美しい七山の里を取り戻したい。 この地域で、誇りを持って生きていく。『NPO法人七山むらづくり協議会』理事長/『オーケイ・ファーム』代表 岡本 泰成さん PR

美しい七山の里を取り戻したい。 この地域で、誇りを持って生きていく。『NPO法人七山むらづくり協議会』理事長/『オーケイ・ファーム』代表 岡本 泰成さん

地域の魅力はその土地で暮らす人たちの思いが混ざり合い、溶け込み、形成されています。

「やりたいこと」を追い求め、周りの人たちを巻き込みながらカタチにしている『ローカリスト』。

5年目を迎えた『SAGAローカリストアカデミー』も個性豊かな面々が揃い、一味違う景色を見せてくれそうです。

そんな『ローカリスト』を4回に渡りご紹介します。

第1回目は、『NPO法人七山むらづくり協議会』理事長で『オーケイ・ファーム』代表の岡本 泰成さんの活動をお届けします。

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苦しかった時代、七山が助けてくれた

四季折々の豊かな自然に包まれる唐津市七山。

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トマト農家の岡本泰成さんは、ここ七山で生まれ、育ちました。学生時代はバドミントンに打ち込み、その実力は全国大会に出場するほど。「東京や大阪へ遠征に行くたびに『早く七山に帰りたい』と思っていました。都会は水が合わないし、私はこの七山の景色が好きなんですよね」と、幼い頃から抱いていた七山愛を語ります。

18歳で家業に入り、7年後の25歳のときに、家業を継ぎます。

「自分の代では付加価値が欲しくて無農薬トマトの栽培をはじめたんです。独学でしたから、はじめは全然うまくいきませんでしたね」と、失敗の連続だったと言います。

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そんな苦しい時期を救ってくれたのも、やはり七山でした。

生産者でつくる直売所『鳴神の庄』には、野菜や加工品などの七山の恵みを求めて多くの人が訪れます。岡本さんの野菜も鳴神の庄に並び、そこでの売り上げで生計を立てることができました。苦しい時代に生活ができたのは地域のおかげ、と岡本さんは言います。

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地域活動のスタート、原動力は恩返し

かつて七山には、年間約80万人が訪れていました。しかし、高齢化とともに、地域の発信力は小さくなり、足を運ぶ人が減少。見る人が遠のけば美しかった景観は荒れ、さらに客足が遠のくという悪循環を招いていました。そんな状況を七山のなかから見つめていた岡本さん。

「もう一度、かつての賑わいを取り戻せないかと。この地域に育ててもらった恩返しがしたいと思ったんです」と、2、3年前から本格的に地域づくり活動に着手しました。

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そのひとつが美しい景観を取り戻す『よかこつ景美隊』の活動です。時間も体力も必要な除草活動をする人手が減り、荒れ放題になっていた川沿いの景観。かつての美しさを取り戻すため、年3回の草刈りといった景観整備など地道な活動をスタートさせました。

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2019年、農家の若手から声が上がって始まった『よかこつ景美隊』。当初は10数人で行っていましたが、回を重ねるごとにメンバーが集まり、現在は『NPO法人七山むらづくり協議会』のバックアップのもと、約70名にまで増えました。農家以外、地域外の人、様々な年代を巻き込み、地域の結束を高めています。

気が付けば、たくさんの仲間とともに

景美隊の活動では、国道沿いにツツジやサクラ約1,300本を植樹。また、耕作放棄地を活用し、ブーケの花材として人気が高いユーカリの栽培にも着手。若手農家の収益アップも目指すと同時に、売り上げの一部を地域づくりの活動費として使用する好循環を生み出しています。

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「でも、自分の地域は自分の手でなんとかするというのが理想ですが、住民だけでは限界もあるんです」

そこで、岡本さんたちは七山に地域おこし協力隊を誘致します。そうして、2021年4月、山口県岩国市から野田宗作・早百理さんの夫妻が、七山地域おこし協力隊に就任したのです。

そして、さらに活動の連携を図るため、2021年10月には『NPO法人七山むらづくり協議会』を発足。理事長に就任しました。

たとえ小さくても、誇りを持てる地域へ

「地域おこし協力隊の活動では、地域内外に七山の魅力を伝えていきたいです」と野田夫妻は話します。早速、就任した2021年から『ななやま新聞』を発行。温かみのある手書きの文章と臨場感ある写真が、住民からも好評。地域をひとつにするツールになっています。

野田夫妻は「泰成さんは、地域活動を心から楽しんでいる人。参加を強制せず、田舎にあるしがらみにも真っ向からぶつかる姿などに、私たちは惹かれました。こんな人、どこにもいないですよ!」と岡本さんの魅力を語ります。

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そんな岡本さんが七山の未来に掲げるのは、『アミューズメント村構想』。

「たとえ小さくても人口が少なくても、観光客も地元住民も楽しめる村を目指してキャンプ場の整備など、立ち止まっている時間はありません」と、未来を見据えます。

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岡本さんの強烈なリーダーシップに、地域おこし協力隊という心強い仲間が加わった七山の未来は、きっと明るい方向へ進んでいます。

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プロフィール:岡本 泰成(おかもと たいせい)
1979年、農家の四男として唐津市七山に生まれる。高校卒業後の18歳のときに家業の農家へ。25歳で家業を継ぎ代表になると、無農薬でのトマト栽培を挑戦。失敗を重ねながらも、成功できたのは七山のおかげと、地域づくり活動をスタート。2021年10月『NPO法人七山むらづくり協議会』を発足し、精力的に活動を続けている。


文章:岡 優一
写真:藤本 幸一郎
編集:相馬 千恵子

EDITORS SAGA編集部

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