「畑の中で体感する食と命と農」【「ローカリストアカデミー」活動レポート】|お試し地域づくり活動③基山町 PR

「畑の中で体感する食と命と農」【「ローカリストアカデミー」活動レポート】|お試し地域づくり活動③基山町

私たちが暮らす地域。その魅力は、文化や歴史、産業だけでなく、そこでの暮らしを楽しむ人々の想いによって作り出されています。佐賀県には、自分の"やりたい"ことを追い求め、人々を巻き込みながら、地域の魅力を高めている人達がいることを知っていますか?

そのような地域で暮らす人々を「ローカリスト」と呼び、連載【SAGAローカリスト】でお知らせしてきました。

2019年9月に県東部地区のローカリストが集まり、参加者と共に地域づくりについて考える「ローカリストアカデミー」(佐賀会場)を開催。

ローカリストとネクストローカリストたち(アカデミーの参加者たち)がアイディアを出し合い、地域づくりの第一歩を踏み出す活動「お試し地域づくり」を考え実際に"やってみる"ことに......

ローカリストによって地域の課題や活動の目的は様々。地域づくりに興味を持つネクストローカリストたちとローカリストの交流から生まれた佐賀県各地で広がる地域活動をお届けします。

畑でマルシェ~秋の収穫祭~

第2回目は、「ともはぐ」代表を務める森山茜さんのお試し地域づくり活動「畑でマルシェ~秋の収穫祭~」。

ローカリスト森山さん紹介記事

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基山町にある洗心寮で11月4日に開催されたともはぐ収穫祭マルシェにネクストローカリストたちは参加しました。「命を育み循環させる環境づくり」に取り組むともはぐにとって、やはり畑での収穫体験はたくさんの人に経験してほしいこと。マルシェでは午前と午後にそれぞれ、「落花生の収穫体験」と「芋掘り体験」が行われました。

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今回のマルシェはともはぐでは初めての試み。出店者は、基山町近辺で様々な活動をしている方々でみんな森山さんの呼びかけに応えてくれた人たちです。

子どもたちの笑い声が響き、周りの大人たちはそれをあたたかい目で見守っている。なんとも素敵な空間がそこにはありました。

お試し地域づくり活動

ローカリストアカデミーでは「食と命と農を体感し、秋の味覚を存分に堪能してもらう」ことをテーマに、いくつかの課題について考えました。

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  1. 先住者と移住者の交流・郊外からの訪問者を増やす仕組み
    →移住ブースや基山紹介パネルをつくる
  2. 買い物するだけに終わらない、農の魅力を感じられるマルシェとは?
    →体験型の催し、地産地消
  3. 集客方法、持続可能(定期的)な開催をするためには?
    →インスタでハッシュタグ(#)を有効に活用する
     関係人口を増やす
     同じ集落の人(婦人会など)に協力してもらう
     公共交通機関を活用

アカデミーでネクストローカリストたちが様々な意見を出し合った今回のともはぐ収穫祭マルシェ。中には準備の段階からイベントのチラシを積極的に配ってくれた方や、自分のアイデアをイベントの中で実現させたネクストローカリストもいたそうです。

【活動の様子】

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ともはぐ収穫祭マルシェ当日、子どもたちが楽しめるようにと駆けつけてくれた出店者の方々は1人や2人ではありません。空気砲やスラックライン(細いベルト状のラインの上でバランスを楽しむ遊び)といったたくさんのアクティビティや、駄菓子屋さんの出店など飽きることなく楽しめます。

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ともはぐ農園にニホンミツバチの巣箱を設置した養蜂の先生JBeeFarmさんによる養蜂の講座はちみつの試食会も行われました。

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基山町や近辺で活動する人たちが多く出店。基山産の物がたくさんそろって小さな基山物産展になっていました。

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今回のともはぐ収穫祭マルシェでは、アカデミーでネクストローカリストから出た意見やアイデアがより「食と命と農」を感じてもらえるようにブラッシュアップされていました。

