「面白いこと」を選んだら、人がつながり、世界が広がる。 『合同会社Light gear』代表 山本 卓さん【SAGAローカリスト】 PR

「面白いこと」を選んだら、人がつながり、世界が広がる。 『合同会社Light gear』代表 山本 卓さん【SAGAローカリスト】

「やりたい」が「できる」に変わる地域へ。

佐賀県には、「やりたいこと」を追い求め、周りの人たちを巻き込みながらカタチにしている『ローカリスト』たちがいます。
6年目を迎えた『SAGAローカリストアカデミー』も個性豊かな面々が揃い、一味違う景色を見せてくれそうです。

そんなローカリストの活動とそれぞれが暮らす地域の素晴らしさについて綴っていきます。

第4回目は、『合同会社Light gear』代表 山本 卓(やまもと すぐる)さんの活動をお届けします。

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華やかな世界から、新しい可能性を求めて佐賀へ。

耳に届くのは心地よい鳥のさえずりと木立を揺らす風の音。古くからのこの地区の「音無(おとなし)」という呼び名どおり、人工的な音がほとんどない静かな山間に建つコワーキング&レンタルスペース『音無てらす』を運営するのが、オーナーの山本卓さんです。

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2019年に地域おこし協力隊の一員として佐賀にやってきた山本さん。それまでは、出身地の大阪や東京などで、俳優業、自身の劇団の作家や演出家、TVディレクターとしても働いていたという異色の経歴の持ち主です。大都市で華やかな世界に身を置いていた山本さんが、なぜ佐賀の地域おこし協力隊になったのでしょうか。

「俳優として大河ドラマに役付きで出演し、TVディレクターとしてもキー局の帯番組の制作に携わっていました。でもきっと、自分の実力だとここが頂点だろうと感じていて、何か別のことをしたいと思っていたんです。ちょうど地域活性化などの活動が世間で注目されはじめた頃で、地方もいいなと。たまたま九州への移住希望者向けの説明会があったので参加した時、最初に話をしてくれたのが佐賀の方でした」

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生活のすべてを「ネタ」にして乗り越えた。

説明会で「佐賀の人と暮らしに密着して記事を書く」というミッションを掲げた地域おこし協力隊の存在を知った山本さんは、移住を即決。その後同僚などに移住の話をしたときの反応にも後押しをされたと言います。

「実は九州に移住すると話したら、『佐賀』という地名を出す人が1人もいなかった。誰も知らないって逆に面白い!と思ったんです」

思えば今まで人生の分岐点に立ったときは、「面白いほう」を選んできたという山本さん。移住した当初、家の周りは畑ばかりで街灯もコンビニもない、大量の虫やカエル、ネズミなどが出没する日常にショックを受けましたが、地域おこし協力隊で「情報発信」というミッションがあったため、すべてを「ネタ」として面白がることで、慣れない環境での生活を乗り切ることができました。

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2021年1月には『合同会社Light gear』を設立し、情報発信のための動画制作サービスの提供などもスタートさせます。

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人や場所をつなぐことで、生まれるものがある。

そんな中、この地域でもコロナ感染防止のため人とふれあう場が大幅に制限される事態に。

「草刈りや祭りごとなど、みんなで集まることが全然できなくなって初めて、それまで面倒だと思っていたことが集落を存続するための大切なコミュニケーションの場だったと気が付きました」

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長引くコロナ禍の影響に危機感を覚え、「人が集まりつながりを持てる」「地元の人だけでなく、より多くの人にこの地域の良さを知ってもらう」きっかけになる場所を何とか作りたいと考えたときに浮かんだのが、自然豊かな環境を活かしたコワーキングスペースでした。

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山本さんの思いに賛同してくれた、集落で『ゲストハウス山秀朗』を営む藤田さんなど、多くの方のサポートを受けて2022年4月に『音無てらす』をオープン。静かな山の中でリフレッシュしながら仕事ができるスペースとして、またさまざまなイベント等を通して新たなつながりが生まれる交流の場として、徐々に認知度が高まっています。

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この舞台で、"どれだけ面白いことができるか"を常に考える。

今後の活動について伺うと「今、映画を撮ってるんですよ」と驚きの発言が。実は3年ほど前に佐賀県農政企画課の会計年度任用職員から「中山間部の農業問題を解決するためにPR動画を撮りたい」という相談を受けた山本さん。制作した波瀬ノ浦のみかん農家の動画は評判となり、国の事例としても取り上げられたのだとか。映像の持つパワーを感じた行政や地域の方から依頼も増え、農村RMO※の啓発動画制作などの計画も進んでいます。

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また、『音無てらす』の宿泊設備改修計画や、移住してきた方々のスキルを活かした写真撮影会、"音無株主総会"と名付けたお金の勉強会など、山本さんのアイデアは止まりません。

「地域や人のためと言っても、まずは自分が面白いと思っていなければ人を惹きつけることはできません。ここでどんなことができるのか、来た人がどうやって楽しめるのか。ひとつの舞台を作っているような気持ちで取り組んでいます」

周りを巻き込んで「面白いこと」を突き詰めていく山本さんの活動に、これからも注目です。

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※農村RMO(農村型地域運営組織)とは、人口減少が顕著な「中山間地域」の農地保全と農業を主軸に住民、法人、自治会などが一体となって「地域経営」に取り組む組織のこと。主に「農用地の保全」「地域資源の活用」「生活支援」の3つの活動を行っている。

プロフィール:山本 卓(やまもと すぐる)
1985年大阪府高槻市生まれ。高校卒業後、俳優として大河ドラマや舞台などで活躍。自身の劇団を立ち上げ、劇作家・演出家として海外公演も行う。その後TVディレクターを経て、2019年に佐賀県地域おこし協力隊として佐賀市へ移住。2021年1月に地域活性を目指す『合同会社Light gear』を設立し、地域の動画作成やコンサルタント業、コワーキング&レンタルスペース『音無てらす』運営など、人と地域をつなぐさまざまな事業に取り組んでいる。

合同会社Light gear

住所 佐賀市富士町大字大野1060-19
公式サイト

Lit.Link:https://lit.link/suguruyamamoto0113

合同会社Light gear:https://www.lightgear.jp/

音無てらす:https://otonashi-terrace.localinfo.jp/

公式SNS Instagram:@otonashi_terrace

文章:亀井 玲奈
写真:藤本 幸一郎
編集:相馬 千恵子

EDITORS SAGA編集部

SAGAローカリスト2023

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