【鳥栖未来企画】前例のない都市計画の提案 学生が挑む、鳥栖の未来計画とは|GECHIDE vol.2

【鳥栖未来企画】前例のない都市計画の提案 学生が挑む、鳥栖の未来計画とは|GECHIDE vol.2

愛称"げちで"で親しまれている佐賀大学芸術地域デザイン学部生の活動をお届けする連載『GECHIDE』。

今の大学生は、どのようなことに興味を持って挑戦しているのだろうか。

知れば知るほど面白く、奥深い、そんな世界をご紹介します。

まちをデザインする『鳥栖未来計画』

佐賀大学芸術地域デザイン学部は、学部の名のとおり芸術と地域のデザインを学ぶ場所である。

"芸術の力で地域をデザインしたい"

そんな壮大な理想を抱き、各々が専門領域だけでなく多様なデザインに触れている。

今回お話を伺った『鳥栖未来計画』のメンバーは、都市デザインと視覚伝達デザイン、キュレーション(情報を選んで集めて整理すること)という異なる分野のデザインの力を合わせて、鳥栖市という一つのまちのデザインに挑んでいる

舞台は「鳥栖市」。活動の原動力は土地への想い

鳥栖市市議会からの依頼で、学生たちが鳥栖市の中心市街地の再開発についての提案を行っている。

市街地の中でも特に「鳥栖駅周辺の新たな土地利用の可能性」について、鳥栖市民に知ってもらうことが目標である。

『鳥栖未来計画』の大きな特徴は「年単位での長期にわたる活動」であること。都市デザインの世界では、数ヶ月単位で活動することが多いが、この計画では腰を据えて鳥栖市の課題とじっくり向き合うことができている。

これだけの期間、一つの"まち"という大きなフィールドを舞台にした活動に向き合えるのも、「鳥栖」というまちへの想い入れがあってこそ。

代表の一人で、グラフィックデザインを担当する小澤 健さん(学部4年生)は鳥栖市の出身である。自分の住むまちだから、"自分ごと"として本気で取り組めているという。

そして同じく代表で都市計画提案を担う高桑 正誠さん(学部4年生)は、祖父母が鳥栖で暮らしていたり、父親も鳥栖出身であったりと、家族ぐるみで鳥栖との関わりが深い。

自らにゆかりのあるまちで、これまでにない規模の都市計画ができるということが、活動の原動力となっている。

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(左:高桑 正誠さん、右:小澤 健さん

文化と交通の拠点としての鳥栖駅

『鳥栖未来計画』では、鳥栖市内でも歴史ある建物で、かつ現在も利用され続けている『鳥栖駅』の活用が重要なテーマとなっている。

確かに文化財として価値ある駅であることには違いないが、一方で、市民が利用するにあたって、いくつかの課題を抱えている。

例えば、鳥栖駅には東口はあるが西口がなく、駅前不動産スタジアムへのアクセスがよくないこと。エスカレーターがなく、バリアフリーに課題があること。

このような市民が感じている"困りごと"を解決する案として、新駅舎の設置と現駅舎のコミュニティースペース兼バス待機場としての活用を提案している。

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駅の周りを駅ビルで囲うという発想ではなく、既存の市街地を活性化させるために鳥栖駅を活用。

鳥栖市全体をデザインするにあたって、鳥栖駅と同時に市街地にも目を向けている。

計画を市民に伝えるために

都市計画を練るだけでなく、それを市民に伝えるまでを考えるにあたって、グラフィックデザインやキュレーションの力を使うことになる。

例えば「都市の様子を視覚的にわかりやすく伝えるにはどうすればいいのか?」と考えたとき、まちのイメージを掴んでもらうための模型製作が始まった。

『佐賀大deラボ』という3Dプリンターが利用できる施設で、鳥栖市中心市街地の3Dモデルを製作。建物の数は200以上に及び、業務用プリンター3台をフル稼働したそうだ。

モデルの製作だけでなく、出力された模型を図面通りに並べるのにも労力を使ったが、完成度の高い納得のいくモデルを作ることができた。

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また、平面のデザインとして、デザインや製作したのがパネルやポスターである。

確かなデザインスキルと、目を引く独創性が求められる平面のデザインの中で、小澤さんのデザインはフォントや色調にもこだわりを感じさせる。

佐賀大学美術館で実施され、鳥栖市で現在も継続中の成果展示では、キュレーション分野の美術館での作品展示の手法も生かされ、多くの人に伝わるデザインとして実践している。

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都市計画と、これからの鳥栖市

都市計画は、順調にコトが進んでも実現に30年かかる。

計画するにあたって実現の可能性を考慮する必要もあり、提案にリアリティを持たせなくてはならない。

『鳥栖未来計画』では、市民に対して鳥栖市の新しいかたちを知ってもらうだけでなく、自分ごととして行動を起こしてもらうことが大きな目標となっている。

市民が鳥栖市の未来に可能性を感じられるように。

これからも、計画は続いていく。

プロジェクト詳細

企画名称 鳥栖未来計画
進行 Make-Sense(メイクセンス)
公式サイト

公式HP:https://www.makesense2020.info/

公式Twitter:https://mobile.twitter.com/makesense_saga

公式Instagram:https://www.instagram.com/makesense_saga_official/?hl=ja


企画:白石 資陽
カメラマン:小山 聖月
取材・執筆:青木 結依加

佐賀大学芸術地域デザイン学部

学生編集部「メモア」

佐賀大学芸術地域デザイン学部生による学生編集部。 連載『GECHIDE』…芸術地域デザイン学部、通称「げちで」。この連載では、げち...

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