【レッツさがすたいるトーク】「私が観ている世界」と「あの子が観ている世界」体験して知る「違い」とは? PR

【レッツさがすたいるトーク】「私が観ている世界」と「あの子が観ている世界」体験して知る「違い」とは?

"体験してみよう。あの子が観ている世界。"

sagastyle20190810-23.jpg キャッチフレーズが印象的な令和第一弾の「レッツさがすたいるトーク」。

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「レッツさがすたいるトーク」とは、みんなが安心して暮らしていけるまちづくりを目指し立ち上がったWEBサイト「さがすたいる」の取組の一つとして、誰もが暮らしやすいまちにしていくために私たちにできることは何なのか、まずは話を聞き、当事者の方々と一緒に考える誰でも参加できる交流会です。前年度もさまざまなテーマで開催されました。

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今回の「レッツさがすたいるトークは、基山町にあるPICFA(ピクファ)で開催。発達障がい当事者やご家族の支援を行っているゲストを迎えてのクロストークや、発達障がい当事者の知覚世界をVR(バーチャル・リアリティ)装置により疑似体験する様子をレポートしていきます。

目次

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自分が観ている世界......私はあまり気にしたことがありませんでした。

一体、「私」と「あの子」ではどう違うのでしょうか?そしてその違いがどう生活に影響するのか?体験して感じたことと共にお伝えします!

1. ゲストによるクロストーク

今回のゲストには、発達障がい当事者や保護者の支援を行う4名が登壇。

佐賀県内だけでなく、全国で支援を行っている方も呼んでのクロストークです。

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鈴木 悠平氏/株式会社LITALICO 社長室チーフエディター

発達支援教室「LITALICOジュニア」での指導員や「LITALICO研究所」の立ち上げ・運営業務等を経験後、発達障がいに関するポータルサイト「LITALICO発達ナビ」の編集長に就任。現在は社長室チーフエディターとして様々な企画に携わっている。NPO法人「soar(ソア)」理事も務める。多様な人々が生きやすいようにメディアを通して発信を行っている。

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原田 啓之氏/医療法人清明会 障害福祉サービス事業所「PICFA」施設長

知的障がいの兄を持ち、幼少期より様々なボランティアや障がい者で構成されたボーイスカウトなどでサポートを行う。2017年に医療法人清明会鹿毛医院内に就労継続支援B型施設「PICFA」を立ち上げ施設長として勤務。福祉と医療のマッチング、創作活動を仕事にすること、社会との「交わりや混ざり」を追及している。

sagastyle20190810-21.jpg PICFAは病院の奥にあり、院内に創作活動の施設があるのは日本初ではないか、とのこと。創作活動を仕事と位置づけており、今回のさがすたいるトークのチラシもPICFAのメンバー(PICFA利用者)が描いたもの。社会との関わりも「学びの場」。「仕事の失敗からも社会スキルが学べる」と外での活動や人と関わる仕事も多い。

原田さんがPICFAで目指していることは「メンバーの主導ですすめること」。施設スタッフは障がいの特性を理解し、いずれメンバーが施設を出ても仕事ができるように支援を行っている。

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大野 正喜氏/株式会社アサヒ薬局事務スタッフ・音楽家

友人の誘いで高校時代に歌とギターを始める。学生時代にボランティアとして自閉症の子どもたちの支援を経験。卒業後、介護福祉士として13年務め、現在は佐賀市のアサヒ薬局事務スタッフとして勤務するかたわら自社イベントなどでライブを行っている。

音楽に出会ったことで「生きることが楽しい」と実感した10代。うまく言葉にできないことも音楽で表現できる、音楽で自分を表現できる。音楽が生きがいと大野さんは語る。

アサヒ薬局について詳しくは ▶地域に居場所つくりを!】レッツさがすたいるトークで見つけた支えあいのカタチ

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齊藤 麗子氏/ピアカウンセラー・ママ Z ルーム代表

23歳の時に子どもの関係で自身も自閉スペクトラム症[ASD](当時は自閉症と診断)であることがわかる。

この世はコミュニケーションがすべて。学校生活、社会人生活、結婚生活、子育て生活......息詰まることがたくさんあったけれど、環境要因、人の支えでこれまでの自身の生活が成り立った。私はその人たちにどんな恩返しができるだろう?と思った時に私にはASD当事者としての体験がある!世界に私はひとり。この体験を伝えられるのは私だけ。この体験は私だけのたからもの。みんなにこのたからものをプレゼントしよう」とカウンセラーの資格を取得。

