今年の5月にオープンして以降、Instagramのユニークな投稿がずっと気になって毎日投稿をチェックしていた『つけ麺専門 元祖佐賀つけ麺 孤虎』。
ようやく訪れることができました。
旨味豊かな昆布水つけ麺を味わえるお店
鳥栖から車を走らせ約1時間半。西有田駅の近く有田町役場のすぐ近くにお店を構える『孤虎』。昔ながらの蕎麦屋さんのような外観に、店内は和の雰囲気が漂います。
最初にいただいたのは「炭火焼きありたどりの冷製昆布水つけ麺(肉玉子入り)」。
トロミのある昆布水に浸された弾力ある自家製麺で、まずは麺のみを塩やワサビと共にいただくのがお店のおススメ。
説明書に「つけ汁は気にせず、麺だけで食べ終わってもいい」と記載する程、自信のある麺は毎朝手打ちしてから2~3日寝かせて熟成させているため、小麦の香りが引き立ちます。
コシがあって小麦の風味が感じられる麺を昆布水が優しく包み込みます。
昆布水もトロミだけでなく、昆布の旨味もハッキリと感じられ、これだけ飲んでも美味しい。
この昆布水に絡めた麺を熱々のつけ汁にくぐらせると、カツオ節の一番ダシやつけ汁の中に溶け込んだ「ありたどり」の甘みや旨味が一層引き立ち、多幸感が一気に身体の中で広がります。炭火焼きによるスモーク感もより旨味を重層的に感じられるポイントです。
佐賀では聞きなれない"昆布水つけ麺"ですが、鶏のイノシン酸と昆布のグルタミン酸の相乗効果から生まれる旨味が醍醐味で、強烈な旨味を武器に関東・関西圏では少しずつ広まってきました。
そんな昆布水つけ麺自体の魅力もさることながら、炭火焼きしたありたどりの旨味を存分につけ汁に取り込んだ一味違う昆布水つけ麺は、有田という土地に寄り添った「料理人」の廣田さんの矜持が詰まった一杯です。
そして是非楽しみにしていただきたいのは、つけ汁の中に入った炭火で焼かれた「ありたどり」。ジューシーかつスモーキーで本当に美味しい。さらに鶏肉がゴロゴロ入っており、これだけを目当てに注文しても後悔しないでしょう。
煮干しの旨味が凝縮された「煮干しつけ麺」
続いていただいたのは「煮干しつけ麺」。
Instagramで「煮干しが苦手な方は食べないで下さい‼凄く煮干しです」とご紹介されていたましたが、そのご紹介の通り、煮干しの旨味を凝縮したつけ汁。「セメント系」とご紹介されるほど味覚へのインパクトは抜群で煮干しペーストを食べるような触感も楽しめ、刺さる方にはとことん刺さりそうな一杯です。
その他にも、「TKM(卵かけ麺)」といった個性的なメニューや、冬季限定の「煮干しラーメン」が用意されており、期間によっては二郎インスパイアの汁なしも提供されます。今回は胃袋の関係で諦めましたが、またこれらを食べに訪れたいと思います。
根っからの料理好き廣田店主のこだわり
店主の廣田さんは伊万里で3店舗を経営する料理人。
現在はピザ・パスタ・パフェを提供する『TOMATO HEAD』、韓国料理を提供する『チングとここで』、深夜食堂としても使えるバー『Ginとお万葉と私 小鉄』を経営されています。
小さい頃から料理が好きで、12年ほど前にお好み焼きを提供するバーをオープン。そこでお客様の「伊万里にピザを提供する店があったらいいよね」という声を聞き、全国を食べ歩いてピザを研究したことが『TOMATO HEAD』をオープンしたきっかけだとか。
『チングとここで』のオープンのキッカケも、韓国に訪れたことをきっかけに韓国料理にドハマりし、ハマったら研究せずにはいられないという血が騒いだことがきっかけだそうです。
こんな根っからの料理好きである廣田さんは、ハマると追求せずにはいられない性分。つけ麺も好きで食べ歩いていたそうですが、九州で広がりつつある魚介系のつけ麺ではなく敢えて珍しいジャンルに挑戦したいと昆布水つけ麺にチャレンジしたそうです。
そこで研究好きな廣田さんは製麺機を購入して自家製麺の研究を始めます。私は東京にいた頃から沢山のラーメン職人にお話を聞いたりしましたが、いきなり自家製麺に挑戦する方はそう多くはありません。
「ピザ屋を開業する際に小麦を研究していたため、(同じ"小麦"を使う麺だったから)出来たのかもしれない」と廣田さんは語ります。
当初は思ったものが中々出来なかったそうですが、粉の割合変えながら試行錯誤するなど、日々研究された結果、辿り着いたものを提供されています。独特のコシがあって、小麦の香りが感じられる孤虎の麺はとても独学とは思えない程、完成度が高いです。
麺を浸す昆布水も多くのお店を食べ歩きながら研究されたそうで、トロミづけのために昆布の味わいは控えめのお店も多い中、昆布水と麺だけで食べられるものをご提供したいと、昆布の旨味がシッカリ味わえる昆布水で提供されています。
炭火で焼いた「ありたどり」はもちろん、つけ汁のベースとなるカツオ節の一番ダシも毎日取るなど、様々な工夫と手間をかけられています。
和気あいあいとした雰囲気も魅力
『孤虎』のことはInstagramを通して知った方が多いと思いますが、私もその一人。スタッフの皆様が和気あいあいと楽しそうな投稿をされているのを目にして「いいお店だなぁ」と思ったことが取材に訪れたきっかけでした。
楽しそうな雰囲気はもちろん、スタッフ全員でお客様に"どうしたらより心地よく過ごしてもらえるか"という点の追及に力をいれています。
「お客様が気持ちよく食べられる環境は、自分たちが一番知っている」と語る廣田さん。「フランクな接客でもいいから、親身になれば伝わる」と語ります。
普段の会話から「お店に設置しているPOPなどもどのようにすれば、よりわかりやすいか、スタッフの中でよく話題にしている」と語り「今日はそれでいってみよ~」「お客さん反応どうだった?」の様な会話から自然と色んな取り組みが生まれてくるそうです。
取材した廣田さんの印象は、凄く笑顔が素敵で、いい意味で謙虚な方。「どこかのお店で修行した経験もないから、変にこだわりもないし、スタッフに"こうすべき"と断定もしない」と語る廣田さん。一緒に働いている店長やスタッフからの意見からレシピを見直すこともあるそうです。こうしたみんなでいいお店を作ろうという雰囲気も『孤虎』の魅力かもしれません。
有田まで食べに行く価値のあるつけ麺
Instagramを見て訪れる、福岡・長崎・熊本など県外からのお客様も多いそうですし、美味しそうなメニューも豊富で、期間限定メニューもあるので、私もまた再訪したいと思っています。
わざわざ有田まで食べ行く価値ありのこだわりが詰まった美味しいつけ麺。
駐車場もかなり広いので、ドライブがてら寄ってみてはいかがでしょうか。
店舗情報
店舗名 | つけ麺専門 元祖佐賀つけ麺 孤虎 |
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住所 | 西松浦郡有田町立部乙2236-8 |
公式SNS | Instagram:@kotora_tsukemen |
詳細 |
【OPEN】11:00〜16:00 【定休日】月曜・火曜 【駐車場】20台ほど |
地図 |
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