 春陽堂」を拠点としながら、有田で新しいチャレンジを始める人々を応援するとともに、新しい事業にも取り組んでいます。

「空き家はまちおこしのツールの一つ。移住者と地域の人が関わる機会を得られたり、まちの新しい動きのスタートを担わせてもらえるのが楽しいんです」と話してくれました。

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地域の横のつながりを生み出す交流。

佐賀への移住希望者と移住者、地元の人をつなぐ交流イベント「MEETUP!SAGA」、東京で佐賀の魅力を語るイベント「佐賀の魅力をサガさナイト」など、佐々木さんは多彩な催しを企画してきました。伝統的建造物群保存地区で年2回開くイベント「うちやま百貨店」もその一つです。

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町家や洋館など150軒もの歴史ある建物が残る有田内山地区。この街全体を百貨店に見立て、空き店舗を使ってさまざまな雑貨店、カフェなどが出店します。マルシェのような催しですが、最大の目的は、お店を始めたい人と空き家オーナーとのマッチング。お試しでお店のスペースを借りられることは、お互いにとってメリットが多いはずと考えます。

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「必ず前後にイベントの趣旨などの説明会を行います。終了後にはオーナーさんや出店者、地域の人などが集まる懇親会も開き、実はそれが一番効果的でした」と手応えを感じる佐々木さん。普段の生活ではあまり接点のない町内の人同士が出会い、まちについて話し合い、具体的な協力や新たな横のつながりが生まれているのだそうです。

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有田の未来に願いをこめて。

佐々木さんが見つめるのは、有田の未来。少子高齢化が進み、10年後、そのまた先の文化継承についても真剣に危惧し、簡単には答えの出ない課題と直面しています。その中で動き出したのが、有田で親しまれていた「茶わん最中」の復活プロジェクト。「有田焼は石膏型で作られるものがほとんど。型を使って作る最中を食べながら、年々減りつつある型職人の仕事にも思いをはせてほしい」と、伝統産業の後継者育成を視野においた取り組みも行っています。

「有田らしさ、佐賀らしさを大事に、移住者の新しい感性も取り入れながら有田のまちを豊かにしていきたい」。さまざまな人々をつないで地域に風穴をあける佐々木さんの挑戦は続きます。

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プロフィール:佐々木元康
1983年有田町生まれ。2002年大学進学のため上京し、大学院卒業後、製薬会社へ就職。2015年、有田町地域おこし協力隊としてUターン。空き家、空き店舗の活用と移住・定住者支援を主な柱として活動。
アトリエ・シェアハウス「コネル」のオープンや、空き店舗活用イベント「うちやま百貨店」の企画や運営に携わる。2018年より現「NPO法人灯す屋」代表理事。

情報

NPO法人 灯す屋

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まちのオフィス春陽堂

〒844-0004 佐賀県西松浦郡有田町大樽2丁目3−6

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イベント

SAGAローカリストアカデミー開催決定!【応募終了】

私たちが暮らす地域。その魅力は、文化や歴史、産業だけでなく、そこでの暮らしを楽しむ人々の想いによって作り出されています。佐賀県には、自分の"やりたい"ことを追い求め、人々を巻き込みながら、地域の魅力を高めている「ローカリスト」たちがいます。
「ローカリストアカデミー」は、地域で活動する「ローカリスト」と出会える機会です。
このアカデミーで「地域づくり活動」の魅力と可能性を見つけてみませんか?

【佐賀会場】2019年9月7日(土) 13:00-16:00  SAGA CHIKA 佐賀県庁地下1F
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文:高橋香歩
写真:藤本幸一郎

EDITORS SAGA 編集部

SAGAローカリスト2019

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