子どものころから慣れ親しんできた昔懐かしい味。皆さんはどんなものを浮かべるでしょうか。これは人それぞれですが、やはり地域で昔から愛されてきた味というものは、誰にとっても大切なものだと思うのです。
今回はそんな地域の味を大切にしたい!という想いで立ち上がった「銘店の味アーカイブ」プロジェクトの発表会に潜入。取り組みの一環として開発されたレトルトラーメンの食レポもご紹介します。
佐賀県民にとって大切な味を後世に残すプロジェクト
プロジェクト発表会がおこなわれたJONAI SQUARE CAFE(サガテレビ1階)
近年、日本国内の飲食業界はとても厳しい状況に立たされています。人口減少によって労働力が不足し、原材料が高騰するなど、お店を続けていくことが困難な現状です。昨年(2024年)は、全国で1,000件以上の飲食店が倒産してしまいました。今は当たり前に食べられている懐かしの味も、もしかすると数年後には無くなってしまうかもしれないのです。
そんな飲食業界の問題は佐賀県も例外ではありません。「佐賀県民にとって大切な味を後世にも残したい」と立ち上がったのが、FoodStock株式会社の代表 野中一矢さん。プロジェクト銘店の味アーカイブの第一弾として、佐賀ラーメンのレトルト食品の開発をスタートし、今回お披露目となりました。
プロジェクト発表会の様子。
野中さんは「佐賀県内の飲食業界が元気になったり、地域の方々が"地域の味の素晴らしさ"を改めて実感するきっかけになってほしい。」と考えていたそうです。まさに野中さんの地元愛があったからこそ、このプロジェクトが生まれたと言っても過言ではありません。
今回、レトルトラーメンとなったお店の特徴は、臭みのない豚骨スープが特徴で、クリーミーな味わいですがしつこさはなく、世代・年代問わず好まれる佐賀ラーメン。
今後「銘店の味アーカイブ」プロジェクトによって銘店の味が残されるのは、地域の方にとっても大きな意味があるように思います。
レトルトラーメン「あの日の佐賀らーめん」の開発へ
会場にいる方々に見守られながら試食をしている司会のおほしんたろうさん。大絶賛でした。
「あの日の佐賀らーめん」の開発は簡単ではありませんでした。
開発に最も苦労したのが、「レトルト食品でいかに美味しい佐賀ラーメンのスープを形にできるか」という点だったそうです。レトルト食品は加熱すると、高温による食材の変化によって、独特なにおいを発する場合があります。通称「レトルト臭」と呼ばれるものです。
スープはこのレトルト臭を消して、お店のラーメンそのもののクオリティを引き出すことにこだわりました。半年以上改良を重ねた結果、レトルト臭を感じない、とんこつスープが生まれたのです。
そして、そんなスープをストレートの状態でパウチに封入しているのもポイントなのだとか。たとえば濃縮スープにお湯を加えて作る場合、お湯の量によって味が変わってしまいますよね。ですが、今回開発されたラーメンは、パウチをそのまま温めたらどんぶりに注ぐだけ。味が常に一定となるよう計算されています。
さらに、常温保存ができる点も大きな魅力!冷凍ラーメンに比べて調理時間が短くなり、より手軽に食べられます。クール便を使用しなくても発送できるため、送料も圧倒的に安いのも強みです。県外・海外への発送ハードルが下がることで、佐賀ラーメンの味をより多くの方に知ってもらえます。
「これ、本当にレトルト食品!?」 まろやかなとんこつスープのコクと旨み
試行錯誤の末生まれた、懐かしの味が楽しめる「あの日の佐賀らーめん」。いったいどんなお味なのでしょうか!?
まるでお店で提供されているラーメンのようなクオリティ。
食べてみて率直に思ったのが、「これ、本当にレトルト食品なの!?」という感想です。レトルト臭はどこにもなく、感じられるのはまろやかなとんこつスープのコクと旨みだけ。一生懸命にレトルトっぽい要素を探しましたが見つかりませんでした。
そしてとんこつラーメンと言えば、特有の臭みが気になってしまう方も少なくないですよね。ですがこちらのラーメンはその臭みもなく、どこまでもマイルド。食べ終わっても口の中ににおいが残りませんでした。全然くどくないのです 。クリーミーで優しい味は、まさにあの銘店である佐賀らーめんの特徴と共通しています。
こんなレトルトラーメンが生み出せるなんて、すごい時代になったものです。何よりプロジェクトに携わってきた方々の努力を感じました。
最後に
九州といえばとんこつスープ。東北生まれの私にとって、実はとんこつスープはあまり馴染みがありません。とんこつの臭いが強くドロドロしたスープは、正直あまり食べません。
......ですが、このスープはとっても美味しかった!最後の一口まで飽きることなく食べられる優しい味。これこそが佐賀県民にとって懐かしのラーメンなのだと実感できた気がします。
私は県外出身のため、本当の意味で「懐かしい地元の味」を理解できたわけではないかもしれません。ですが、この味を後世に残したい、佐賀で昔から大切にされてきた味をなくしたくない、そんな想いを抱くほど美味しいラーメンであるということが伝わってきました。
プロジェクトに携わっている方々が地域の文化を大切にしている姿を見て、「やっぱり佐賀のこういうところが好きだなあ」と思いました。日本は美食の国。地域によって好まれているラーメンが異なるからこそ、佐賀ラーメンの素晴らしい味も失われてほしくないと思います。
「あの日の佐賀らーめん」の購入予約はこちらから!
購入予約フォーム:https://archive.foodstock.jp/saga/booking.html
編集:EDITORS SAGA編集部