「第9回さがの木の住まいコンクール」受賞作品紹介!【さがの木と暮らすvol.11】 PR

「第9回さがの木の住まいコンクール」受賞作品紹介!【さがの木と暮らすvol.11】

木を植え、育て、伐り、使い、また植えるという森林資源の循環利用を後押しするために、林業や木材産業を中心に様々な事業の輪が広がっています。特に佐賀県内の多くの森林は収穫期を迎えており、森林整備の観点からも「今、木を使うこと」が求められています。

今年で9回目の開催となった「さがの木の住まいコンクール」。
「木の心地よさ」や「かっこよさ」をアピールできる魅力的なデザインの新築木造住宅・木質空間を募集し、その優れた事例を広く紹介することで、県産木材の活用を推進することを目的としています。

過去の受賞作品の紹介はこちら

応募作品の中から書類審査を経てプレゼンテーション審査へと進んだのは、新築住宅部門5作品、木質化部門3作品。

2月某日、佐賀市内でプレゼンテーションによる審査会が開催されました。

プレゼンテーション審査では、各施工者が決められた時間の中で住宅の特徴や県産木材の利用で工夫したポイント、施主様の思いを汲み取ったポイントを発表。プレゼンテーション後は質疑応答の時間が設けられ、審査員が気になった点や深掘りしたい点など活発に意見が飛び交います。

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新築住宅部門と木質化部門すべてのプレゼンテーションが終わったあとは、審査員による投票へ。投票結果をもとに全員での審議が行われ、各賞の受賞作品が決定します。

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作品はどれも建物と施主様への思いを感じられる作品ばかり。

それでは、「第9回さがの木の住まいコンクール」で優秀な成績を収めた8作品をご紹介します。

「新築住宅部門」

施主様の思いを汲みながら、木の特性を活かした新築木造住宅が揃う「新築住宅部門」

構造体力上主要な部分の木造使用量のうち県産木材を60%以上使用することや、外装または内装に県産木材を10平方メートル以上使用することが応募要件となっています。

どの作品も住みやすさ県産木材の心地よさ・かっこよさを共存させるために施された、施工主のさまざまな工夫が感じられました。

最優秀賞(佐賀県知事賞) 古川建築株式会社 T邸

高台に佇む中二階の木の家。広々としたデッキとテラスからは美しい川上峡を一望できます。

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外観は白い塗り壁と木の枠が自然と調和していて、程よい高さの勾配天井が空間に奥行きを与える印象に。自然と一体感を感じるロケーションの中、青空と木の家での温もりが穏やかな日常を演出しています。

内装は、杉の無垢材と真っ白のエコロジー再生紙を壁に用いて、明るくかつ温もりのあるデザインに。

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また、柱や梁などの構造体をあえて露出させた「現し(あらわし)」構造が大きな特徴。LDKでは、1階から2階天井まで伸びる県産木材を使用したヒノキの大黒柱と梁を組み合わせ、木組みの空間を見せています。さらには、構造材のボルトなど金物は見せないよう、見える部分には木栓を使用するという細部までこだわりを感じられる造りに。

この内部空間の構造の面白さも、評価ポイントのひとつとなりました。

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昔の家づくりのよさを採り入れながらも、現代の性能・機能・デザイン性を兼ね備えたT邸。木をふんだんに使用していますが和風にはなりすぎないよう、そして今の若い人にも「オシャレだね」と言ってもらえるようナチュラルなデザインに仕上げられています。

県産木材の中でも、優良材の「多良岳材」を使用しているこちらの住宅。県産木材を使用することで輸送距離を最短に抑え、コストや環境負荷をできるだけ減らすよう配慮されています。

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夏は川上峡の花火大会、冬はLDKに設置された薪ストーブの炎を眺めながら家族団らんの時間を過ごせる、温かい住まいになっています。

