唐津を中心に、無添加・無着色のフルーツ飴を販売するキッチンカー「may(メイ)」。
見た目のかわいらしさだけでなく、素材本来の味を楽しめるフルーツ飴には、店主・黒川愛菜さんのある想いが込められています。
アレルギーのある子どもも、家族と同じものを楽しめるように──。そんな願いから始まったケーキ作りは、現在のフルーツ飴へとつながりました。
なぜメニューは変わったのか。その背景にある愛菜さんの想いと、これから目指す未来を伺いました。
mayで見つける、お気に入りのりんご飴

かわいい白色の車に、「りんご飴」の旗がはためいています。これがmayのキッチンカーです。
車の周りには甘い香りが漂い、通りかかった人を自然と引き寄せます。

看板メニューは、つやつやと輝くりんご飴。使用するりんごは、王林、サンフジ、シナノスイート、ジョナゴールド、星の金貨の5種類です。品種ごとに異なる味わいを楽しめるのも、mayの魅力です。

愛菜さんによると、特に人気が高いのが「星の金貨」だそう。
「どれもおいしいんですけど、星の金貨は特にファンが多くて。『今日、星の金貨があります』ってSNSで流すと、それを目当てに来られる方もいます」

中には、一度に数種類を購入して、食べ比べを楽しむ人もいるそうです。
今回、私も2種類を交互に食べてみましたが、本当に味わいの違いを感じました。サンフジは甘みと酸味のバランスが良く、果汁もたっぷり。色も赤いので「ザ・りんご飴」という王道の一本です。
一方、鮮やかな黄金色が特徴的な星の金貨は、酸味が少なく甘みが強い味わい。人気の理由がわかる一品でした。
品種によって甘みや酸味、色合いまで異なるのも楽しみの一つ。お気に入りの味を探す時間も、mayならではです。
mayは季節限定のフルーツ飴も人気
mayで扱っているのは、りんごだけではありません。ぶどうやさくらんぼ、パイナップル、みかん、シャインマスカットなど、季節に合わせたフルーツ飴も販売しています。

「今年はさくらんぼも試してみたんです」と愛菜さん。旬のフルーツを見つけては「これも飴にしたらおいしいかも」と、次々に挑戦しているそうです。

りんご飴とフルーツ飴では、飴のかけ方が違います。りんご飴は全体をつやつやと覆うのに対し、フルーツ飴はまるで糸をかけるよう。あらかじめ飴をかけて冷やしておくりんご飴に対して、フルーツ飴は注文を受けてから、その場で仕上げます。

スプーンから垂らした飴を、手首を軽く振りながらフルーツにまとわせていく。細い糸状の飴がきらきらと輝きながら、フルーツに絡みついていきます。
「作っているところを、子どもたちがキラキラした目で見てくれるんです。『わあ、できていく!』って。あれがかわいくて」と、愛菜さんは笑顔で話します。

糸状にまとわせた飴は、口に入れるとパリッと軽い食感。ただし、その食感を楽しめるのは最短3分ほど。作りたてを、その場で頬張るのがおすすめです。
そんなmayが大事にしているのが、無添加・無着色へのこだわりです。リピーターからは「安心して子どもに買ってあげられる」という声も届きます。
では、なぜmayは添加物や着色料を使わないことにこだわるのか。その理由は、mayが生まれた原点にありました。
mayが無添加・無着色にこだわる理由

mayのはじまりは、りんご飴ではなくケーキでした。きっかけは、長男が0歳のときに経験した、卵・乳・小麦の食物アレルギーです。
「お腹を空かせても、材料を見ては『これは食べられない、これは食べられる』と確かめて。今あげられるお菓子がない、と落ち込んでいました」
せっかくの誕生日なのに、バースデーケーキが食べられない。家族で囲む食卓で、一人だけ別のお菓子になってしまう──。そんな寂しい思いをさせたくなかった。
そこで愛菜さんは、豆乳や米粉、きび砂糖など、体にやさしい材料に置き換えてケーキを手作りするように。そして息子さんの1歳の誕生日、はじめて手作りのケーキを食べさせることができました。
「何でもいいよ、というわけにはいかないけれど。私の作ったケーキを、息子は食べてくれました」
食卓に、境界線をつくらない。家族みんなが、同じものを一緒に食べられるように。その願いこそが、mayの原点です。

みんな同じものを一緒に味わえるように、愛菜さんは受注販売や自動販売機を通じて、同じ悩みを持つ人たちへケーキを届けてきました。
「『ここのケーキなら一緒に食べられるから嬉しい』と言ってもらえて。笑顔になってくれる人にたくさん出会えて、やってよかったと思っていました」
そんな中、転機となったのが物価の高騰でした。材料費が上がり、販売価格を見直さざるを得なくなります。
「気軽に食べてもらえる値段にするのが、だんだん難しくなって。ケーキを楽しみにしてくれている人も多かったので、値段を理由に諦めてもらうのは、悔しかった」
そこで力を入れるようになったのが、ケーキと並行して販売していたりんご飴でした。
「飴なら、もう少し価格を抑えて食べてもらえると思ったんです」
形はケーキからりんご飴へと変わっても、無添加・無着色へのこだわりは変わりません。
「できるだけ安全なものを、安心して食べてほしいから」

着色料で真っ赤に染めるりんご飴もありますが、mayはあえて色をつけません。
「色をつけないほうが、素材そのものの色が見えるんです。さくらんぼなら、ちゃんとさくらんぼだと分かる。素材にこだわっているから、色をつける必要がないんですよね」
フルーツ選びは、mayがいちばん大事にしていること。「他とは味が違う」と言われることも多いそうです。
「砂糖も水も、きっとどこも同じ。魔法の粉を入れているわけじゃないんですけど(笑)。それでも『ここのは違う』と言ってもらえるのは、やっぱり嬉しいですね」
そして今、愛菜さんにはうれしい変化がありました。
「息子は成長して、今ではみんなと同じように食べられるようになったんです。飴も、飽きるくらい食べました(笑)」
小学生になるころには、かつてアレルギーと診断されていたものも食べられるようになったそうです。
我が子のために始めたお菓子づくり。その我が子も、今では心配なく食べられるようになりました。それでも愛菜さんが作り続けるのは、かつての自分と同じ悩みを抱える誰かのためです。
「もっと多くの人が、一緒に食べられるものを作っていきたいです」
ケーキからりんご飴へ。変わらないmayの原点

ケーキを受注販売や自動販売機で届けていた頃は、お客さんと言葉を交わす機会がほとんどありませんでした。キッチンカーになった今では、常連さんとも顔なじみです。
「学校帰りの子が『あそこにあったよ』って、お母さんを連れて戻ってきてくれたり。対面ならではのつながりを感じます」
ケーキからりんご飴へ。メニューは変わっても、mayの想いは変わりません。
「みんなで、同じものを食べられるように」
その想いを乗せて、白いキッチンカーは今日も唐津のまちを走っています。
| 店舗名 | may |
|---|---|
| 出店情報 | 最新の出店日・場所はInstagramで告知 |
| 公式SNS | 公式Instagram:@may.cake5 |
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