2015年にママ Z(ズ) ルームを立ち上げ、発達障がい当事者および発達障がいの子どもを育てる親の立場から家族へのカウンセリングや当事者への学びのカウンセリングを行う。当事者の考え方や感じ方など、発達障がいへの理解を深めるため、セミナー・講演を行うなど精力的に活動。

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会場には娘・うららさんの姿もあり、一緒に制作した絵本「こおりのひめ」の販売も行われていました。自閉症と知的障がいであるうららさんの想像力はすばらしく、文章はお手の物。齊藤さんは文章の接続詞などのヒントを与えただけだそうです。

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それぞれの自己紹介後、パネルトークへ。

●「障がいのある人や家族にとって、佐賀で暮らす上での困りごとは?

原田さんから出たのは「交通手段」。

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20190820_h2_03.jpg 原田さん

「佐賀には交通手段が少ない、ということは練習手段がないということ。前職の頃から、原田さんは『彼らに外を歩いてもらわないと、彼らを助けようとする人がどう助けていいのか分からない』と送迎はせず、間違った時も帰る交通手段も教えていました」

大野さんは自身の経験を交えてお話されました。

20190820_h2_04.jpg 大野さん

「父が福祉の仕事をしており、車椅子の方、知的障がい者の方と一緒に過ごす機会がありました。幼い頃のその経験は色々な人がいることを知るきっかけになりました。幼い頃から身近に色々な人がいることがあたりまえで、どんな人でも同じ場所で食事をしたり、話をしたり、そういうことができる"まち"になればいいなと思います」

齊藤さんからも同じく交通手段について。

20190820_h2_05.jpg 齊藤さん

「私の頭の中は、行ったことがない道は空間。地図を描いたり、交通の本を見ることはできる。でも、さっき通った道が同じものだという認識ができない。すべてが点と点。その点をつなげるのは経験だと思います。この道はさっき通った道と同じなんだよ、と教わって初めてわかる。いろんな人の力を借りて、何でも言えるような"まち"になればな、と思います」

鈴木さんは3人の話を聞き、共通点として「経験」をあげられました。

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20190820_h2_02.jpg 鈴木さん

「障がいがある人にとっても1回の経験はとても大事。障がいがある人もそうでない人もお互いに助け合えたり、他者との関わり・サポートで経験を積むことが大切なことなのでは?

続いてのお題は、多様な人が一緒に過ごせる・経験を積むことができる環境について。

●「誰もが過ごしやすい、『さがすたいる』な"まち"ってどんな"まち"?」そして「これからやってみたいことは?

齊藤さんのお話は学校での出来事。

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20190820_h2_05.jpg 齊藤さん

「自閉症の子は、自分から仲間に入ることが苦手なんだよね、と子どもたちの輪に入れようとする先生がいらっしゃいます。私は23歳の時、自閉症と診断を受けてホッとしたものの、生きづらさを感じました。多数派のルールがあるフィールドに入れられても、結局きついだけなんです。例えば、私の得意なフィールド理解し、そこに来てもらえたら、私の得意なものを活かした話ができるから対等でいられる。私が思っているのは一人の人間として見てほしい。何もできない人、おじゃま虫ではなくて、対等に見てもらうためには私のフィールドを理解して活かしてほしい。飛びぬけて得意でなくてもいいので、例えばそのできることをエントリーシートに書いて登録しておけば、必ず活躍できる場所があり、社会貢献ができることに生きがいを感じ生きていけるのかなと。人として認められて生きていけることが何よりも大切なことだと思います

20190820_h2_03.jpg 原田さん

「彼らのハンディキャップや特性はなかなか伝えにくいところがある。家族によってはできれば周りに知られないでほしい、当事者本人も知られたくないという方は多い。利用者の中には、障がいを障がいと思っていない方もいる。ハンディキャップがある人の特性を"教育"として伝えるのではなく、みんなが"教養"として持っていてくれていたらいいなと

大野さんはアサヒ薬局でやっていきたいことについてお話されました。

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20190820_h2_04.jpg 大野さん

「どんな人でも気軽に来て一緒に過ごしたり、話をしたり、いろんな人が接することができる場所にアサヒ薬局がなっていければと思います。薬局という業務と異なるかもしれません。そういう場所が少しずつ、自発的にできていけば、いろんな人が交わることがスタンダードになっていくのでは。アサヒ薬局もそういう場所を目指していきたいです」