例えば、落花生の収穫体験もただ収穫するだけでなく採れたての落花生を大鍋で塩ゆでにしてその場で食べるようにし、自分で採った分がわかるように名札も付けました。「こんな風に食べるのはじめて!」という声は子どもたちだけでなく大人の方からも。

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収穫から調理して食べるところまで体験してもらう、という体験型の催しとして焼き芋を焼くことにしたのもアカデミーで出た意見がきっかけでした。土まみれになりながらも収穫を楽しみ、口いっぱいにお芋をほおばって「おいしい!」と声をあげる子どもたち。まさに「食と命と農」を感じている姿が印象的でした。

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森山さんが「持続可能な活動」をアカデミーで課題に掲げていたことから、ネクストローカリストが考えたSDGsを学ぶことのできるすごろく。作成したネクストローカリストは「子どもたちにはたぶん難しいけれど、わかってないながらに楽しんでくれましたね」と笑います。

こうしたネクストローカリストのアイディアや取り組みが、ともはぐ収穫祭マルシェをよりにぎやかで充実したものにしていったのではないでしょうか。

ネクストローカリストの声

「ともはぐ収穫祭マルシェ」に参加した2名のネクストローカリストに今日の感想や今後やってみたいことについて聞いてみました。

20191226_h1_15_resize.jpg下楠薗康司さん(鳥栖市在住)

(森山)茜さんの活動は以前から知っていて、今回のアカデミーに参加しました。それぞれの地域に個人で志や熱意をもって精力的に活動されている方がたくさんいることと、その人たちの活動を知ることができてよかったです。
学童保育でもカバーできない「子どもたちが学校から帰ってお家のひとがかえってくるまでの時間」に、自由に来ていい場所を基山町でつくりたいと思っています。まわりにもっと気軽に助けを求めることができる場所にしたい。「困っている人に手を差し伸べる」ということに敷居を感じないでみんなが助け合える場所にするためには、そこに日常の導線をひいて、みんなが自然と知り合いや友達になっている、という場所が理想だと思います。ちょうど長屋文化の井戸で井戸端会議をするような感じ。
「自分の次の世代、子どもたちにつないでいきたい」という茜さんの想いが自分も共感する部分ですね。今日は子どもたちもみんな楽しそうで、学びになりました。

20191226_h1_16_resize.jpg西川彩菜さん(基山町在住)

現在、さが地域ッズサポーターとして基山町で活動していますが、もうすぐ任期を終えます。(森山)茜さんとも地域ッズの活動を通じて知り合い、交流がありました。
基山ってすごくいいところなんですよね。福岡との県境であり、昔から「交流の拠点」となっていました。いろいろな人との交流があっておもしろい場所です。地域への想いが強い人も多いんですよ。
活動をしていて思うのは、人と人がつながって点が線になることが絶対に必要だということ。今回のイベントもそうですが、周りにたくさんの人がいて1人では決してできないことも何人かでやればできちゃう。アカデミーで出た意見はほぼ実現していると思います。人と人とのつながりが重要なんですね。
今度引っ越す予定のアパートの空き倉庫を借りて、今後はそこを使って何かできたらいいなと思います。基山町職人の会の展示やアトリエなど、いろいろな人が来る、いろんなところから人が来る場所にしていきたいです。

おわりに

活動を取材していて、人と人とのつながりがとても深くて濃いと感じていました。これだけのつながりを基山町に移住して1から築いてきた森山さんにその秘訣を問うと、

「よく1人で何でもがんばっちゃうけれど、助けてくださいって素直に言えるとこれだけの人が集まってくれた。誠意をもって協力を頼めば必ず助けてくれる人はいる」

という答えが返ってきました。

自分一人ではできないことも、助けてくれる人がいるとその一歩目を踏み出すことができる。志を同じくして手を貸してくれる「仲間」を見つけるには、素直に心の内を話してみることが大事なのだそうです。

「やりたいことはあるけれど、何から始めたらいいのだろう」と悩むネクストローカリストに森山さんの言葉が届くといいな、と感じた一日でした。

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EDITORS SAGA編集部 中島ちひろ

EDITORS SAGA 編集部

SAGAローカリスト2019

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