個性豊かな嬉野の茶畑から「美味しさと気持ちを贈る文化」の種を蒔く。 『グリーンレタープロジェクト』代表/『三根孝一緑茶園』5代目 三根 孝之さん PR

個性豊かな嬉野の茶畑から「美味しさと気持ちを贈る文化」の種を蒔く。 『グリーンレタープロジェクト』代表/『三根孝一緑茶園』5代目 三根 孝之さん

地域の魅力はその土地で暮らす人たちの思いが混ざり合い、溶け込み、形成されています。

「やりたいこと」を追い求め、周りの人たちを巻き込みながらカタチにしている『ローカリスト』。

5年目を迎えた『SAGAローカリストアカデミー』も個性豊かな面々が揃い、一味違う景色を見せてくれそうです。

そんな『ローカリスト』を4回に渡りご紹介します。

第4回目は、『グリーンレタープロジェクト』代表で『三根孝一緑茶園』5代目の三根 孝之さんの活動をお届けします。

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誰かを想い、手紙を出すように"お茶を贈る"

旅先から絵葉書を出すように、切手を貼ってポストからお茶を贈る―。そんなワクワクする楽しさが詰まった『グリーンレタープロジェクト』。嬉野市の若手茶農家16人が集まって始まったこのプロジェクトの代表を務めるのが、124年続く『三根孝一緑茶園』の5代目、三根孝之さんです。

「僕らが子どもの頃はお茶づくりが盛んで、クラスに何人も茶農家の子どもがいたし、家を継ぐのも当たり前でした。でも、自分たちが就農した頃には市場は右肩下がり。どうしてお茶が売れなくなったのか、どうすればいいのかと考える日々でした」

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贈答品の定番だったお茶ですが、贈り物をする文化と、茶葉からお茶を淹れて飲む文化の両方が減ってきたことに要因のひとつがあると考えた三根さんは、今までの「作ること」と「売ること」だけでなく、「贈ってもらう仕組み」づくりに取り組むことに。周りに声をかけたところ、同じ思いを抱えていた15人もの若手茶農家が集まり、2019年からプロジェクトがスタートしました。

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嬉野ならではの特徴を生かした特別なギフト

まずは手軽に飲めるように茶葉を1袋5gの個包装にし、パッケージの裏面には美味しく淹れるためのお湯の温度や量、蒸らし時間を記載。開けたらそのまま急須に入れればOKで、量を計る手間や道具、淹れるコツも一切不要です。

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さらに、参加メンバーそれぞれのイチオシのお茶16種類と、16軒のお茶を茶葉ごとにブレンドした緑茶、釜炒り茶、ほうじ茶、紅茶の4種類を加えた合計20種類のお茶を用意。また、メンバーの子どもたちが描いたお茶をテーマにしたイラストをパッケージに使うなど、嬉野ならではのギフトづくりにこだわりました。今後は佐賀県内の子ども達にイラストを描いてもらうことなども考えているそうです。

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「郵送パッケージセット」では、この中から3種類を選んで外側にメッセージを書き、切手を貼ればそのまま手紙としてポストに投函できます。

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まるでワインのように、個性豊かなお気に入りを選べる

また、パッケージにはそのお茶を作った茶農家一人ひとりのメッセージと連絡先を記載。気に入ったお茶があれば、直接連絡して購入できるようにしています。

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「お茶の産地では、大きな機械を使って収穫した茶葉をブレンドしてその土地のお茶として売ることが多いんですが、嬉野は小規模な畑で茶葉を育て、自身の工場で加工する茶農家が9割。自分の畑のお茶を自分で加工して売るから、作り手や畑ごとに異なるお茶を楽しめます。例えばワインだとワイナリーごとに味が違ったり、その年ごとに違った味を楽しめるでしょう? 嬉野茶もそういう楽しみ方ができるし、どの畑で作ったどんなお茶なのか、お客様に全部説明できる。これは全国でも珍しいと思います」

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お茶は"嬉野を想う種"。全国へ飛び立ち、育ってほしい

「自分たち茶農家が『嬉野茶は美味しいですよ』と伝えていくだけじゃなく、ここでしか手に入らないものとして、温泉に来た方がお土産にしたり、ここから絵手紙のように贈ってもらったり、人から人へと伝わっていくものにしたいんです」

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現在すでに和楽園や和多屋別荘、ハミルトン宇礼志野など嬉野を代表する温泉旅館で、嬉野ならではのお土産品として人気を博しており、たくさんの旅館やホテルから「うちにも置いてほしい」とお声がかかっています。

そして「これから子どもたちが大人になって嬉野から巣立っていった先で『嬉野ってどんなところ?』『何があるの?』と言われたときに、自信をもって『美味しいお茶があるよ!』と言えるようにしたいんです」と話す三根さん。

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「茶農家を継ぐ継がないは子どもたちの自由。でも『将来が見えないから継がせない』という選択肢は作りたくない」。自らが子どもの頃からずっと見てきたご両親から受け継いだお茶づくりへの情熱と、先人たちが守ってきた"人を想う"文化を、アップデートしながら未来へとつないでいきます。

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プロフィール:三根 孝之(みね たかゆき)
1986年嬉野市生まれ。創業124年を迎える三根孝一緑茶園5代目。品質にこだわる両親の姿を見て育ち、2011年に日本茶インストラクター取得、内閣総理大臣賞1回、農林水産大臣賞7回、2019年日本茶AWARDファインプロダクト賞など多数の受賞歴を持つお茶のスペシャリスト。"大切な人へ気持ちと共にお茶を贈る文化"を伝える『グリーンレタープロジェクト』を若手茶農家16人で共に立ち上げ、代表として商品開発や販路拡大などさまざまな取り組みを行っている。

グリーンレタープロジェクト

公式サイト https://greenletter.stores.jp/
公式SNS Instagram:@ureshino.tea

文章:亀井 玲奈
写真:藤本 幸一郎
編集:相馬 千恵子

EDITORS SAGA編集部

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