会場の皆さんのうなずきや真剣なまなざしが印象的なトークでした。

2. 自閉スペクトラム症(ASD)の知覚を体験

トーク終了後は自閉スペクトラム症(ASD)知覚VR体験

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こちらの知覚体験シュミレーターを装着します。メガネをかけたままでも体験可能でした!この体験を目当てに参加をされた方もいらっしゃるほど、注目されています。

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言語によるコミュニケーションや対人関係などが困難な自閉スペクトラム症(ASD)は「ものや景色の見え方」などの知覚が定型発達者と異なり、それが自閉スペクトラム症(ASD)特有の社会性の困難さを生み出す一因と言われています。

この装置を開発するにあたって自閉スペクトラム症(ADS)当事者を対象にした認知心理実験の結果をもとに解析。個人差はあるものの大きく3つのパターンに分かれるそうです。

1.「輝度」による「コントラスト強調・高輝度化」

 →明るさにより、コントラストが強調され、さらにまぶしく見える

2.「動き」による「無彩色化・不鮮明化」

 →大きな動きにより、色が消えぼやけて見える

3.「動き・音強度の変化」による「砂嵐状のノイズ」

 →動きと音量の変化により、無数の点が現れる

「LITALICO発達ナビ」に装置の開発についてなど詳しく掲載されていますので、詳しく知りたい方はぜひご一読ください!

https://h-navi.jp/column/features/crest

3. VR体験者に聞いてみた

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実際に体験した人に話を聞いてみました。

子どもが小学校入学前に自閉スペクトラム症(ASD)と診断されたママ

「子どもがいつもドッジボール中にラインをはみ出していました。ルールが分かっていない、と思っていたのですが、VR体験をしてみてルールではなく見え方に影響されているのかもしれないと考え方が変わりました。ルールを守りなさいと怒っていたことが本当に申し訳ない」

看護師を目指す高校生

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VR体験に興味があり、家族と参加。どんな映像が見えました?と質問したところ、「大学の学食のような部屋に入った瞬間、カラフルでチカチカした光が見えました。明るい窓が真っ白で、急に人が現れてビックリしてしまいました

▶彼女が見た映像はこちらのページでご覧いただけます。

認知ミラーリングCREST PROJECT

http://cognitive-mirroring.org/asd-simulator/

教育に携わる女性

「仕事の関係で難聴体験を経験したことがありますが、視覚体験は初めて。想像もしていない見え方でした。色が全然ありませんでした。」

自閉スペクトラム症(ASD)と診断された4歳の子どもの母

「子どもはまだ言葉がうまく出ないため、どのような見え方をしているか確かめることは難しいのですが、視覚の違いを知ることができたことで接し方が変わってくるかもしれないと感じました

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VR体験中、参加者からは驚きの声が上がっていました。

私も実際にVRを体験。

体験したのは、2.「動き」による「無彩色化・不鮮明化」 。

体験では最初に何も手を加えていない映像、続いて自閉スペクトラム症(ASD)の人の見え方を再現した映像が流れます。

私が見たのは駅のホーム。
電車が通過するその瞬間に、周りの色が一瞬で無くなり目の前で何が起きているのかさっぱり分からなくなりました。

色が無くなったことで、通過する電車とホームの境目がよく分からず......。普段は色でそれぞれの物を認識していることを実感しました。長い時間通過する電車に少し恐怖を覚えました。

視力による見え方の違いがあることは何となく感じていましたが、このVR体験のように何かの刺激で視覚に変化が起きるということは全く知らなかったのでひとつの経験になりました。

4.「みんなで暮らしやすいまちにしていくために」

今回の参加者に感想を伺いました!

東 真理子さん/2児の母・さがすたいるリポーター

sagastyle20190810-7.jpg 「子どもがお出かけが大好きで、インターネットで情報をよく検索します。5年前に佐賀に引っ越してきた時には、子連れで出かけられる情報がすごく少なかった。最近は、『さがすたいる』のHPなど情報が多くなり、自分が欲しい情報を拾いやすくなったと感じています」

東さんは情報収集がしやすくなったことはお出かけにも大きな影響を与えてくれたとのこと。『さがすたいる』のリポーターということもありますが、子育て中の母親だからこそ、ほかの母親も欲しい情報が発信できるのかもしれませんね。

八垣 寛太さん/教育

「不登校や発達障がいの方と接する機会があり、参加をしました。VR体験は、白黒がすごく見づらく感じました。ホワイトボードでの授業は果たして良いのか、教室の掲示物も楽しんでもらおうと作っていたが刺激が強く見ることができない子もいるかもしれない......。原田さんの言う『障がいを教育ではなく教養として』という言葉を聞き、教育者として何ができるか改めて考えていきたいと思いました」

