鰻の旬。ご存知ですか?
鰻の蒲焼き、といえば毎年7月後半にやってくる夏の「土用丑の日」!
でも本当は、鰻の旬は冬なんです!
脂がのって美味しいという冬の鰻を堪能すべく、
佐賀県唐津市にある鰻の老舗「竹屋」さんにお邪魔しました。
唐津の歴史、文化とともに。「竹屋」の鰻
明治創業、大正12年築の木造3階建。
昨年は佐賀県文化遺産、平成10年には文化庁の登録有形文化財にも指定された立派な建物。
また、昨年秋に公開された大林宣彦監督作品「花筐/HANAGATAMI」の撮影にも使われました。
大正ロマン溢れる店内はそこにいるだけでタイムスリップしたような気分にさせてくれます。
かつては3階から海も眺めることができたという。また、2階から見える中町の風景は今も美しく、唐津くんちの時には曳山を目の前で見ることができます。(要予約)
江戸時代後期頃に制作されたと推測される唐津焼の置物。
店内には風情と歴史を感じることができる貴重な品々が沢山ありました。
鰻、いただきます!
うなぎ丼特上(蒲焼6切) 3180円
南九州産(鹿児島や宮崎)から厳選されたうなぎを創業当時からの焼き方で地焼きをし、香ばしく仕上げています。
鰻には「関西風」と「関東風」があるそうですが、竹屋さんの鰻は「関西風」。
関西風の「地焼き」とは蒸さずに焼くため、パリッとした脂が特徴です。
炭火で表面はカリカリに焼いて余分な脂は落として、旨みだけを閉じ込めています。
中はふわふわ。
お、美味しい・・・!
うなぎ丼特上・肝吸・お漬物つき 3390円
うざく 820円
骨せんべい 310円
鰻の骨を、カリッと揚げたほねせんべい。
油の種類、配分、温度にもこだわっています。
実は刀研ぎ屋さんだった?!「竹屋」のルーツ
「竹屋」ご主人 大木章光さん
ここ中町は唐津の台所であり、玄界灘に近い唐津はまさに海の幸の宝庫。
「どうして鰻屋さんだったのか?」という素朴な疑問が湧いたので聞いてみました。
すると「もともと先祖は刀剣類を扱った、腰物師(漆塗・刀研ぎ)の仕事をしていました」と意外な答え。
なんと、ご先祖は唐津くんちの一番曳山(赤獅子:刀町)、二番曳山(青獅子:中町)、十二番曳山(珠取獅子:京町)の製作者でもあるそうです。
唐津で偉業を成したともいえる家柄が鰻とどういった繋がりがあるのか?と益々気になるところですが......
「明治維新の際に発令された廃刀令がもとで、日本刀を扱う仕事が出来にくくなりました。店の前に唐津藩のお堀があって、川魚がとれたので川魚料理から始めていたのですが、そこで取れるうなぎが人気で。当時は、近くの松浦川でも天然うなぎが取れていて、格別に美味しいとお客様に大変喜んでいただけました。それから鰻屋に転身したんです。今でも継ぎ足してきた秘伝のたれを守るため、身内だけでやっています」
と丁寧に説明してくださいました。
いまや九州のみならず、関西や関東、海外にもファンがいる「竹屋」の鰻。
「お客様の喜ぶ顔」を求めて行き着いた鰻。
唐津くんちのようにそのルーツは今でも代々受け継がれているようです。
結論「冬の鰻は絶品」
今回取材させていただいた「竹屋」さん。
実は飛び込みでの取材でした。
「何も考えずに冬の鰻を堪能しよう」と密かに思っていたのですが、大正ロマン溢れる店内、鰻丼の美味しさに感動。
「これは是非とも皆さんにお伝えしたい!」
そして私自身もこの鰻の美味しさの秘密、唐津の歴史を知りたい!と思い、その場で取材を申し込みました。
ただ食べるだけでは面白くない。
その背景まで知ることで旨みが増すのだと改めて教えていただいた気がします。
「竹屋」の皆様、突然の依頼にも関わらずご快諾いただきありがとうございました。
節分も終わり、そろそろ春の兆しが......といいつつまだまだ寒い今日この頃。
今回いただいた鰻。
鰻の旬はまだまだ楽しめそうですね。
情報
竹屋
住所:佐賀県唐津市中町1884-2
電話:0955-73-3244
営業時間:平日11:30~19:00
日・祝 11:30~18:30
定休日:毎週水曜日 1/1~1/3
アクセス:JR唐津駅より徒歩5分
大手口バスセンターより徒歩2分
※「竹屋」さんでは唐津くんち後の11月中旬から3月末まで、和牛すき焼き(2名様以上)、鶏のすき焼き(2名様以上)、鶏の水炊き(3名様以上)も対応しています。
(要3日前までの予約)
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