私たちが暮らすまちは、その土地の文化、歴史、産業、そしてそこで暮らす人々によって形成されています。
佐賀県には『ローカリスト』と呼ばれる多くのプレイヤーたちが正解の無い地域づくりに挑戦しています。
どんな人たちがどんな未来を目指して取り組んでいるのでしょう。
4年目を迎えたローカリストアカデミーでは、これまでにたくさんの出会いや化学反応を生み出しました。
今年のローカリスト10名が思い描く「地域づくり」「まちづくり」とは、どんなものなのでしょう?
第2回目は、『多久市まちづくり協議会 かつやく隊』隊長 /『笹川工建株式会社』代表取締役の笹川俊一さんの活動をお届けします。
このまちで生まれ、事業を展開する者として。
佐賀県内で注文住宅を手がける多久市の『笹川工建株式会社』。
3年前に『笹川工建株式会社』の住宅部門を『SCOL HOUSE』、これまであった雑貨店を『SCOL SHOP』と、そして新たにカフェ『SCOL CAFE』をブランディングし、衣食住を体現できる『SCOL』ブランドを創出しました。
「カフェやショップを展開したのは、誰もが気軽に私たちのもとを訪れて欲しいから。お客さまとの関係を、家を建てたら終わりにしたくないんですよね」と話すのは、2021年に代表に就任した笹川俊一さん。
このまちで生まれ、このまちで事業を行うからこそ、まちで生まれる"人と人のつながり"を大切にしています。
そんな笹川さんは、事業に加えてまちづくり事業にも積極的です。
「まちへの意識を特に持つようになったのは、子どもが生まれてからですね。自分の世代がなにもしなかったら、なにも残せない。大人がまちのために楽しそうに働く姿を見せることで、子どもたちが大人になったときにも未来のために動けると思うんです。まちが持続するために今やらなきゃ」。そう語る笹川さんは、『多久市まちづくり協議会 かつやく隊』の隊長も務めています。
『空の道』との出会いが、まちを大きく動かした。
笹川さんがまちづくりの方向性を模索していた2019年頃、福岡市に本社がある『株式会社トルビズオン』と出会います。
「『トルビズオン』がやろうとしていることは、空の有効活用、ドローンによるモノの輸送です。手を結べば、多久のまちづくりの力になると思ったんです」。
そうして、『トルビズオン』にコンタクトを取り、協力関係を結ぶことに。早速、『かつやく隊』のメンバーへプレゼンすると、反応も良く、多久市の空を有効活用する取り組みがスタートしました。
「さっそく、ドローンをどのように活用できるかのワークショップを3回ほど実施しました。嬉しかったのが、徐々に参加者が増えてきたこと。みんな本気でこのまちのことを考えているんだな、と実感しました」。
ワークショップでは、外出が難しいお年寄りに日用品や薬を届けたい、などの意見が挙がり、多久市の空の道がこれからどこに向かって進むべきかが徐々に見えてきました。
まずは、名産品といっしょにスタート。
様々な期待や可能性を背負っていよいよ始まった『空の道』の実証実験。
「まず、最初に多久の名産品とともに、このプロジェクトをスタートさせたかったんです。多久はすっぽんの養殖が盛ん。キャンプ場までドローンですっぽん鍋の具材を運んで、みんなで鍋を囲みました」。題して『手ぶらですっぽんドローン鍋』。この実験は多くのメディアに取り上げられることになります。
「たくさんの注目を浴びて、2年間で10本の道をつくります!って言っちゃったんです......」と笹川さん。
しかし、その目標も軽々とクリアできるほどの勢いで、計画は進行中。『エンタメの空の道』、『医療の空の道』など可能性は広がるばかりです。
ドローンは、まちに誇りを持つためのツール。
ドローンを使ったまちづくりは、まちの人の協力がないと実行できません。『空の道』を作るには、『空の道』の下にある土地の所有者の許可が必要になります。
「それが、意外とすんなりみなさんの許可をいただくことができました。どこのローカルもそうですが、多久は横のつながりが強いんです」。また、空を使用したぶんだけ、その土地の所有者には通行料が支払われるという仕組みも、多くの賛同を得た理由のひとつです。
「これまでのまちづくりは、ある世代だけが盛り上がって、蚊帳の外になってしまう世代が生まれていました。ドローンによって、新たなビジネスが成り立ち、市民の生活は楽になる。子どもたちは空を嬉しそうに見上げるようになり、どんな世代にも喜ばれると確信しています」。
ドローンは、まちの『価値づくり』のツールだと言う笹川さん。大切なのは人のつながりや、アイデアから実際に実行し、経験することで向上する一人一人のポテンシャル。そしてその行動で芽生える『まちへの誇り』。
目の前の目標は、『空の道』の事業化です。空に描いた夢の実現が、もうそこまで来ています。
私がお試し地域づくり活動でやりたいこと。
プロフィール:笹川 俊一(ささがわ しゅんいち)
多久市生まれ。笹川工建株式会社の2代目として生まれる。大学時代、社会人時代を県外で過ごすが、家業を継ぐために多久市へ戻る。2021年に代表取締役社長に就任。事業のブランド化を手がける他、多久市のまちづくりにも積極的に参加。まちづくりの中心メンバーとして様々な企画を実行。特に、多久市の空の有効活用を目指す『空の道』が多方面から注目を集めている。
情報
SCOL HOUSE
住所 | 〒846-0002 佐賀県多久市北多久町1108-4 |
---|---|
公式サイト | https://scol.jp/ |
SCOL HOUSE:https://www.facebook.com/scolhouse SCOL CAFE:https://www.facebook.com/scolcafe SCOL SHOP:https://www.facebook.com/scols.jp |
|
SCOL:https://www.instagram.com/scol.jp/ SCOL CAFE:https://www.instagram.com/scolcafe/ SCOL SHOP:https://www.instagram.com/scolshop2014/ |
|
地図 |
|
多久市まちづくり協議会かつやく隊
https://www.facebook.com/%E5%A4% |
SAGA ローカリストアカデミー開催
地域づくりやまちづくり。
どんな人がどんな未来を目指して取り組んでいるんだろう?
地域づくりには、正解のカタチはありません。
理想をかかげて行動すること、行動のなかで見えてくるもの、そのすべてが答えではないでしょうか?
勇気を持って種をまいた日のこと。小さな芽が出て、誰かの共感を生んだこと。
それが地域に根ざして、まちにきれいな花を咲かせています。
さあ、ローカリストとの出会いから可能性を見つけよう。次に、地域に花を咲かせるのは、あなたです。
東部会場
日程 | 2021年9月25日(土) |
---|---|
会場 | 佐賀県庁 ※駐車場は県庁駐車場をご利用下さい。 |
詳細情報 |
参加対象:地域づくりに興味がある、佐賀県在住の概ね20代~40代の方 【スケジュール】 |
地図 |
|
西部会場
日程 | 2021年10月9日(土) |
---|---|
会場 | 佐賀県庁 ※駐車場は県庁駐車場をご利用下さい。 |
詳細情報 |
参加対象:地域づくりに興味がある、佐賀県在住の概ね20代~40代の方 【スケジュール】 |
地図 |
|
公式サイト | https://www.sagajikan.com/sagalocalist/ |
---|---|
参加申込 | https://docs.google.com/forms/d/e/ |
申込締め切り | 2021年9月20日まで |
文章:岡 優一
写真:藤本 幸一郎
編集:相馬 千恵子