奪うのではなく、つなぐために"わな"を仕掛ける。願うのは、豊かな山の未来。SAGAローカリスト 塘 さなえ【後編】 PR

奪うのではなく、つなぐために"わな"を仕掛ける。願うのは、豊かな山の未来。SAGAローカリスト 塘 さなえ【後編】

「やりたい」が「できる」に変わる地域へ。

2018年からスタートした『SAGAローカリストアカデミー』も今年で8年目を迎えました。

「やりたいこと」を追い求め、周りの人たちを巻き込みながらカタチにしている『ローカリスト』。
今年も個性豊かなメンバーが集まりました!

そんなローカリストの活動とそれぞれが暮らす地域の素晴らしさについて、前編後編でご紹介します。

第2回目は『佐賀県猟友会神埼支部』わな猟師で、ジビエブランド『たまきはる』代表の塘 さなえ(つつみ さなえ)さんのご紹介 後編をお届けします。

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母の視点で命と向き合う『マママタギ』の覚悟。

塘さんは、自らを『マママタギ』と呼んでいます。山を神とし、山に生きる「マタギ」の精神に「母親の視点」を重ねた生き方です。

「最初の狩猟でわなにかかっていたのは、うり坊でした。命を断つとき、苦しませてしまって......」
その光景が今も胸に残っているといいます。それ以来、子どもの個体がかからないようわなを調整しているという塘さん。

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「田畑を荒らす親を獲れば、子どもは餌が取れず淘汰される。大きな被害を抑え、あとは自然に任せる。それが私の有害鳥獣駆除の考え方です」

獲った命には塩、米、日本酒を供え、祈りを捧げます。

「今日も無事に帰ってこられました。山の神様、ありがとうございます」
その姿には、母として、山の住人として、命に誠実であろうとする覚悟がにじんでいます。

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神埼支部を選び、『たまきはる』に託す未来への願い

塘さんは現在、ジビエブランド『たまきはる』を展開しています。和歌の枕詞であるこの言葉は、他と結びついて初めて意味を持つもので、「支えてくれる人がいて、意味をなせる自分がいる」という思いを込めて名付けたそうです。

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販売する肉には、性別や肉質、味の傾向などを明記。栄養士や主婦としての視点を活かし、「命の物語」をつむぎます。

拠点である神埼支部の『吉野ヶ里町脊振山系鳥獣処理加工センター』には、加工するための最先端の設備が整っています。

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「ここなら命を無駄にしないで済みます。捨てるのは簡単。でも、いかすことで未来につながる」

今後は、孤独になりがちなハンター同士が語り合える交流の場やイベントを企画していくそうです。

「動物たちが有害と言われない山をつくるために。今日も、祈るような気持ちでわなを仕掛けています」

命の向こうに、豊かな山の未来を描く塘さん。人と動物がともに生きる道を模索し続けています。

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プロフィール:塘 さなえ(つつみ さなえ)
病院の栄養士として勤務後、アクセサリーデザイナーとしての活動を経て、2023年にわな猟免許を取得。佐賀県猟友会神埼支部に所属し、有害鳥獣駆除に従事するかたわら、ジビエブランド『たまきはる』を立ち上げ、山の再興を願い、命の価値を伝える取り組みを続けている。母親の視点とマタギの精神を重ねた『マママタギ』として、イベントやトークライブなどの情報発信にも力を入れている。

SAGAローカリストアカデミーの開催情報 

日程 2025年9月23日(火・祝) 13:00~17:00
会場 佐賀県庁 新館地下1階 SAGACHIKA -サガチカ-  
参加費 無料
参加人数 50名(先着順)
開催内容 ローカリスト4名によるトークセッション・ワークショップ
アカデミー後は、歴代ローカリストも参加する交流会も開催!(自由参加)
地図

SAGAローカリストアカデミーの参加申し込み方法 

今年は『SAGAローカリストアカデミー』のLINE公式アカウントからのお申込みとなります。

  1. 下記の「LINE友だち追加」をタップするか、「SAGAローカリスト(https://lin.ee/wLZvcmD)」のLINE公式アカウントを友だち登録
  2. メニューバーの「応募フォーム」をタップ
  3. フォームに記入
  4. 申し込み完了!

※LINE公式アカウントは、イベント情報やローカリストからのコメントだけでなく、余儀なくイベントが中止・延期される場合や注意事項などのご連絡でも使用いたします。申し込み後にブロックをされないよう、お気を付けください。 

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文章:岡 優一
写真:山本 卓
編集:相馬 千恵子

EDITORS SAGA編集部

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