優秀賞(審査委員長賞) 株式会社坂井建設 S邸

県産木材を贅沢に使用。安心して子育てができる自然素材住宅。

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優秀賞(佐賀県木材協会長賞) WAKIYAMA建設 W邸

特徴のある外観。木材や漆喰壁などの素材を使い分けた表情豊かな住宅。

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入賞(サガテレビ賞) 株式会社小渕建設 O邸

県産ヒノキの大黒柱と夫婦柱が印象的な、インナーガレージのある住宅。

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入賞(佐賀新聞社賞) 有限会社菰田建設 I邸

県産木材や漆喰、珪藻土などの自然素材をふんだんに使用した住宅。

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「木質化部門」

県産木材を活用したリフォーム・リノベーション作品が応募される「木質化部門」

木を現し(あらわし)として使用したデザイン空間であることや、内装または外装に県産木材が使用されていることが応募の要件となっています。

木の良さを生かすための工夫や技術が施された作品は、使い勝手の良さはもちろん木ならではの温かみを感じる建物へと生まれ変わっていました。

最優秀賞(佐賀県知事賞) 株式会社川﨑空間研究所 平島区公民館

現地での改築で生まれ変わった「平島区公民館」

2階にある集会室への入りづらさと、屋外階段や耐震性不足といった危険性を考慮して、今回新しく建て直されました。

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外観は中の様子が伺える大開口になっており開放的な空間に。高齢者や障がい者に配慮したスロープも設けられ、誰もが入りやすい施設になりました。

「さがの木」を現した軒裏は、周辺の街並みにも木の温かい印象を与えています。また、正面の通し柱には伝統的な「三方差し」が施されており、職人の手仕事が伺える設えとなっています。

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内装は開放感のある高い天井と間接照明、光を採り入れるFIX窓により明るい空間に。木が生み出す柔らかい雰囲気と、部屋いっぱいに広がる木の香りは利用者にも好評だそうです。

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建物には痛みやすい床や建具を除き、構造材は100%多良岳産のヒノキを使用。県内で生産された材料を県内で乾燥・加工し、県内の大工職人の手によって施工するというオール佐賀の関係者での建築を実現しています。

優秀賞(審査委員長賞) 有限会社オアシス 蒸溜処SAKANANBAR

「地域が明るく元気になるように」温かみのある誰もが訪れやすい雰囲気の店舗に。

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優秀賞(佐賀県木材協会長賞) 株式会社マベック K邸

建物の外観に合わせて、洋風かつナチュラルに仕上げたカフェ・サロン向けの店舗。

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最後に......

地元「さがの木」をふんだんに活用した建物は、どれもふるさと佐賀を感じられる温もりのある空間を実現しており、住む人にも地域の人にも親しまれる場所になっていくでしょう。さらに、郷土愛を育むきっかけとしても県産木材の活用は大きく期待されています。

また、県産木材の地産地消は、輸送における二酸化炭素の削減地域経済の活性化につながるほか、森林を適切に整備し、伐採→利用→植栽というサイクルを円滑に循環させることで、災害防止や水資源の確保といった森林がもつ公益的機能が高まり、より安心安全な暮らしにも結び付いています。

また、木材を使用した建物は、調湿性や断熱性によって快適に過ごせる空間になるのも嬉しいポイント。木の香り視覚的に感じられるやさしさも私たちに心地よさをもたらしてくれますよね。

県産木材を活用したさまざまなモデルを知ることができる「さがの木の住まいコンクール」。施主の思いを汲み建築する施工主の温かさ、そして「さがの木」が醸し出す木の温かさを感じることができました。

木造住宅・木質空間の魅力が多くの人へ伝わり、「さがの木」の活用が広がりますように。


EDITORS SAGA編集部 志満

ふるさと木材

さがの木

さがの森林で育った県産木材の地産地消や木材産業の活性化に繋げようと様々な事業の輪が広がっています。 森林保全へ思いを馳せながら、素...

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