木を植え、育て、伐り、使い、また植えるという森林資源の循環利用を後押しするために、林業や木材産業を中心に、様々な事業の輪が広がっています。
特に佐賀県内の多くの森林は収穫期を迎えており、森林保護の観点からも「今、木を使うこと」が求められています。
昨年に引き続き、EDITORS SAGAでは、県内の木材を使った建物や木に携わる方々を取材し、"木の魅力"を伝えていきます。
今回は昨年度開催された『第6回 さがの木の住まいコンクール』新築住宅部門で最優秀賞である佐賀県知事賞を受賞された『株式会社坂井建設』坂井代表取締役とその住宅にお住まいの吉村さんご夫婦に"県産木材を始めとした自然素材の魅力"や"家を建てるコトの良さ"について伺いました!
家づくりのきっかけ
築100年のおばあさまの家を引継ぎ、生活されていた吉村さんご夫婦。
昔ながらの住居で感じた"住みにくさ"やこれからの子育てを考える上で、家づくりを検討されたと言います。
- 吉村さん
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以前の家は築100年とのこともあり、芯から身体が冷える家でした。
2年ほどの時間を掛けて家づくりについてたくさん話し合いました。それから、子どもが生まれるタイミングを迎えて。これからの子どもの成長や健康を考えて化学物質を避けたいと思い、自然素材にこだわった家にしようと思いました。
RC(鉄筋コンクリート)造も検討しましたが、もともとログハウスが好きで、木のぬくもりを身近に感じたいという気持ちもありました。
家づくりを始める上で、吉村さんご夫婦は最初に坪単価や間取り、サイズ感を考えられたそうです。
お知り合いの方が坂井建設で家を建てられ、実際に吉村さんご夫婦も見学会に参加されたということもあり、自然素材をふんだんに使用されていることが決め手となって坂井建設にご依頼されました。
- 吉村さん
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家づくりに関しては色々なイメージを雑誌やSNS、WEBサイトで集めたりしました。佐賀の家づくりに関する本もたくさん買いました。
住宅街で外壁やエントランスを見て『いいな』って思ったお宅の写真を撮らせていただいたりもしましたね(笑)
- 坂井さん
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吉村様は本当に家づくりを積極的に考えていただきました。
家を3Dで立ち上げるようなアプリを使って、実際に家のイメージを作っていただいたり、理想の家の写真などを共有いただいたり......。『こんな風にしたい』という想いをカタチにしたく、何回もお打ち合わせしました。
建ててから、住んでからわかる、県産木材を始めとした自然素材の魅力
- 坂井さん
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まず、木の特徴として、マイナスイオンのようなリラックス効果や消臭効果があります。
また、長年過ごしていくうちに、木材が少しずつ白色からあめ色になる変化も楽しめますよね。それに加えて、佐賀の県産木材は(デザイン的にも)木目が綺麗なんですよ。
時が過ぎるに従って徐々に色味や香り、質感が変化していく"経年変化" 。
そんな変化が子どもや家族の成長と共にあることが木造住宅で過ごす楽しみや魅力の一つと坂井さんはいいます。
- 吉村さん
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とても温かく、裸足でいると凄く気持ちが良いです。子どもに裸足で過ごさせると発育などにも良いって言いますよね。
だからこそ、子育てする上でも何を使用しているか分からない素材より、自然素材を使っていることへの安心感もあります。
家を持つということ
- 吉村さん
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家を建てたことで、毎日、家に帰ることが楽しくなりました。飽きが来ないというか、家で過ごせば過ごすほど、小さな幸せを見つけて、さらにハッピーになったり(笑)。
マンションやアパートにも利便性はもちろんありますが、やっぱり、上下階や左右にお住まいの方への配慮などもありますし。大人の都合と言いますか、そういった面で子どもを叱らなくてよいところもポイントですかね。
奥様のお気に入りはランドリースペース。家事動線をじっくりと考えられて、設計されたそう。
- 吉村さん
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賃貸のお家のように"すでに存在する家"に住むとどうしても動線や収納だったり不便な点が見つかることもありますよね。それがストレスだったこともあります。
この家は動線もしっかり考えていただいて、間取りや動線といった要望も図面上だけでなく、現場でも聞いてもらえて、私たちの生活スタイルに合う家づくりを細部まで坂井さんと一緒に考えられました。
創業100年を迎える『坂井建設』。技術の向上だけでなく、お客様の想いをカタチにするために、本気でとことん向き合うことを大切にされていると言います。
- 坂井さん
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施主様の想いをカタチにすることだけでなく、施主様の想像を超える家づくりが私たちの仕事です。竣工してお引渡しの際は、嬉しそうな施主様のご様子を拝見しての喜びはもちろん、想いの詰まった家づくりを通して、ご相談からお引渡しまで長い時間をご一緒させていただくので、今後お会いできるのは基本的に3か月、6ヵ月、1年、3年、5年、7年、10年次のメンテナンスの時になるので(以前よりお会いできない)寂しさもあります(笑)。
資産として残せる家づくり、子ども達に残せる家づくりをしていきたいですね。そうなると無垢材を使う事が絶対条件になります。誰かのことを想って建てられる家づくりに誇りもありますし、子ども達の将来なりたい職業になったらいいですね。
家を持つということ、自然素材を取り入れるということ。家族を想い、お客様を想い、カタチにする家づくり。そしてカタチになった家が子へ、子から孫へと何世代にも渡って受け継がれて資産となる。
誰かへの想いがふんだんに含まれ、子どもの家族の成長や様々な想い出をたくさん取り込んだ家は、"帰ってくる場所"として、ずっと私たちを温かく包み込んでくれることでしょう。
EDITORS SAGA編集部 相馬
写真:一部提供