【田中ぎょうざや】|佐賀市の昭和レトロな商店街「中央マーケット」探訪

【田中ぎょうざや】|佐賀市の昭和レトロな商店街「中央マーケット」探訪

昭和レトロな商店街を紹介する「中央マーケット」探訪。 今回は、中央マーケットの中でも歴史の深いお店「田中ぎょうざや」を紹介します。

こぢんまりとした餃子専門店

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メニューは、焼き餃子・水餃子の2種類と、缶ビールのみというシンプルな構成。看板には「持ち帰 り専門」とありますが、2人掛けの小さいテーブル席が4つの、こぢんまりとした食事スペースがあります。

がっつり食事というより、餃子をつまみにビールをクイッと飲みたくなるような雰囲気です。

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焼き餃子は、もっちりとした皮が特徴的。口いっぱいに肉汁が広がります。 水餃子は本場を感じる味で、身体中に温かさが染み渡ります。どちらもあっと言う間に完食! ビールが欲しくなってしまいます......

60年以上続く老舗のお店

「田中ぎょうざや」は、創業昭和27年。60年以上続いているお店です。現在お店を営まれている のは、2代目の田中さんお一人。 戦後、満州からの戦争の引き上げともに、佐賀に戻られた田中さんご家族。ご両親が満州で得た餃子のレシピを日本風にアレンジして販売し始めたことから、「田中ぎょうざ」が始まりまし た。 田中さんも、小さい頃からご両親のぎょうざ屋を手伝っていたそう。高校を卒業後、佐賀玉屋に勤めてらっしゃった田中さん。お父さんが亡くなられてから、勤めていた玉屋を辞め、お母と2人でお店を続けてきたと言います。

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そして現在は田中さんお一人に。

このお店には、先代の頃からの常連さんや、今でもご両親の話をする方が何人もいらっしゃるそうです。 遠方から帰省された方がお店に寄り、「どうしてもここのぎょうざが食べたくて」と大量に買っ て帰られることも

いかに、長く愛され続けているお店かという事が分かります。

ご両親の味と田中さんの努力が作ってきた道

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「小さい頃に食べていた両親の味はずっと覚えているけれど、なかなかその味には近づけなくてね。今私がこうやってお店を続けてこれているのは、両親の努力だと思うわ」とおっしゃる田中さん。

息子さんと早起きをしてぎょうざを作り、住宅街などで飛び込み販売をしていた時期もあるそう。「飛び込み販売、やってみたらおもしろいのよ」と語る田中さん。お祭りなどに出していた事も。

こぢんまりとしつつも根強いファンが多数居らっしゃる訳は、ご両親が作ってこられた道だけで なく、田中さんの地道な努力の積み重ねにもあるのだと思います。

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中央マーケットが栄えた全盛期、「田中ぎょうざや」にはお客さんが列を作り並んでいたと言います。 昭和のマーケットの様子を思い出しながら、「今は人が全くいないでしょう?」と、言う田中さんの 表情は少し悲しげでした。そんな中、今でもここで続けてこられているのは「ぼけ防止になるからよ」と冗談混じりに笑います。

「このマーケットの人はみんな頑張っている、だから私も頑張ろうって思う」

口数は決して多くないものの、田中さんの言葉の端々には、確かなあたたかさと情熱がこもっています。

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店舗情報

住所:〒840-0824 佐賀県佐賀市呉服元町2-2
営業時間11:00〜18:00
定休日日曜・祝日
電話番号0952-25-1618

デザイナー

東 成実

佐賀市に暮らす中で呉服元町の商店街『中央マーケット』の魅力に惹かれ、記録に残したいという思いから自主制作本『呉服元町商店街』を出版...

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