高齢者や障がい者(児)にもやさしいバリアフリー美容室|ヘアールーム セルフ PR

高齢者や障がい者(児)にもやさしいバリアフリー美容室|ヘアールーム セルフ

みんなが自然に支え合い、心地よく過ごせる"さがらしい"やさしさのカタチ『さがすたいる』。

今回は、『さがすたいる』の登録店の一つ、佐賀市水ケ江にある『ヘアールームセルフ』さんを訪問しました。

希望を叶える、手助けができる美容室

『セルフ』は、小さな子どもからお年寄りまでいろんな年齢の方をはじめ、さまざまな障がいで美容室に通いにくい方にもフレンドリーなお店です。

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外見ではわかりにくい障がいをお持ちの方にも目を向け、カット手順書や、カット中に視聴できるDVDなどを用意するなど、特徴的な工夫がいろいろ。

例えば、発達障がい当事者の方の中には、障がいの特性により自身の想定外のことが起きると、とても不安になり理美容室に通いづらいという方も多いのだそうです。その際にカットの順序をイラストでわかりやすく示した手順書があれば、これから美容師がどんな施術をするのか把握でき、安心感につながります。

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また、突然大きな声が出るなど、さまざまな特性がある人にとっても、気兼ねなく通える美容室は心強い存在のようです。

「髪を切れないという悩みを持っていらっしゃる方は意外と多く、内部疾患のある方、コミュニケーションの面で苦手意識があり美容室が利用できないという方、高齢者など寝たきりに近い状態で来店が難しい等のケースもあります」と代表の安永康子さん。

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そんな美容室が利用できない人への想いから、お店の名前を『セルフ』にされたそう。「どんな人でも髪を切りたいとか、何かをしたいと思ったときに、その希望を叶えられること、それに対応できること」という思いを込めているそうです。

お店に通うという「はじめの一歩」に

もともとご自身の息子さんが知的障がいを伴う自閉症だったため、自宅で髪をカットをしていたという安永さん。「いつもサッパリしているね」と、同じ園に通うお子さんのお母さんとの話から、美容室通いで悩んでいる保護者が多いということに気づきます。その後、個人的に頼まれボランティアで訪問カットを行う日々でしたが、仲間から仲間へと広まり、一回限りではなく続けてもらいたい、と切望されたことから事業化することになったそうです。さまざまなアドバイスを受け、事業をNPO法人化。困っている人のニーズに合った活動と認められ、バリアフリー美容室のための助成金も活用し、スロープやバリアフリーのトイレなど設備も整えました。

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広いトイレには、手すりはもちろん、介助用の椅子なども置かれている。

今年で21年になるというお店は、ホームヘルパー2級・ 知的障がい者ガイドヘルパーを持つ安永さんと福祉美容師の池田宏美さんとの2名体制で運営しています。障がいのある方やそうでない方も合わせて250人以上が会員となり、2歳のお子様から90歳の高齢者まで幅広い年齢の方が通うほか、自宅を訪問する出張美容も行っています。

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また、発達障がい者(児)が安心して通える全国の理美容室の検索サイト『発達凸凹さんヘアカット』も運営。
まずは「理美容室に行けた」ことがきっかけで、別のお店にも足を運べるようになり、社会とのつながりが拡がる。こうした最初の一歩のコミュニケーションを重ねて、小さな輪がだんだん大きな輪になることを目指しているそうです。

お客様が会員となり活動を支援

今回、そんなセルフを利用している山之上さんにお話を伺いました。山之上さんの息子さんは障がいがあり、動いたり逃げたりして髪を切るのが難しいという経験をされていました。

「息子が小さい頃には、寝てる時に切っていました。大きくなるとお店で切らなきゃと思い、夫とトライしていました。ですが、他のお客様がいらっしゃる、BGMが鳴る、落ち着かないという環境で、大きな声が出たり、動いて危険だったりもします。しばらく頑張っていたけれど、もう諦めよう......と思うくらい苦労していました」

障がいがあっても髪を切ってくれるお店がある、と知人から教えられた山之上さん。今までのトラウマはありましたが、勇気を出していくと、アセスメントシートも用意されていて、障がいに合わせたカット方法の提案や「無理はしないで、自分のペースでいい」という安永さんの言葉に力がふっと抜け、気持ちが軽くなり、カットをお願いすることにしたと言います。

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セルフのアセスメントシートには、障がいの基本情報の他に、今まで美容室に行ったことがあるかといった項目や必要な支援などを書き込むようになっている。

「ここだったら気持ちの余裕を持って息子を見ていられる、というのが何より安心。今では、つながりもできて、とてもありがたいです」

「1秒だけでもじっとしているときにカットするのがコツ」という安永さん。頭の前も後ろも過敏で、以前はなかなか髪を切らせてくれなかった息子さんも最近ではだいぶ落ち着いて切らせてくれるようになったそう。

そんな風に、『セルフ』で少しずつでも髪を切る経験を重ねることが、コミュニケーションの練習の場になっているようです。

また、『セルフ』の活動として、発達障がいを持つ人と福祉を学ぶ大学生たちとを繋いで、遊園地に遠足に行くなど、春夏秋冬のイベントも開催しているとのこと。美容室としてだけでなく、多くの人にとってさまざまな機会となるユニークな取り組みに今後も注目です!

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まとめ

『セルフ』の先駆的な活動についてお伺いし、美容室に通うという点で、実はお困りごとのある人が多いという事実を知りました。

美容や福祉の両面から、大切なポイントを把握し、当事者もその家族も通えるお店として、間口を広げている安永さんの熱意と行動に心強さを感じます。

「ウェルカムな気持ち」で迎える、安心できるお店が増えればいいと思いました。

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スポット情報

店舗名 NPO法人 ヘアールーム セルフ
住所 佐賀市水ケ江1-13-26
公式サイト https://www.self-cut.org/
詳細情報

【OPEN】
10:00~18:00 ※完全予約制

【TEL】
090-2512-0364

地図

文章:髙橋 香歩
編集・写真:相馬 千恵子
提供:NPO法人 ヘアールーム セルフ

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