地域にある、宝物をいかす活動。コスメで、豊かな島の未来を。|特定非営利活動法人 リトコス【SPOTLIGHT SAGA-スポットライト サガ-】 PR

地域にある、宝物をいかす活動。コスメで、豊かな島の未来を。|特定非営利活動法人 リトコス【SPOTLIGHT SAGA-スポットライト サガ-】

島に眠る宝を探す旅がはじまった。

唐津市には、高島・神集島・小川島・加唐島・松島・馬渡島・向島、そして橋でつながっている加部島を含め8つの島があります。玄界灘に浮かぶこの8つの島を舞台に、島に自生する植物のコスメの原材料としての可能性を見出す活動をしているのが、NPO法人リトコス代表の三田かおりさんです。

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三田さんが唐津の島を訪れたのは2017年のことでした。当時、JCC(ジャパン・コスメティック・センター)の原材料担当コーディネーターに任命されたことにはじまります。「最初に行ったのは、呼子から船で20分ほどの場所にある加唐島という島です。島内の樹木の約半分が椿の木という加唐島。椿の種子から搾油される椿油をコスメの原材料として活かしたいと、島に何度も足を運び、島民の方たちとの関係づくりや椿を知ることに力を注ぎました」と当時を振り返る三田さんは、今まであまり作られていなかった加唐島の椿油が、実は他の産地と比べて品質が優れているということに気づきます。

搾油はコールドプレスと呼ばれる非加熱の方法。手間がかかり油の収量も少なくなるものの、不純物のない椿油に仕上がります。また、どこで誰がどのくらいの量生産したのかがハッキリと管理できているのも自信を持って推薦できるポイントでした。

その品質の良さを全国に発信すべく地道な営業活動を展開すると、加唐島の椿油をコスメの原材料として使いたいという企業が徐々に現れます。島の素材をコスメの原材料に変えて、島にお金を落とす。量より質の原材料事業が走り出したのでした。

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突き動かしたのは、強い使命感。

加唐島との関係づくりもうまくいき、引き合いも増えてきた頃、椿油の安定供給のために三田さんは加唐島以外の島へも足を運びます。すると、島ごとにそれぞれ自生している多種多様な植物と出会います。島には、手付かずの宝がたくさん。

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「この手付かずの宝をもっと多くの人に知ってもらいたい、コスメの原材料を島の産業にしたい、という想いが湧いて来ました」。

強い使命感とともに、2020年NPO法人リトコスを立ち上げます。三田さんが目指したのは、コスメの原材料を中心に、島の経済を潤し、さまざまな課題を解決していくというもの。島の人に寄り添い、ともに歩み、その先に輝かしい子どもたちの未来、島の未来を目指しています。

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島の課題に対する答えを出したい。

現在、三田さんの活動は、高島を拠点に行われています。取材に訪れたこの日、高島の小学校で、体験学習の授業をする三田かおりさんの姿がありました。

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島で採れた椿油やはちみつなどをベースにつくられた石けんに島名産の甘夏の香りを加えて、高島オリジナルの石けんをつくる学習。完成したものは島民のみなさんに配布する予定です。

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「高島は、他の島と比べて平地が多い島。畑を活用しやすいのですが、その反面、耕作放棄地も多くイノシシの被害が顕著です。また、これは他の島にも共通しているのですが、人口減少や空き家問題、漁業の衰退化など、多くの問題をかかえています。子どもたちのためにも、この課題に答えを出したいと思っています」と、三田さんは話します。

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その一環として、島の耕作放棄地にコスメの原料となるハーブを植え、栽培しています。

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栽培される作物に付加価値を付けるために、島の全体に有機JAS認証を申請し認可されました。これにより、高齢者の収入も安定することが見込まれます。また、オーガニックで先進的なイメージも付き、島全体のブランディングに一役買っています。

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さらに、観光客向けに島の原材料を使ったコスメづくり体験や新鮮な食材やハーブを味わい、島に泊まるといった「エシカルツーリズム」をはじめようとしている三田さん。エシカルとは、訪れる人と迎える人が心を通わせ、お互いに幸せになれるという近年注目を集めている観光のあり方のこと。

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「島でしかできない体験があります。エシカルツーリズムを通じて交流人口を増やして、島を活性化していきたいですね」そう話す三田さんの瞳は、しっかりと未来を見据えていました。

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文章:岡 優一
写真:浦郷 慧人

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