「伊東に行くならハトヤ!」を佐賀県民がみんな歌える謎  

「伊東に行くならハトヤ!」を佐賀県民がみんな歌える謎  

友達「伊東に行くならハ・ト・ヤってCM覚えてる?」
私「電話は4126(よいふろ) ってやつね! 知ってるよ」

関東に下宿していた学生時代、あっちの友達と懐かしいCMソングの話で盛り上がったことがある。ハトヤホテルは全国でおなじみなんだな〜なんて長いこと思ってた。でも何かおかしい。

静岡県伊東市の観光ホテルのCMを、約1000キロ離れた佐賀県で流したって、「そいじゃ今度行こうか」とはならない。で、調べると、予想の斜め上を行く事実が分かってきた。

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地元民しか知らないローカルCMは全国にある。

例えば埼玉県民は「うまい、うますぎる!」と言うと「十万石まんじゅう」と必ず反応する。
佐賀県民だって「て〜んざん、て〜んざん」「あまぶき飲もう」って歌詞を見ただけでメロディーが思い浮かぶ。県外の人には「?」だろうけど。

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一方で「この〜木なんの木、木になる木」「燃える男の、赤いトラクター」なんてCMは全国で流れてた。ハトヤのCMもこのタイプだとうっかり思い込んでたわけだ。でも違った。
ハトヤのCMは基本的に関東、東海、近畿地方に限って流されていた。佐賀県以外は。(一部例外あり) なんで? 

ハトヤ創業者の原口清司さん(故人)が佐賀県出身だったので、故郷の親族や友人にCMを見てもらうためだったのかも?(当時を知る関係者談)。

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ともかく佐賀県の民放サガテレビで、開局から20年ほどCMを流していたのは間違いない。これって故郷への恩返しの思いもあったのかな、なんて思ったりする。当時、佐賀県からハトヤに雇用された人もいたから、ますますそう思える。

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昭和の悪ガキだった私は、そんなことは知るわけもなく「前はう〜み〜の、後ろはハトヤの大漁苑」「ねえ、いいとこ知ってる? どこや? ハトヤ」なんて真似して「とんこづいて」いたわけだ。

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あれから半世紀以上。

最近レトロ好き界隈でハトヤがちょっとしたブームになっている。昭和の雰囲気そのままの建物、なかでもレトロフューチャー感あふれるトンネル型の渡り廊下なんかもう文化財級だ。シャンデリアと赤いカーペットに彩られた館内も若い人には新鮮らしい。

興味のある人はハトヤホテル、サンハトヤのHPをチェックしてほしい。懐かしのCM動画も公開されている。

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⚫︎今日の佐賀弁

「とんこづく」 ふざける、調子に乗るの意。子どもをたしなめる時によく使う。佐賀のきまじめな県民性は、こうやって育まれる。 

用例 とんこづきよっぎ、堀におっちゃくっぞ
意味 ふざけていると、堀に落ちるぞ

フォトグラファー&ライター

ねぎっぺ

古いモノ、壊れかけのモノに強く惹かれます。路上観察も大好き。狭くて広い佐賀県を、きょうも徘徊します。...

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