井上 千里さん/福祉

「仕事で発達障がい者の方と接しています。友だちと一緒に思い出を作ってほしいと集団に入れていたけれど、斎藤さんの話を聞いてその子に無理をさせていたのかもしれないと感じました。この子は何人まで一緒にいることが大丈夫なのか、その兼ね合いが難しいですね」

中村 みわさん/公務員

「大学で発達障がいについて学んでおり、チラシを見て改めて勉強したいという気持ちとVR体験はなかなかできないので参加しました。話を聞いて、いろんな人との交流が大切だと感じました。私もだんだん自分のエリアというか、車で移動することが多いので人と道で会うことなく職場について、職場の人としか会わない。もったいないことをしているのかな。私も周りをもっと見たほうがいいのかもしれませんね」

子どもが小学校入学前に自閉スペクトラム症(ASD)と診断されたママ

「齊藤さんの"点と点をつなぐのは経験"という言葉が印象に残りました。そう思っていてもなかなか子どもにチャンスを与えられない、チャンスを与えるのを親がためらってしまうこともある。私はできるだけ、積極的に子どもを外に出そうとしているけれど、外に出られない母親も多い。体験を大切にしていきたいと思いました」

永江 賢さん/福祉

sagastyle20190810-16.jpg 「ある方の行動を"こだわり"や少し不器用なのかな?と思っていましたが、今回参加をしてみて感覚の問題であるというひとつの可能性の気づきにつながりました。自分たちの「当たり前」で見てしまっているものが大いにある。色々な方にもこのVRを体験してほしいです。そして感覚を言葉で伝えることが難しいということを体験を通して実感しました

sagastyle20190810-8.jpg 鈴木さんは
「今回のVR体験は視覚のみでしたが、ほかにも聴覚過敏や触覚過敏など、さまざまな感覚の特異性を持っている人がいます。一人ひとりが日常で感じている困難さや支援の方法には、いろいろな可能性があると思います。全ての場面に通用する万能の方法はありませんが、気になったら"どうしたらいい?"と本人に尋ねてみたり、本人の希望に寄り添って選択肢を増やしてみたり、関わり方やコミュニケ―ションにワンクッションおいて想像力を働かせてみたり。この体験をそういったきっかけにつかっていただければいいですね」

と語られていました。

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最後は大野さんの優しい歌が会場を包み込み「レッツさがすたいるトーク」閉会。

5. イベントに参加してみて

sagastyle20190810-22.jpg 私も過去、自閉スペクトラム症(ASD)と診断された方と関わったことがあります。また、学生時代には部活動で施設訪問をしたこともあり、いろいろな方がいらっしゃるんだな......と子どもながらに思っていました。

しかし、見え方の違いは今回の体験で初めて経験しました。今回の出会いや体験で自分の考え方に少しゆとりができたような気がします。「この場合にはこうしなければいけない」という決まりの中で動くのではなく、それぞれに合ったペースを一緒に作っていきたい。「こうかもしれない......」と自分の頭だけで決めたり、難しく考えすぎたりしないようにしたいものです。

そのためには齊藤さんが言われた「自分だけが経験した宝物」を語る機会やそれを表現したり、一緒に過ごしたり、そういった時間がとても大切なのかもしれません。当事者の話を聞くことも初めてだったので、このような機会を私だけでなく多くの方に体験していただきたいと感じました。

※今後も「さがすたいる」では、当事者県民が交流し、相互理解を深めるためのイベントを実施していく予定です。

さがすたいる関連イベント

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イベント名

【みないろ会×さがすたいる】バリアフリー映画上映会&トークショー

日程 8月24日
場所 シアターシエマ(佐賀県佐賀市松原2丁目14−16
時間 13:00~15:30

※こちらのイベントは終了しました。

さがすたいる 今後のイベント予定

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イベント名

レッツさがすたいるトーク~それぞれのスタイルで暮らすために私たちができること~ 今の"大人"も元"こども"。考えよう"こども"にやさしいまち

日程 9月8日
場所 おへそこども園(佐賀市水ヶ江1丁目6-32
時間 14:0017:00
参加費 無料

情報

ホームページ さがすたいる さがらしい、やさしさのカタチ

ローカルフォトグラファー

松本 聡子

1984年 鹿島市出身、嬉野市在住。図書館司書、CATV、嬉野市の情報発信業務を経て「ローカルフォトグラファー」の活動を志す。主な...

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