私たちが暮らすまちは、その土地の文化、歴史、産業、そしてそこで暮らす人々によって形成されています。
佐賀県には『ローカリスト』と呼ばれる多くのプレイヤーたちが正解の無い地域づくりに挑戦しています。
どんな人たちがどんな未来を目指して取り組んでいるのでしょう。
4年目を迎えたローカリストアカデミーでは、これまでにたくさんの出会いや化学反応を生み出しました。
今年のローカリスト10名が思い描く「地域づくり」「まちづくり」とは、どんなものなのでしょう?
第3回目は、 地域互助力向上ネットワーク『0-100地域の輪』代表の中島直子さんの活動をお届けします。
きっかけは3,000人のお母さんから感じた「寂しさ」。
0歳から100歳まで、誰一人として孤立しない地域づくりを目指してさまざまな活動を行っている地域互助力向上ネットワーク『0-100地域の輪』の代表を務める中島直子さん。
きっかけは、この活動を始める前に出会ったお母さんたちから感じた「寂しさ」だったと言います。
「出産を機に、子どもと一緒に過ごせるようにと自宅でベビーマッサージやリトミック講師などのお仕事を始めました。最初の子どもが10歳になるまでの10年間で、約3,000人のお母さんと会いましたが、始めた当初からずっと、お母さんたちが抱える寂しさを感じていたんです」。
可愛い我が子とずっと一緒に過ごせて、子育てができるのはとても幸せなこと。けれど、子どもが小さい間はひと時も目が離せず、授乳や夜泣きなどでゆっくり眠ることも、座ってご飯を食べることもできません。「幸せなことなんだから、疲れたとか辛いとか言ってはいけないと我慢して、悩みを誰にも相談できずに孤立していくお母さんたちを見て、何かサポートができないかと考えていました」。
世代や立場の違う人との交流が解決の鍵に。
サポートのヒントを探るために家事代行の仕事も始めた中島さんは、そこで出会った独居の方や高齢者の方、同時期に知り合った看取りの為の訪問診療を行う医師とのふれあいを通して、視野が広がったと言います。
「母親同士や近しい人だけでは解決できないことも、他の世代や地域の方、行政など、さまざまな人たちが関わり合うことで解決策が生まれることもあります。お母さんの孤独をなくすためには、世代や立場の異なる人達との対話が必要だと気付いたんです」。
『0―100地域の輪』では、多世代多業種のつながりのきっかけづくりのため、テーマを決めて毎月1回講師を招いて講話やワークショップを行ったり、お母さん同士の交流の場を設けたりといった活動を積極的に行っています。これまでに町の診療所の医師やNPO法人の代表、唐津市長を講師として招いたそう。
「今は毎月市議会の方を1名お呼びして、意見交換を行っています。今まであまり選挙にも興味がなかったと言う方たちも、市議に伝えた自分の意見が実際に反映されたことやそのスピード感に驚いて、もっと知りたい、話したいと関わるようになりました」。
「誰かの支えになれる人」になれる。
明るい笑顔で話す中島さんですが、実は20代の頃に些細な人間関係のもつれから、約1年半自宅に引きこもっていたことがあったそう。その生活が変わるきっかけは、なんと1匹の野良猫だったとか。
「かわいい野良猫が遊びに来るようになって、その子を見たくて朝起きたり、外に出てみたり。猫にそのつもりはないでしょうけど、それが立ち直るきっかけになりました。人との関係もきっと似たようなもので、孤立する人をサポートするために何か特別なことをしなくても、一人ひとりが関わり続けることで、何かのタイミングで思いがけず誰かの役に立つことがあるし、誰もがそうなれると思うんです。そんなゆるやかなつながりが、少しずつ広がっていったらいいな、と思っています」。
今の自分にできることが、未来につながる。
『0-100地域の輪』のイベントや音楽活動、子どもたちをサポートするSSF(スチューデントサポートフェイス)職員としての学校訪問など、人や地域をつなぐための活動をどんどん広げている中島さん。そこには、多世代に寄り添う中島さんならではの思いがあります。
「私の人生も0から100に向かっている最中で、思うように動けなくなる日が来るはずだし、命にも限りがある。だから、今できることは今やろう、と思えるんです」。
「本当に孤立しているときは声をあげることすらできません。私は周りにサポートしてくれる仲間がたくさんいて、自由に動ける時間もある。だから代わりに声をあげて、届けることで、誰かの、何かの役に立てたら嬉しいです」と話す中島さん。
これからも今の活動をコツコツと続けていくことで地域のつながりが広がり、子どもたちが成長したときに、このまちが今よりも過ごしやすい場所になっていることを願って活動されています。
私がお試し地域づくり活動でやりたいこと。
プロフィール:中島 直子(なかしま なおこ)
神奈川県相模原市生まれ。結婚を機に唐津市に移住して15年目。ベビーマッサージやリトミック講師などの活動中に感じた「お母さんの孤独を解決したい」という思いから、地域互助力向上ネットワーク『0-100地域の輪』を発足。代表を務める傍ら、SSF(スチューデントサポートフェイス)唐津職員としての活動にも取り組み、お母さんだけでなく、0歳から100歳まで、誰も孤立せずに支え合える地域づくりを目指している。
情報
WEB | https://www.0100chiiki-wa.com/ |
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LINE@ | https://line.me/R/ti/p/%40294wqllp |
SAGA ローカリストアカデミー開催
地域づくりやまちづくり。
どんな人がどんな未来を目指して取り組んでいるんだろう?
地域づくりには、正解のカタチはありません。
理想をかかげて行動すること、行動のなかで見えてくるもの、そのすべてが答えではないでしょうか?
勇気を持って種をまいた日のこと。小さな芽が出て、誰かの共感を生んだこと。
それが地域に根ざして、まちにきれいな花を咲かせています。
さあ、ローカリストとの出会いから可能性を見つけよう。次に、地域に花を咲かせるのは、あなたです。
東部会場
日程 | 2021年9月25日(土) |
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会場 | 佐賀県庁 ※駐車場は県庁駐車場をご利用下さい。 |
詳細情報 |
参加対象:地域づくりに興味がある、佐賀県在住の概ね20代~40代の方 【スケジュール】 |
地図 |
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西部会場
日程 | 2021年10月9日(土) |
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会場 | 佐賀県庁 ※駐車場は県庁駐車場をご利用下さい。 |
詳細情報 |
参加対象:地域づくりに興味がある、佐賀県在住の概ね20代~40代の方 【スケジュール】 |
地図 |
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公式サイト | https://www.sagajikan.com/sagalocalist/ |
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参加申込 | https://docs.google.com/forms/d/e/ |
申込締め切り | 2021年9月20日まで |
文章:亀井 玲奈
写真:藤本 幸一郎
編集:相馬 千恵子